逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集
1857
本
Bang Boo Race
ホントに俺じゃないとダメか、ともう一度パンダに訊いた。
「いやぁ、だってボク、踏めないし」
パンダは照れたように言う。まだ一回も運転したことないんだぞ、と喉元まで出かかった。パンダは自分の足で歩いたことすらないのに。
目の前には完成した手製のホーバー(※浮遊二輪車のこと)が置かれている。キーを捻れば起動してふわっと浮くだろう。ペダルを踏めば進むだろう。この埃臭い倉庫で何度も点検したか
CIPHER FUNK 2027
「闘技場 紛れ込む メス ハムスター ヒア カムズ ファイター ユー アー ザ ルーサー 燃えろホット ベィビ ギミ モア ホット 俺のこのヒート 届かすドカンと!」
ジャンパーが発火した。私はそれを迷わず脱ぎ捨てる。MCを持つ黒人ラッパーが残忍に微笑む。
オーディエンスが沸く。完全にアウェー。負ければ当然、公開ファック。ここでは法律も常識も通用しない。
自分と四小節、そして握
ワン・オブ・ザ・コープス
俺が誰かは俺が決める。他の誰にも決めさせるものか。
Budda Budda Budda! 機関銃がクローン兵たちの頭を薙ぎ払う。首なしの体が崩れ落ちる。弾切れの銃を捨て、死体の銃を一挺拾って、さらに前へ。
「最近のクローン兵は質が落ちたよなァー、ドクター。まるでゾンビだ」
『コピーすれば劣化するのさ、何事も。オリジナルには及ばない』
次のウェーブは6秒後。欠伸が出るほど遅い。俺は壁へ、天井へ