へるま
2018/10/15 17:08
俺はちっぽけな山小屋の中でガタガタと震えていた。真夜中で外は大雨、寒さが肌を刺す。だが問題はそんなことじゃあない。「GRUU! GRUU!」初冬の大江手峠。取材でやってきた俺を待っていたのはお目当ての被写体ではなく冬眠し損ねの所謂「穴持たず」のヒグマだったのだ。奴に執拗に追われ、気がついたらここに逃げ込んでいた。「GRUUU!」唸り声が聞こえるたびに柱が軋み梁が揺れる。