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逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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「逆噴射小説大賞」とは、ダイハードテイルズ出版局が主催し、社会派コラムニストの逆噴射聡一郎先生が審査員に加わる、コンテンポラリーで由緒あるパルプ小説大賞です。今回の本文文字制限は…
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#SF

灰、燃滓のラストダンス

灰、燃滓のラストダンス

こちらに放たれる光。スポットライトみたいだ。小さな頃はバレエを習ってた。眩しくて客席は見えなかったけど、母さんが見てるって分かってた。

「ドローン、機械兵が8に戦車が1」

通信終了。相変わらず簡潔。何を企んでいるのやら。すぐ目視で確認。不吉な操り人形がモノアイを、巨大な戦車が砲塔をこちらに向ける。戦闘態勢。

嫌になっちゃう、と独りごちてマギ謹製の義足を触る。思い出から戻ってきたら、生きた観客

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そして青年は人を撃つ

 静まり返った荒野に、一発の銃声が響く。ノエル・チャーチヤードは、いつものように敵の歩哨を撃ち殺してから、いつものように目をつぶり、ドイツ語で主の祈りを唱えた。

 「祈りながら撃つサイコ野郎ってのはお前の事だったのかよ」

 「そう思ってくれるんなら、僕にとっても仕事がやりやすいさ」

 ノエルは、先ほど初めて会った同僚と、短い会話を交わす。ノエルの改造された瞳は、なおも荒野の戦場に目を光らせて

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リミット・アトラクター

10^24ジュール。

地球の水を全て蒸発させるのに必要なエネルギーだ。

そいつが上空100km、虚空に開いた窓から顔を覗かせている。悪魔のチューブ。俺達には理解できない方法で宇宙に編まれた靴下の奥底から。

正確には、それはエベレスト1000個程度の鉄の塊で、この100年近く俺達はその塊が落ちてこないように必死で押し戻そうとしている。試みは部分的にはうまくいっており、俺達はまだ滅びていない。

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キル・スイッチ

キル・スイッチ

市街地。兵士は銃を構えたまま、恐るおそる歩を進めている。小隊からはぐれ孤立したそいつの様子を、ぼくは仮想距離750メートル先にある廃ビルの窓ごしから双眼鏡で監視していた。

兵士の動きが止まる。ヌーブめ。ぼくは左クリックをかちり。

狙撃銃から発射された弾丸に頭を吹き飛ばされ、兵士は斃れる。同時にそのプレイヤーは、脊椎に接続しているスティム・インプラント・ケーブルからの致死電撃を受け、死亡したこと

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発狂した地球、あるいはひと夏の旅の物語

恒星間移民システム「クトゥルー」が大事故を起こした翌年の夏、わたしはなっちゃんと一緒におばあちゃんちまで歩いていくことにした。

『おはよ、マナ』
わたしが待ち合わせ場所の丘の上公園に着くと、透き通った青と赤紫が渦を巻く夏空の下、半分が触手状に変質した滑り台の横になっちゃんはいて、手を振ってこちらに近寄ってきた。
背後の木々の葉状器官の赤と橙のうねりが、なっちゃんの黒髪によく映えている。
「お

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最初に知性が芽生えた猿

 額に落ちた滴の冷たさで目が覚めた。始めてのことだった。これほど詳細に俺自身の目覚めを述懐するのは。俺は身を横たえていた花崗岩を離れ、洞穴の入り口から差し込む太陽の光を、その隣に浮かんだ赫奕たる金星を眺めた。

「キキッ」俺に猿の言葉で声をかけてきたのは、2年連れ添ったつがいの『枝を踏む音』だ。いつもと様子の違う俺を見て、不安げに跳び跳ねたり、歯を剥き出したりしている。「そうじゃない」俺は自分の身

