逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

1858

俺たちに死者の日は来ない!

メキシコ麻薬カルテルのボス、リンゴはいつものように裏切り者をどう始末するかの会議で残虐な殺し方を提案したあと、麻薬を売って築いた邸宅の庭で葉巻を吸っているときに強い衝撃が頭を襲い、気を失った。

「起きろ、起きろ」
 リンゴは肩を揺さぶられ目を覚ますと車の中にいた。手には手錠。運転席を見ると見知らぬ白人男がいる。
「誰だ、きさま」
「わからないのか?」
 男は痩せこけた頬を引きつらせた。
「お前に

もっとみる

こちら警視庁捜査一課「殺竜」係

世界各地の首都の上空に突如出現したUFOから竜型異星人が現れ幾数年。
 竜族達の謙虚な態度(挨拶する、ゴミ出しを守る等)から人々は彼らを受け入れた。
 問題もあった。竜の戦闘力を利用し、ヤクザが竜騎兵を配備、軍隊をも凌ぐ力を獲得した。
 これに対し警視庁は対竜犯罪組織を作る。それが捜査一課竜殺係。魔剣グラムやゲオルギウスの槍だのも持っているという噂だ。
 まあ俺とは関係のない話。花の捜査一課に名を

もっとみる
ありがたい……
17

千年魔京

「だからな、やっぱり京都はクソなんだよ」

 鴨川河川敷の夜は無法地帯であり飲酒が許される。京極雅之は飲み会の後二次会と称しここで酒を飲むのが好きであった。

「車は方向指示器出さねぇし、バスが四条河原町を曲がるのに10分はかかる」

 今夜の京極は随分機嫌が良いらしく大声で管を巻いていた。倉橋はそう言う京極が嫌いではなく、落ちていた枝を弄びながら微笑んでいた。

「宮崎駿こそが典型的オタクって感

もっとみる
心が軽くなります。
4

ゲッコーの夜

地球最後の遊技場、大阪第7ビルが放つ光は月光が霞むほどだ。賭博中毒労働者、アウトロ、権力者らが階層ごとに分かれ謎めいたカネの流れを生み出す腐った塔。ネオンと喧騒は嫌いではないが、糞は糞だ。滅びてしまった方がいい。

「ヘケートもそう思わない?」

『ファック、さっさと飛んで!』

 糞でもどうせここでしか生きれない。私は少し息を吸い、そのまま海上666mのビル屋上からダイブした。

『84F、標的

もっとみる
心が軽くなります。
6

キュービィ・アンド・フーリィ -電脳変幻無双譚-

雲霞のごとき暴徒の群れが目標の集落を前に反転した。ここに向かっている?飛び起きた俺は映像を凝視する。カウンター洗脳か?クズ共にフェイク映像をばら撒いて1週間。熟成された憎悪が爆発する直前で!

副官を呼び戻す。モノアイヘッドが乳とキャタピラを震わせて駆け込んできた。こいつとファックする時間を奪ったのはどこの企業だ。怒りと焦りに囚われる。落ち着かなければ。眉尻のパネルをスワイプ。神経ブースト。ウィ

もっとみる
やったー!
12

腐れども、縁

「い…嫌、来ないで…!」

鬱蒼と茂る森の中。腱を切られた薬師の少女は、目の前の魔物に乞う。だが当然、止まらない。少女は恐怖に目を閉じた。魔物は鉤爪を振り上げ…

バオン!

轟音。強い風。届かない鉤爪。震えつつ目を開ける。魔物は消え、代わりに大きな背中があった。

「大丈夫か、嬢ちゃん」

男がゆっくりと振り返り…薬師は気絶した。

「あん?」「お前の顔が怖い」

大きな杖を持った少女がぶっきら

もっとみる
お気にめされて何よりです。
3