逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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御伽衆-妖編纂録-

江戸時代。
大戦は終わり、人々が商いや開拓に専念出来る平和が到来したこの時代に、忘れさられていた恐怖が再び蠢きだした。
恐怖の名は<妖(あやかし)>。
かの異形共を捨て置けば、世にまた動乱が起きる。
それを未然に防ぐため、幕府によって集められた異能の者達を<御伽衆>と呼んだ……。

――言葉によって造られた槍が、雷光の如き速さで異形の顔を貫く。

『ぐぉぉ……馬鹿な、このような人間に我が!』
「同

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泥斬り稼業

ドブ長屋のクズ共が死んだ理由は三つある。五日続いた豪雨と、役人が積み上げた鉄屑と、貧乏。要は三つ目だ。もっとマシな所に住んでいれば崩れたゴミ山に潰されて死ぬこともなかった。泥油と混じって蘇り、俺のようなガラクタ人形に斬られることもなかった。

「五つ」

 無造作に蒸気刀を振る。何の抵抗もなく屍泥は斬り倒される。

「六つ」

 もう一匹。肩の歯車が軋む。

「七つ」

 半壊した天井から泥油が垂

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『明暦のシンディローパー』「明暦大火異聞(一)」

「対象は室内。発見次第射殺許可有」

感情奉行与力犬養殲衛門が無感情に檄を飛ばしベレッタを構えた同心二名が障子を蹴破り突入した。

BLAMBLAM!!

次々と反幕分子が排除され暴力とLED間接照明に満ちた室内で前時社奉行長官夢山田羅山は面を挙げた。

「そろそろ来ると思っていたよ」

「長官、投降して下さい」

「君は、おかしいと思わないのか!こんな感情を失った世界!未来はこんなにも

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ゴッド・ブレス・ユー
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エルフ捕物帳(邦題:銭形ヘイルダム)

ルーン銭が飛ぶ!

『ゼニィィィ!』

十手バトンが脳天を打ち砕く!

『ジッテェェェム!』

フォールン同心どもは爆発四散!

「ほう?この“嵐をもたらす”村正と共鳴するとは…もしやその十手、モーンの…」
辻斬りはフードを脱いだ。

…まさか豊臣エルフ!?

●●●

関ヶ原の合戦後、二度に渡る合戦を経て大坂エルフヘイムは炎上、
豊臣エルフは滅亡した。

日ノ本の戦は終わり、徳川エルフの治世によ

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【シルバートロフィーを獲得しました】
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龍人奇譚 ~力屋丈右衛門~

村を焼く炎が夜空を照らす。業火を背に、二つのものが対峙する。
 共に異形。影に覆われた輪郭だけなら鎧を纏った人にも見える。しかし実像が露になれば、魔物か鬼神か、或いは龍がその身を人に似せたものか。
 彼等は互いの隙を窺い、いつでも攻撃と防御に移れる構えを取っている。戦っているのである。

 炎の及ばない場所に集まり、推移を見守るのは村人たち。一人たりとも命を落としていないのは幸運の為だけではない。

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