逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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ハラスメントセブン

「動くんじゃねえ! 銀行強盗だ!」

そう叫ぶと強盗の一人が発砲!

客はため息をついて彼らの命令に従う。

サカナシティではこの手の犯罪は日常茶飯事だった。

だが、強盗の指示に従わぬ者がいた。

仕立ての良いスーツを着た中年男性だ。

彼は自身に満ちた足取りで強盗たちに近づいていく。

「動かないでもらえるかな。私はヒーローだ」

中年男性はそう言うとスーツのネクタイを緩め始めた。

強盗たち

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この世界をナワバリに

夜の駅前に、強い雨。景色は暗く濁っていた。

駅前から少し離れた場所に、一つの箱があった。だが、誰もそれに気づかない。彼はとうにニャアと鳴くのをやめ、箱に敷かれた、水を吸った毛布の上で丸まって震えていた。

ここにいれば、同居人たちが戻ってくるはず。また、中に戻れる…暖かい部屋。美味しい食事。少女の膝。適度な段差。幸せな記憶が浮かんでは消えた。

眠気。暖かさの錯覚。母猫の記憶が蘇る。だが、毛布を

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ありがとう!
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日曜日の守護者たち 『激剣ジンライガー、ふたたび』

怪獣が、被災地を襲っている。駄目押しのように仮設住宅を踏み潰す。
いっそ俺ごと踏み潰せばよかったのに。
のろのろと寝床から起き上がると、壊れた壁の向こうで女が一人声を張り上げている。
「みんな!こっち!早く逃げて!」
俺はそいつに見覚えがあった。
若いボランティアの女。昨日俺に「あなたはなんで参加しないんですか」とつっかかってきやがった。
「おい!お前は逃げないのかよ!」
「私は皆を守らなきゃいけ

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ボクとハカセの征服日記(夏休み編)

 今日から小学校は夏休み!ハカセも論文が終わったとのことで、久しぶりに町公認秘密結社「テクノ・ノヴァ」の征服活動だ!

 早速、「ドクター・テクノ」の助手である「ポルルッカ」の衣装に着替えると、ボクとハカセはいつものグラウンドに集合した。

「それじゃ、そろそろ始めるかの」

 ハカセの言葉に頷いて、1つ深呼吸。

「出てこい、合成怪獣ガレリアーッ!」

 手足をピンと伸ばして、前に突き出した左手

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碧空戦士アマガサ 第1話

 空は青いのに土砂降りの雨が降っているし、周囲の水溜りは"底なし"で人々が沈んでいくし、目の前には刀を持った怪人がいる──異常事態の連続に、晴香は自分が夢を見ているのかと思った。

 しかし、袈裟斬りにされた痛みが、吹き上がる血の匂いが、否応無しに現実を突きつけてくる。

 その怪人は、自らを"雨狐"と呼称していた。

 顔と狐面が一体化し、髪はなく、代わりに頭部を黒い鱗が覆っている。着流した白い

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オレモー!
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dilemma-man ジレンマン

「死にたい!死にたい!だれか私を殺して!」

首都・S市。人々は”彼女”の暴走が始まってすぐ、警報とともに展開されたバリケード内へ避難し、頭突きで町を破壊し続ける”彼女”をただ傍観していた。

「今回の『ジレンマン』の症状名が政府より発表されました!『スーサイドサバイバー』!『スーサイドサバイバー』!」

バリケード内の有機EL画面でアナウンサーが叫ぶ。

「ほらな!やっぱり」「どういう意味?」

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ブラッドストーム・イン・ジ・アビス

脱出艇連続特攻作戦は巨大海蛇を退散せしめ、第156太平洋深海開拓市は圧壊の危機を免れた。しかしそれは時間稼ぎにしかならない。魚人共に場所がバレた。奴らはいずれここに辿り着き全てを殺戮するだろう。オガサワラ大陸棚市まで脱出艇で片道3日。カミカゼのせいで艇の数が足りない。俺のような末端の開拓民は置き去りにされる。その救助艇、今誰が整備してると思ってるんだ。俺だ!

「何が海底は最後のフロンティアだ!

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ありがとう!
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天照らす-Amateras- 【プロローグ】

 衝撃で、意識が一瞬吹っ飛んだ。
 それを引き戻したのは、弟の声だった。
「姉ちゃん!」
「ぐっ…」
 歯を食いしばり、拘束に抗う。目の前には巨大な牙と、拳大の4つの瞳。私を拘束している脚は、私の胴よりも太い。

 そいつは、巨大な──自動車サイズの蜘蛛だった。
 椅子が軋むような音で鳴きながら、私への締め付けを強めていく。

 どうしてこうなったんだっけ。苦しみの中で私は考える。
 そう、夕飯の

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オレモー!
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エニワン・キャン・ビー・エニシング


「店の売上を持って来な!早くしないと旦那の顔が売り物のさつま揚げになるよ!」
鞭で店主の首を締め上げながら片手は頭部をフライヤーに突っ込もうと押さえ付ける!

窓際族の有馬さんが定年前に会社を去ったその日を境に街にアルマゲドンと名乗るヒーローが現れた。

…それは紛れも無くあの有馬さんだった。

何故分かるかって?
そりゃヒーロースーツこそ映画アルマゲドンでブルース・ウィリスが着ていた宇宙服めい

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【実績のロックが解除されました】
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異世界に転生したところで俺みたいな奴がヒーローになれる筈もなかった

 俺は部活の帰りだった。
「あー疲れたなあ。えっ!?」
 キキーッ!ドカン!
 俺は暴走トラックに轢かれてしまった。俺の意識は薄れていった・・・

 気がつくと俺は白い空間にいた。俺の目の前には女神の様な人がいた。
「俺はどうなったんだ?あなたは誰ですか」
「私は運命の女神。あなたには申し訳ないことをしました」
「どういうことですか」
「私の手違いで、まだ死ぬ運命ではなかったあなたがトラックに轢か

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ありがとうございます!
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