逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

1
記事

イミテイション・ゴールド

「男湯」の暖簾をくぐった先で俺を出迎えたのは、扉の開いたロッカーの群れだった。死んだ魚がこちらに口を向けてずらりと並んでいるようで未だ慣れない。ぶら下がり錆びついた鍵は力をこめると簡単に破断し、回さないまま引き抜くことができた。浴場へとつながるガラス戸は割れており、湿気も暖気もない死んだ風が室内に吹き込んでいる。気配はない。だが「タグ付き」とはそういうものだ。人工温泉の快楽に全てを奪われ、時間間隔

もっとみる