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【日報】おれはストレンジャーシングスを見る(逆噴射聡一郎)


よくきたな。おれは逆噴射聡一郎だ。おれは毎日すごい量のテキストを書いているが、誰にも読ませるつもりはない。そもそもおれはここのところネットフリッコスでドラマ「ストレンジャーシングス」を見るのに忙しかった。全身全霊をかけてこの力作ドラマに挑んでいたのだから無理もない。

逆噴射聡一郎先生プロフィール:社会派コラムニスト。昔からダイハードテイルズ・マガジンに時々寄稿してくださいます。


ゲーム・オブ・スローンズーが終わり、おれの心に冬がおとずれた。あんなにスペクタクルで心振るわせる真の男のドラマが終わってしまい、どうすればいい? あまつさえ次の最終シーズンがやるのが2年後だという。そんなことをしているうちに、アリアとかはホットなベイブに育ち、木のじじいの洞くつから出たら声変わりしていた子供もきっと声変わりどころかむさい男に変わっている事だろう。2年・・・・なんという長い冬の期間をおれは待つ事になるだろうか? おれはRUINERもクリアしたので再び酒におぼれるようになった。そしてネットフリッコスをひらいた。するとトップにその動画があった。・・・それが、ストレンジャー・シングスとおれの出会いだった。そして、その出会いはほとんど運命だったといっていいだろう。


80年代がおまえをおそう

まず上のキービジュアルの時点でおまえはピンと来たはずだ。おまえは見たことがあるか? 少年たちが友情する80年代の映画・・・・・・グーニーズ、E.T、スタンドバインミーとか・・・そういう名作ぐんを・・・・とくにイーティーといえば、あのしわしわの宇宙人野郎がゆうめいだ。映画の開始時に地下室でダンジョンズ・アンド・ドラゴンズをやったり、スターウォーズのヨーダをきもちわるくしたみたいなしわしわの宇宙人が指を伸ばして少年と人差し指をくっつけ「トモダチ・・・」といって自転車で月を横切り・・・・・黒い影になる・・・そういう映画だった。

このストレンジャーシングスというドラマはそうゆう80年代で彩られている。舞台は80年代。髪形にボリューム感があるやつが出てきて、VHSっぽい音楽と色彩感が展開する。ジョイディヴィジョンとかもかかる。だが、これは広告代理店とかのタルサドゥームお得意の単なるNOSUTARUGYではなく、R・E・A・Lな必然性がある。もしかすると、おれたちは80年代にもっとやるべきことがあったのに、10年しかなかったせいで時間が足りずに途中でほっぽり出され・・・・・それらはコナンザデストロイヤーとかと一緒に全部なかったことにされ・・・世界を動かす大人どもの頭からはきれいさっぱり忘れさられていたのではないか。

タルサドゥームどもはすぐに何年代とかいってムーブメントを作ろうとするが、真の男はそんなものを信じない。だから奴らの作ろうとした80年代ムーブメントは2000ねんだいに一度失敗した。FAKEだったからだ。だがFAKEなやつらの失敗したたくらみとか関係なく、カセットテープはクールでありつづけた。市民は自分たちの手で、徹底的に、ほんとうに思い出す時が来たわけだ。よく考えるとコナンザデストロイヤーも80年代であり、何年代とかは関係なく、ハッセルホフなどの真の男はつねに存在し続けていることが見直され始めている。そう考えさせる何かが、ここ数年あちこちで確かに起こっており、おれはその答えを探し求めてサボテン砂漠を放浪している最中だ。そして・・・・・最新のそういうのであるストレンジャーシングスにも何らかのヒントが隠されているに違いない。

再生すると、おまえはまずいきなり80年代てきな記号に迎えられる。最初はガキどもが地下室でダンジョンズ安堵ドラゴンズをやるところからスタートするし、夜に自転車をこいで移動するので、ほぼETであるといえる。しかしこれはハートフル心温まるストーリーというわけではない。もっとショッキングだし、危険だし、サスペンスした話がてんかいされるのだ。

