逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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夢のゾンビ生活

俺は念願のゾンビになり、ムカつく奴らを噛みまくっている。
「うああああ!来んな来んな!あああ!!」
 ビビりまくってるコイツは竹村。
 前のバイト先で俺を散々コケにしていた奴だ。
 竹村を壁際に追い詰めた俺は、勝ち誇って叫ぶ。
「うおおおまえ!まえは苦しんで死ね!」
 生前とは比べ物にならないゾンビの怪力で竹村を掴むと、俺はそのままコイツの腕や肋骨を握り潰す。
「ああ!ぎゃあああ!!」
 恐怖と激

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『元傭兵デリックの冒険』より「力鬼士(リキシ)の洞窟」

「ファック野郎!」

スコップを振り下ろし、襲い来る力鬼士の指をぶった切る!
「ギァーーッ!」指は土に還る。力鬼士は後退し、チッチッと音を発した。仲間を喚んでいる! ボゴン! ボゴン! 床や壁から力鬼士が這い出す。囲まれた!「くそったれ……! まさか、実在するなんてな!」

デリックはスコップを振り回して威嚇し、事の発端を思い出す。



「父を、助けて下さい!」デリックの店に飛び込んで来た少女

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あなたの徳がアップしました。寿命が伸びます。
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ゾンビープレス・パンデミック

報道ゾンビ戦争は過激さを増す一方だ。

ゾンビ・アウトブレイクの終息から5年。ゾンビ治療策の確立と共に、合衆国はゾンビ化者救済法(ZR法)を設立。ゾンビ化中の罪は不問とし、ゾンビに人権を認めた。これがマズかった。

「人の着替え中に、何…「SCOOP…」」
「子供たちをつけ回す…「SCOOP…」」
「オイ、不法侵入だぞ…「SCOOP…」」

ゾンビは生前の本能に従って動く。ゾンビー・プレス社(ZP

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かたじけのうございます。
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ファンタジイ・オブ・ザ・デッド

ミリーは泣きながらゾンビの目をやじりで貫いた。元妹は動かなくなり、ミリーは遺体を里の処理所に運んだ。処理所を出るとノーム――ギドと目が合った。山から逃げてきた彼は酒瓶を抱えていた。
「なあ、一杯やらないか」
「やらない。あたしは旅立つ」ミリーはハンカチで顔を拭った。涙が止まらない。
「どうして」
「奴らを滅ぼす。そのためには禁術魔書が必要。王都に行く」
「正気か? 大陸ごと沈めるのか。ここも消える

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ありがとうございます!
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ワン・オブ・ザ・コープス

俺が誰かは俺が決める。他の誰にも決めさせるものか。

Budda Budda Budda! 機関銃がクローン兵たちの頭を薙ぎ払う。首なしの体が崩れ落ちる。弾切れの銃を捨て、死体の銃を一挺拾って、さらに前へ。

「最近のクローン兵は質が落ちたよなァー、ドクター。まるでゾンビだ」
『コピーすれば劣化するのさ、何事も。オリジナルには及ばない』

次のウェーブは6秒後。欠伸が出るほど遅い。俺は壁へ、天井へ

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あなたの幸運値がアップしました。
9

サクラギチョウ・オブ・ザ・デッド

氷川丸に隠された弾道ミサイルを発射しワクチンを日本全土に散布するしかこのゾンビ禍を収める方法はない。 

 駅員ゾンビの頭をブチ割り俺は桜木町に降り立つ。観覧車には死体が満載でランドマークタワーは上半分が無かった。
 山手の異人館にあったバールとライフルを使いここまで来た。首相の娘でミサイルの生体キーである女子高生ミカを連れてだ。
「あれを見て!」
 コスモワールドの入口に観光ゾンビが殺到していた

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いっぱいちゅき……
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横浜レッドライン 第一話「TOZKA, the Grave Ward」

「屠塚区では埋葬届は不要だ。ここが墓場だからな」

港北区と港南区に挟まれた戸塚区は《南北戦争》の主戦場(レッドライン)となった。最も激しい南北市営戦士の戦闘が行われた芹が谷は戦術核"月餅"により地図から消えた。

戦争後期、保土ヶ谷球場まで後退した南軍は観客5万人を触媒として腐敗魔術を実行。この土地は無数の魔物を産み出す"女陰(ほと)"と化し、この事件をきっかけに《南北戦争》は終結。南北市民が手

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ゴッド・ブレス・ユー
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オーシャン海サーガ

「ギョア!ギョアギョア!ギーッ!」「ギグワ!ギグ!」「ギャギー!」
ハンマーヘッドシャークに跨るシーゴブリンの群れが、幽霊船『デビルディープ』の右舷に回り込む!ギラつく熱帯の太陽の下、オーシャン海の帰趨を決める死闘!第一ラウンドだ!死神も跨ぐ皺くちゃ婆、女船長ジゼバーは、目を血走らせ、精神感応力で船と船員ゾンビを操る!
「我利我利亡者のダボハゼめらが!喰らいやがれーーーッ!!」
ドウ!ドウドウ!舷

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鴨川等間隔ゾンビ 夏編

BLAM!!銃声に驚いてカモが逃げる。
「ヴァーー!!」
BLAM!!おれは引き金をもう一度引いた。
「ナイッショッ!」
農家めいた麦わら帽子を被った田島がサムズアップする。
対岸に等間隔にゾンビが並んでいる。カップルだ。
9月初旬の京都、三条〜四条大橋間の鴨川遊歩道。田島と俺は、ボランティアでゾンビ退治をしていた。
「この暑さなのに、いるなんてなあ、さすがカップルゾンビ」
6月。突如鴨川に現れた

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生前、死者と、死出の旅

脳天に風穴が空いてる姉ちゃんと、腹に大穴が空いている中年に挟まれながら、俺は草一つ生えない荒野を歩いていた。雲ひとつない空に、さんさんと照っている太陽。俺が目を細めようとすると、急に砂っぽい風が吹いた。

「ウォォォォ……」「アァ……アアアア……」

両隣の二人が呻き声を上げる。俺はいつものように反射的に追随した。

「ウァァァァ……ォォォ……」

いちいち声のトーンを合わせたりはしない。何も意識

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嬉しさがあります。
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