逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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ネイキッド・ランナー

徳島敦夫(47歳)はかつて人生に絶望していた。

仕事をクビになり、家族もいなかった。

最早敦夫に未来はなかった。

同時に、寄る辺とする過去もなかった。

だから彼は今を生きることにした。

敦夫は電話をかけると、計画を実行に移すための準備を始めた。

「なあアッちゃん。本当にアレをやるつもりなのか?」
中学の同級生であった藤村隆は敦夫が現れるよりも早く喫茶店に着いていた。

「当たり前だ。誓

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どうせ死ぬなら本屋で死なせて

本屋でぶつくさ言いながらページをめくっている。娯楽小説の冒頭だけ次から次へ。本屋からしたら迷惑極まりないだろうが、まぁ本の扱いもまだ丁寧だろうし、そもそもここでアホみたいに本を買い続けてるんだ、許して欲しい。店舗型の特権でしょう?

 にしても書く側の目線で読むと小説は狂っている。自分の書いたものがクソに見えてくる。冒頭だけ書けったって何が出来るんだ、今読んだ長編小説の冒頭1ページなんか何の情報も

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心が軽くなります。
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超機神演舞マキナフェスト

古代貴族は歌を詠み、中世市民はロックンロールに熱狂した。そして現代の若者はスーパーロボットによる戦闘演舞に明け暮れている。

「畜生!」
キャノピーを蹴り開けて俺は地面に降り立ち、自主練の準備にかかる。共通規格の飛行ユニットにぶっ刺した禍々しい翼が美しい。変形収納など度外視した6本の武器腕も最高だ。俺が憧れる地獄合体演舞にぴったりの機体。問題はうちの超機部がソロ志向で、合体を却下された事だ。仲良

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やったー!
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Stage!!

想像してほしい。絶対に気の合うことがないと思っていた、それどころか内心見下していた奴がステージの上で輝いていて、しかもその姿が心に深く深く刺さったその瞬間を。「君もああ成れる」包帯男は言った。的外れな言葉だ。私はそのステージを憎んだ。

 始まりは9月1日。始業式帰りに寄り道したクーラン。流行の最先端のこの街には休み明けにも関わらず多くの若者が来ていた。余りの混雑と湿度に辟易し帰宅を決めたとき彼女

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心が軽くなります。
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