逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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ヴァンパンダ ―吸血大熊猫奇譚―

衝撃!奇跡の珍パンダ!悪戯の疑いも?
――あるニュースの見出し

その日、ジャイアントパンダは『白黒』ではなくなった。白黒に加え、紅。そんな新種の群れが中国の奥地で発見されたのだ。目や口には隈取りのように、背中や手足には内功の流れの如き紋様で紅色が確かにあった。

正式な新種認定を受けた翌月、世界周遊は始まった。若い紅流大熊猫、雄のホンホンと雌のフアフア。彼らは東洋神秘の体現として喝采を浴びた。一

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ウィーピピー!(よろこびのかけごえ)

教頭先生の秘密の楽しみ

「なあ、教頭のやつマジで育ててんのかな……?マンドラゴラ。確か禁呪種だろ?」
「静かに!気づかれちゃう」
アリッサに言われて俺は慌てて声を潜める。一応身隠しの呪文は効いているはずだが油断は禁物だ。
幸い教頭は気づいた様子もなく、恰幅のよい体を揺らしながら校舎裏の森へと歩いてゆく。
ねじくれた木々の合間の闇に完全にその後ろ姿が消える前に、俺たちは急いで跡を追った。

薄暗く曲がりくねった道をしば

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グレープフルーツをどうぞ

秋風の夜

 雨が打ち付け窓が揺れる。今夜は野分が私の家のあたりに来ていた。

 野分は嫌いだ、休校は大歓迎だが災害は必ず誰かを傷つける。今夜は寝付け無さそうだ、そう思い寝所を出て1階の台所を目指した。

 階段を下りるたび軋む音は雨音で祖母に聞こえないだろうけど、なるべく起こしてあげたくない。台所に着くと冷蔵庫を開け適当に飲み物を取り出す。

 1階を放浪しているとふとチェストに目が留まる。祖母が嫁入りの際

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忍ドル浜口あやめをよろしく!ニンニン!

誰を犯人にするべきか

 目が覚めると、僕は血塗れの刃物を握って倒れていた。目と鼻の先には刺殺体。慌てて身体を起こすと、僕を見て目を丸くしている女性が。さて、どうやって罪を免れようか。

目が覚めると、私の目の前に刃物を持った青年がいた。彼の手には、私が殺しに使ったナイフが握られている。足元には私が刺し殺した男の死体。さて、どうやって罪を着せましょうか。

目が覚めると、私は死んでいた。私を見て息を呑んでいる男女が二人

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バースデーケーキ・キラー

 彼女は誕生日だというのに不機嫌だった。彼が時間になっても現れないからだ。
 苛立ちが頂点に達する直前、チャイムが来客を告げた。

 一発殴ってやろう。
 力任せにドアを開けると宅配業者が立っていた。

「お届け物です」

 落胆しながらサインし、差出人を確認する。
 そこには今ここにいるべき彼の名前。
 ひんやりした箱だ。

 品名は、ケーキ。

 怒りに任せてに開封する。立派なホールケーキだ。

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嬉しくて花が咲き乱れ小鳥が歌い俺は小躍りします。ありがとう。