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【二次選考結果】逆噴射小説大賞2022

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小説の冒頭800文字で競う「逆噴射小説大賞2022」! その二次選考の突破作品集です。
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#一次創作

人の形のブーケ【逆噴射小説大賞2022応募作品】

「落ちていたのをひろってきちまったのさ」 そして私はあらためて、横たえた生物の様子を見つめる。 身長140cmほど。人の少女によく似た生物は、ソファの上で動かない。 手足の指は四本ずつ。指先から中心部に昇っていくにつれ、薄緑から藤色にグラデーションする肌色。胴はケイトウの花束、あるいは群生する珊瑚礁のようなビラビラのドレスが生い茂る。 こんな人気のない田舎には、どこからか人ではないものが紛れ込む。 珍しくもない話だが、まずはしかるべき所(警察、あるいは神社仏閣、もしくは秘密

天使について一寸の慨嘆

 慌てて取った受話器の向こうは、無音だった。だが、こんな所でイタズラ電話なんかやるバカはいない。番号を知っている人物もかなり限られる。程なく、彼は何かを感じ取ったようだった。 「浅野か? そうなんだろ」 「…さすがだね、まだ一言も喋ってないのに」  若干、声がいつもと違う。気のせい?いや、明らかに何かが違う。 「どうした? あんまり調子良くなさそうだな」  お見通しか、という風に受話器の向こうで微かに笑ったのも完全にありのまま伝わっていた。 「ちょっとね、右腕が…」  右腕と