逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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幸せは温い鉄砲

黒色火薬を飲み下すことで仮病を装うのは一昔前の軍記物ではありふれた手法であるが、阿見田かるかはそれを3限目の小テスト中に実行した。こんなメールを見たからだ。
「授業中にすまない。だがもう俺は駄目だ。今日、お前を撃つ」
30分後。かるかが屋上に着いた時には全ての準備は済んでおり、10年前死んだはずの先代校長は火縄銃を抱えて立っていた。
男は口から飴玉を取り出し、火薬と共に銃身に装填した。鉛とザラメと

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異世界転生的なみたいな

やあ、俺の名前は伊藤炎(ファイアボール)。
親を恨んでいる。

ある日、日がな一日ネトゲしかしていない俺はいつものように母親を罵倒していた。

「ファイアボールチャン、ドウシテガッコウイカナイノ?」

この凄まじい力を持った言葉。
呪文を毎日聞かされている俺は毎日怨言を返す。

「テメーノツケタナマエヲノロエ!」

この言葉を投げると声を押し殺して泣く母親がそこにいる。
さあさ、嘲笑に耐えきれなく

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ストマックマン

これは私が恨み妬み怒った末、勇者と言われるまでの話だ。

錆色にぼやける夜空の中、旅中であった私は腹を下し丁度いい場所が見つからず、途方に暮れていた。
いよいよ警察のご厄介になることを覚悟した。
が、神は私を見捨てていなかった。

我が子を抱え、刺激を与えないよう競歩じみた格好でベストプレイスに向かう。

まだ慌てるんじゃあない。お前の出番はもう少し先だ。

声に出していた。
誰かに聞かれていたら

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いけ!みどり町ボンバー隊 〜商店街を死守せよ〜 ①

熱っ!うま!
今日も肉タケのコロッケは絶好調だ。
みどり商店街名物筋肉がすごいおっちゃんが作る通称ゴールデンコロッケである。
この胡椒の効いた肉と芋だけのシンプルな味!
(おっちゃんの気まぐれで肉と芋の割合が日によって変わる)
食感が素晴らしいゴツゴツした形!
(おっちゃんがワイルドに形成した)
オジョウヒンなウチのコックには出せない味なのだ。
ウチの親は買い食いするなって言うし、夕食に商店街の食

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good-bye world

明日、世界が滅んで何も無くなったら良いのに。

そうすればあの嫌な旧式の店長の顔を見なくていいし、明日の飯の心配も要らない。
総人類機械化計画が完了したってのにあたしの生活水準は80年ずっと苦しいままだし、これから先もずっと同じ朽ちない体で永遠にケチな仕事を続けていくのだろう。機械化すれば人類は労働から解放されるって触れ込みは何だったのだろう。

馴染みのスタンドでいつもの固形フードとワンカップ酒

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20時からのバカンス

やっぱり今日も20時になった。ドアがけたたましく開けられる、続いて男のがなり声が聞こえる。「酒だ!まだ飲むぞ!」

やや静かになったのをみると椅子に座り込んだようだ。女の「もうやめときなさいよ。」と諌めるような声が聞こえる。いつも通り。

呻き声と共にテーブルの上の食器が割れる、微かな悲鳴。結局従うしかないのだ。僕の後ろでは女の子が泣き出したらしく、背中に温かいものを感じる。お腹に回された手は

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俺も好き!!!!愛してる!!!!
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