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StellahStar#1 英雄の初陣

StellahStar#1 英雄の初陣

「ようこそ新兵。我々はその初陣を祝福します。ワープ痕跡から、目標は小型空母1隻、護衛駆逐艦2隻です。」

コクピット内部で聞こえる女の声。

私の初陣は排他的経済宙域において新興国の領域侵犯に「速やかにお引き取り願う」事であった。

戦闘はシミュレータより遥かに簡単だった。無人機をデコイで欺瞞し、粒子砲で墜とす。
その繰り返しで艦隊まで肉薄していく。

流石に艦艇には強力なシールドが張られているた

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棺桶営業

棺桶営業

 眠りたいがドローンのアラームが鳴っている。騒音はひどいが長く住むと慣れた。営業二週間目。狭いので仰向きながら栄養ゼリーを流し込む。

 ドローンの改善と法整備により、誰でも超安価で搭乗用機体を買えるようになった。車以下だからカネがない奴はドローンを買う。安い会社ではドローン営業が当たり前になった。通称が棺桶だが、これはドローン内で餓死遺体が発見されたことに由来する。

 と、ドローンが衝撃を検知

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EndPoint Working!

サテライト刑務所!
銀河中の超凶悪犯罪者をブチ込むため宇宙に存在する、人工惑星型の巨大刑務所である!
囚人達は刑務所内である程度自由な行動が許されており、その点において他の刑務所よりも規律が緩やかといって良いだろう。
ではどのようにして秩序が保たれているのかといえば。

「――アタシ達看守と、監視システムちゃんの頑張りの賜物ってわーけ♡」

筋骨隆々の大男は少々暑苦しい笑顔を浮かべながら、目の前の

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カフェ・ナインへようこそ!

カフェ・ナインへようこそ!

…珈琲の香り…?
「おっ、目が覚めたみてえだぞ!」
眩しい…ここはどこだろう。
「大丈夫か兵隊さん。あんた脱出艇で落ちてきたんだ。おうウージー、ベレッタちゃんに頼んで水もらってこい」
数人の農作業姿の男性がこちらを覗き込んでいる。
「ここ…は?」
「ここか?ここはガニメデの」
「カフェ・ナインですよぉ。はいお水どーぞ。私は店主のベレッタです」
「タイプM92!?」
ベレッタと名乗った女性型ドロイド

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ごみ捨て場の脳

 街を歩いていた私は、「人工脳」を搭載した爪切りの広告を見てため息をついた。生ゴミに含まれる有機物からさえ作ることが出来る、驚くほど多機能な人工の脳細胞。私の頭脳を作り出した技術が、今では爪切りにさえ使われている。

「おい、そこのロボット」そう呼び止められた私は、癪に感じながらも足を止め、振り向いた。

「ここらで活動している、生まれ変わりサービスを自称する連中のことを知らないか?」

「知りま

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安倍晴明オニと出会う

安倍晴明オニと出会う

 安倍晴明の前に鬼が出現す。怪奇な外見の鬼は髪は茶色で肌が褐色。鬼にしては小柄だ。

「すごい……尊い……マジモンのセーメー様じゃん。超ありがてえ……」

「何をいっているかわからんな」晴明は苦笑した。自身を女学生と呼ぶが、それも不明である。

「して、背中のものは」

「あ、これですか! えっと、平安時代って結構ヤバイって聞いてたんで、服たくさん! ナノマシン! テーザーガン!」

「やはりわか

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コズロフ博士の、忠実なる番人

 視界を埋め尽くす吹雪は、未だ止む気配がなかった。辺りにはノヴォ・ロシア正規兵の死体が7つ。まだ生きているものは3人。作戦は、完全に失敗していた。

 アレクセイは、目の前にそびえる機甲鎧を見上げていた。それは彼の知るどんな機甲鎧ともかけ離れており、摩耗した機械部品の塊のように見えた。白い雪原に立ちはだかる、暗灰色の巨人。それは、背後の研究所跡を守る番人のようであった。

 かつては生体工学の最先

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完璧なディストピアの作り方

完璧なディストピアの作り方

 地上を舐め尽す警報音に追われ、僕は廃棄場の底にいた。

 〈オルダ〉の多脚刺肢に貫かれ、イトーは満足げに笑って逝った。漂白と脱臭を塗り重ねた今の地上でそれは貴重な感情だった。

「人間性が大切なんだ」

 彼の言葉を思い出す。 

 ネオサイタマに夢中になってニュースピークに憧れた大学時代。僕とイトーが冗談半分で立ち上げた「焚書愛好会」の活動は、SNSで拡散されあっと言う間に広まった。RPの参

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