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【アイアン・アトラス・バトルロイヤル!】分割版 #5

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 ドンツクドンツクブブンブーン……ドンツクドンツクブブブンブブーン……ギャワワワワカカカッカカッカカッカストコココピロペペーパウーパウー!

 重低音ゆたかなBGMに無数の電子ゲーム音が同時再生される巨大ノイズが、薄暗く広大な店内を満たしている。その凄まじさはパチンコ・パーラーを凌駕する。適応していない者が長時間滞在すればあっというまに聴覚をやられるであろう。

 店内は蛍光ライトで彩られ、「アソビ」「アブナイ」「安全確認」などの文言を光らせるネオン看板で雑多に飾られていた。バリケードめいて並ぶ禅タンクやストレイバニー、キングオブドラゴンキングダムなどのヴィンテージ電子ゲーム筐体はしっかりとメンテナンスされており、今この時もクールなデモ画面を流している。店の奥にはものものしい手術台と拘束椅子がスポットライトを浴びており、天井からは奇怪なメカアームが垂れ下がっていた。

 これが「電子小説」……フーディーギャングのひとつ、悪名高き「カジュアリティーズ」のアジトである。

「アー、アアー、アーイイー……」

 歯科医めいた施術椅子には今も一人、処置を受けているサイバネギャングが居た。笑気ガスを吸ってハイになった彼の胸板に、排気バルブの増設を行っている最中だ。施術者もまたサイバネギャングである。サブリーダーのトリックアマックだ。彼は実際歯科医であったが、無断でサイバネ処置をしたために職を追われ、退廃的サイバネティストである現リーダーと共にカジュアリティーズを立ち上げた。施術光景を1677万色に発光するゲーミングチェアの上で眺めている男がその現リーダー、ウッドマンである。

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