逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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『八雲異界風土記』より「加賀の潜戸(かかのくけど)」

「お待ちしておりました。ハーン殿」

明治二十四年九月。ラフカディオ・ハーンは松平不昧に出会った。



島根半島。日本海に面した複雑な海岸に、海蝕洞「加賀の潜戸」はある。出雲国風土記には、ある神の誕生した地と記される。ハーンと妻セツは舟を借り、車夫と船頭の老夫婦と共に、まずここを訪れた。「髪の毛三本動かすほどの風が吹けば舟は出せぬ」と言われる難所だ。幸いに無事着き、神々しい景観を堪能して通り過

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あなたの健康値がアップしました。
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不死の日のエドム

「日の神にかけて。今日は『誰も死なぬ日』でさ、ヨブの旦那」
薄汚い牧童は、そう言って男に微笑み、右手を挙げた。
「試してみる。首を出せ」

「いや。痛いは痛いんでね。罪になりやすぜ」
「構わぬ。贖い銀は先払いだ。俺の神に誓う。そこの連中、証し人となれ」
ヨブは、銀の入った革袋を呉れてやる。

牧童と証し人らは銀を確かめ、肯いて受け取る。
「じゃ、どうぞ」
剣が一閃し、牧童の首を断つ。ごろりと落ち、

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ブッダがあなたに加護を与えるでしょう。
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黄泉路のバガボンド

慶応13年 東海道 元 尾張藩 名古屋。清州城の復活で往年の活気を失えど、まだ多くの町人が暮らす。第六天魔王の憲兵による厳しい監視が外の混沌から国を守っていた。

「聞いたか堺の話」「怪魚の話か」「商人連合め、いい気味だ」

「若いの!お前も交ざらんかい」
他から離れサーベルの手入れをするトビに声がかかる。

「どうだ憲兵暮らしは?ええ?」「アーまぁまぁですかね」
「そうか。おまえ生まれは武士

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心が軽くなります。
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