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You Tubeに美味しんぼ公式チャンネル!? (本兌有)


You Tubeに今、美味しんぼの公式チャンネルが出来ており、デジタルリマスター版が少しずつアップされていっている事を知った。すごい! 美味しんぼといえばすごいネットミームになってるけど、実際に観たことない人もいると思う、この機会に観てみてほしい!

新聞社で昼寝ばかりしている山岡士郎は実は食文化の造詣がすごい男であり、新聞社の記念企画でなんか美味しいものを探すという企画のために邁進するのだ。そして山岡士郎には海原雄山という恐るべき美食家の父がいて、もうめちゃくちゃ仲が悪くて、たしか勘当されてて、憎み合って反目しあっているんですね。そして、行く先々に海原雄山が現れて料理バトルになる。料理バトルといっても料理人同士のバトルではなくて、料理デッキを組んで勝負するみたいな感じのバトルなんですね。

アニメの絵面がときどき前衛的で、事務所の窓の明かりが異様に強調されて真っ白に発光してたり夜の道路の車列のライトがすごい感じだったり主張が強くて、そういうのも良い。

そして最近追加されたこの10話、面白かったな。




美味しんぼが現れた頃はまだ日本の食文化的なものが発展途上であった時代であり、クラブのVIPルームで闇カネモチが食うものは生ハムとかではなく柿ピーとイカリングで(?)、スーパーにズッキーニとかも無かった頃だという事を考えると、成程……話のテンションが「フォアグラよりアンキモのほうが美味い」というノリなのは、好景気で外食ブームが到来、しかし「舶来のものは偉いので、おフランス料理ザマス!」的な短絡的な価値観が世間にまずあって、そこに対して「違う! 日本のアンキモのほうがすごい! 大衆よ目覚めよ!」っていうアングルをとっていったという事なのだろうと思う……。グルメ文明の初期段階、文明人がひとつひとつ、美味しいものとはどういうものなのかについて議論し感覚を洗練させていった過程……みたいな、時代のうねりを感じて資料的なのですね。実際、子供の頃のおぼろげな記憶にも、美味しんぼがテレビでやり始めてから、素材は大事とかなんかそういう価値観みたいなものに大衆が遭遇した……みたいな雰囲気があったような気がする。ツッコミどころとか含めてパワーがあって今見ても面白い。原作漫画はなんというか独特なのだがアニメ版はポップだ。

さて、そういう文脈のなか、海原雄山はこの10話では、フランス料理の開店記念パーティーの場で、出された鴨料理を睨んで、秘書に「おい、アレを出せ」とかいって、いきなりワサビを重箱みたいなとこから出しておろし始める笑 なにやってんの!

「見たか! こっちのほうが美味い! ジビエソースなど惰弱! フランス料理はクソ」とか言い出す海原雄山に対して、その場に居合わせた山岡士郎がキレる。キレた山岡士郎の長台詞の文語調の啖呵の切り方、同じ雁屋哲の「野望の王国」と同じテンションのセリフなので、すっごい盛り上がる。きたきたァ! これェー!って感じになる。

この話の山岡士郎は最終的に、翌日、懐石料理のカツオにマヨネーズをつけたものを食べさせて勝つんだけど、その時に「これは遠洋漁業の漁師の食べ方だ。このやり方は美味いが、こんな場でなかったら俺は懐石料理のカツオでマヨネーズを懐から出してつけて食うなんて事はしない。なぜなら懐石料理は懐石料理としてリスペクトしているからだ。海原雄山、お前はフランス料理を頭ごなしに批判しようとしてフランス料理をその場でワサビで侮辱した。リスペクトの無いやつはクソ!」ってやり込める。これが最高。ぐうの音も出ない正論。リスペクトが無いやつはカモンメーン! って感じ。そんで、やり込められた海原雄山が、「お……おのれー! この海原雄山に説教するか貴様ーッ!」って最高すぎる。もうなんかそんなかんじで、この第10話はすごい面白いので観てみてね。野望の王国も読んでね。

(本兌有)


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