【ギア・ウィッチクラフト】#4
◇総合目次 ◇全セクション版 ◇「磁気嵐の晴れた世界で」
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「……で、お前はヤナマンチの保護を求めている、と」「……ヤー(はい)。その通りです」初老の痩せた男は、ややおびえた様子で視線を彷徨わせた。「これ以上、カタナ社の非人道行為に加担するわけにはいかない」前を歩くフェイタルとギュンター博士のやり取りを、コルヴェットはじっと見守っている。
「非人道行為ね……」フェイタルは鼻を鳴らした。「ウチも大概だぞ? 給料も渋いしな」「雇ってもらいたいという事ではないのです」ギュンター博士はフェイタルの皮肉をそのまま受け止めた。「私が彼らのもとに居れば、利用される。我が故郷の土を、このような形で踏みたくなかった」
フェイタルとコルヴェットは無言で視線をかわした。続けて問うた。「お前はカタナ社の部隊に要請されて、この地の調査を?」「ヤー」「何が専門だ」「オヒガン理論です」「オヒガン」フェイタルは顔をしかめた。ギュンター博士は己の学問の正当性をアッピールする機会だからか、前のめりになった。
「オヒガンがオカルトの手慰みであった時代は月破砕と共に終わりました。古代よりその存在が認知されている人類の集合無意識野、これは現代テクノロジーの礎であるインターネットと相似し、それゆえ今や分かち難く融合しており……」博士は咳払いし、赤面した。「エントシュルディゲ(すみません)」
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