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特別編:忍者ブリンガー刃鉄HAGANE 第3話【力石】

◇目次

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【忍者ブリンガー刃鉄HAGANE】
第3話 力石

 

 豪裏蓮花寺に集う坊主は、自ら訪れる者ばかりである。彼らは幼少の頃に神秘的な幻視を得、最終的にその導きが豪裏蓮花寺の参道に彼らを至らしめるのだ。阿難もそうした者の一人であり、末席ながら、等しく裏蓮花坊主の一員として、その夜も本堂における夜通しの逆さ経修行に参加していたのだった。

 本堂の四隅に置かれた篝火は常に巨大で、逆さ経と薄い酸素と高温が作り出す神秘的トランス状態は、彼らに同一のヴィジョンを徐々に見せてゆく。それは巨大仏像の胸元に浮かぶ神秘的な金の宝玉である。金の宝玉は「力石」と称され、百年、千年に及ぶ絶えざる祈祷が成就したその時、ありがたく実物の存在としてもたらされるものであるという。

 しかし彼らの地道な修行は、この夜、唐突に破壊されたのであった。

「アバーッ!」「アイエエエ!」「アババーッ!」本堂に突如押し入ってきたのは非現実的服装の男女四人。一人は少年であった。何の躊躇もなく、彼らは本堂の坊主達を虐殺した!「アイエエエエ!」阿難は死体の下敷きとなって息を殺した。わけのわからぬ光景だった。だが大僧正は何の狼狽もしていなかったのだ!

「遅かれ早かれこのような日が来るとは思うておったわ!」大僧正は彼らに向かい合い、裏蓮花空手を構えた(裏蓮花寺においては空手も重要な修行の一環であり、読経をしながら瓦を割り続ける瓦経、滝に打たれながら正拳突きを繰り返す滝正拳行などの修行が無数に存在していた。阿難はそれらの過酷な修行の意味を測りかねていたが、絶体絶命の状況下で真の意味を悟ったのである)。

「だが、やらせはせんぞ。裏蓮花寺は貴様らのような手合いを滅ぼす為にこそ空手を積んできたのだ。豪慶! 象慶!」「「応!」」大僧正の呼びかけに応え、僧侶の中でも最も空手が強い二人が並び立った。豪慶と象慶は2メートルを超す巨体の持ち主であり、大僧正は230センチあった! しかし襲撃者達は恐れることがなかった。大僧正は数珠を掴んで拳を突き出した。「名を名乗れ!」「僕は蘇我天狗(そがのてんぐ)。そして彼らは僕の大事な友達だよ……」

「蘇我天狗だと!? 蘇我にして天狗!? バカな!」大僧正は狼狽えた。「蘇我といえば風魔忍軍の向こうを張って戦国時代に一大忍者勢力を築き上げたが何らかの理由で姿を消した一団、これに対し、山中にて黒の力石の秘密を保持してきた天狗一門が相混じりよう筈もなし……!」「人というのは面白く、そして救いがたい」蘇我天狗は不敵に笑った。「今、君が目の前に見ているものこそが真実だというのに」「おのれ! かかれ豪慶! 象慶!」「「応!」」

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