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【タイラント・オブ・マッポーカリプス:後編】分割版 #9

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「ハイヤーッ!」前転からのドロップキック、すなわちセンキュタイでフスマを蹴り壊し、コトブキは回廊から茶室にエントリーした。追ってくるゲニン達は撒いた。だがそこにもゲニンがいた!「デアエ!」「ホットな娘」カタナを抜いて立ちはだかるゲニン。しかし彼らは不意に苦しみ始めた!「グワーッ!」

「まだ殴っていません!?」コトブキは焦った。しかし彼らは頭を押さえ、よろめくのだ。彼らの目から光が失われてゆく。「バカな!?」「俺様のカラテ……嘘だ?」苦しみながら、彼らは顔を上げ、コトブキを睨んだ。だが既にコトブキは動いていた!「ハイッ!」「グワーッ!」「ハイヤーッ!」「グワーッ!」

「弱い……!」コトブキは走り抜け、奥の回廊に飛び込んだ。「弱体化です!」『アレだ、オレの黙示録的ハッキングの成果だ、全部な』タキが説明した。「そうなのでしょうか?」『そうだ。全部オレの手柄』「何かがあるのでしょう」その時だ! KRAAASH! 壁を破壊し、モーターワコクが出現! 即座に機銃を回転させる!

「ギュウイイイイ!」BRRRTTTTTT! マズルファイア! コトブキは転がって逃れ、角を曲がった。「オムラが本格的に……」『とにかくオサラバしろ! 中庭だ。ガキとか、例のアブねえやべえニンジャと合流するしかねえンだぞ!』コトブキは格子窓の外を見た。既にある程度下まで降りた。この高さならば!

『オイ!?』「ハイヤーッ!」KRAASH! コトブキは格子窓を破壊し、屋根瓦の上へ転がり出た。BRRRRTTTT! 機銃掃射が追いかけてきた。コトブキはゴロゴロと転がり、瓦屋根の上で立った。そして見た。オレンジの夕空を。西の空に溶けてゆく巨大な夕陽を。カイト操作を行えず、落下してゆくゲニン達を。

 ドオン。ドオン。ドオン。ドオン。背後頭上、天守閣最上層の上空には花火が繰り返し爆発し、そして「第六天魔王明智常醐」のショドーが垂れている。城の屋根から屋根へ、数機のモーターワコクがジャンプし、天守望楼に向かってゆく。コトブキは中庭を見た。乱戦。妙なのは、のたうちまわるゲニン達。

 無数の鞭じみた凶悪な力がうねり、いまだ襲いかかるゲニン達を跳ね飛ばし、引き裂いている。その中心ではアナイアレイターが金色の目を光らせ、半人半鳥のフィルギアと共に敵と戦っている。「イヤーッ!」バリバリと放電を伴い、有角の女ニンジャが屋根瓦に着地する。激烈な憤怒がコトブキを一瞥。

「惰弱!」ニンジャは吐き捨てると、高所に飛び移るモーターワコクにソニックカラテをぶつけ、そして稲妻爆発とともに跳んだ!「好き勝手しくさるクソ野郎どもがァーッ!」「……!」コトブキは思わず彼女を目で追った。『何やってる! ラッキーだろうが!』タキが喚いた。コトブキは頷き、屋根斜面を走った!

 イチ! ニイ! コトブキは軽く跳ね、そして屋根の縁から、跳んだ!「サンッ!」跳ぶ……落ちる……落ちる……黒砂のバトルグラウンドが近づく……争い、あるいは苦しむゲニン達……アナイアレイター……アナイアレイターのもとに走って近づくザックと、手をひかれるミズマル! コトブキは、着地前転!

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