ダンジョンズアンドドラゴンズをやっていたガキは四人(ダンジョンズアンドドラゴンズのようなものを地下でやっているやつは学校ではナメられがちだ。ご多分にもれず、こいつらは学校ではむかつくいじめっ子とイザコザしている)。こいつらが話の中心人物だ。さて、その四人のうち、優しいウィルは、帰り道でなんかやばいバケモノに襲われる。そして行方不明になる! ウィルの家には兄貴とママ。母子家庭なのだ。ママはウィノナライダーだ。ウィノナライダーといえば万引きでつかまったり色々あったので、このママもじょうちょ不安定だ。頭にくるとワッとなるタチなので結構周りの人にうとましがられているというわけだ。それなのに、賢くて優しいウィルは行方不明になってしまった・・・・。何の落ち度もないのに、消えてしまったのだ。こんな恐ろしい話があるだろうか。スティーブンキングだとよくあるが、おれはいま現実の話をしている。現実に子供が消えたら相当こわいことが、抜け目ないお前ならばわかるだろう。

ウィルは消えてしまう直前、スレンダーマンみたいなやつに追われていた。バケモノはきほんてきに見えない。しかし、動くとき電球がついたり消えたりするので反応がある。そして、襲う時は出て来る。襲われた奴は、食われ、死ぬ・・・・・。とにかく恐ろしいやつだ。いったいどうしてそんなものが街にいるんだ? わからない。だが時同じくして、街のはずれにあるおかしな研究所から少女が逃げ出す。やばい研究員がこの少女を追って、証拠いんめつのためにガンガン市民を殺したりして恐ろしい。もうわかっただろう。この少女は超能力をもっており、怪物はこの少女と何らかの関係があるのだ。

ウィルの失踪は、ウィルの家族にとって不幸そのものだ。ウィノナライダーは半狂乱で、見えない子供が今ここにいるといって大騒ぎする。テレビを見ているおれはそれが真実だと知っているが、どうかんがえても半狂乱の譫言なので周りの人間からはなかなか理解が得られない。おまえだってもし自分の親が「見えない何者かに息子がさらわれた」といって部屋をクリスマスで電飾したら、もうほんとうに悲しく大変な気持ちになるはずだ。誰からも信じてもらえないウィノナライダーの孤独な戦いが始まった・・・・! そして友達3人も心配してウィルを探そうとする。こいつらはやる気はあるがしょせんはガキなのでだめだ。しかしこのガキどものところに、さっき言った少女が転がり込む。イレブン・・・マイクはこの娘にホの字になる。そしてエルと呼び、友達になるのだ。あと警察署長もいた。警察署長はぼんやりした男かと思っていたら過去に娘を失っておりウィル捜索に全力を傾ける。やつは相当真の男だといっていいだろう。おれが太鼓判を押す。おれはシーズン1を全て見た上でこの記事を書いている。つまりおれの言葉は、ネットフリッコスドラマといえば何でもGET DOWNみたいに打ち切られる思って耳を塞いでガクガク震えているその辺の腰抜けどもよりも、はるかに信用できるということだ。


登場人物

ウィルを探すのは大きく分けてふたつ。ウィルの友人とウィルの家族だ。その2グループで話が進むことがおおい。

(子供チーム)

マイク:主人公だ。ジャリどもの中でも特にクヨクヨ考えているし、イレブンにほれた。

ダスティン:友達のひとりだ。こいつは太り気味だし食う事ばかり考えているのであほだが、じつはそうでもない。真の男の資質を備えているといえよう。ロードオブザリングでもサムは太っていたので、そういうことだろう。

ルーカス:友達のひとりで、わりと喧嘩っ早いやつだ。こいつはギャーギャーわめいてうるさいのでおれは相当イライラさせられた。だがガキなのでゆるしてやったし、後半はガキどもはうまく噛み合う。

イレブン(エル):逃げてきた女の子だ。坊主頭で、超能力をもっている。外界からかくぜつして育てられており、うまく喋れない。このむすめは演技がうまい。子役のうちにこんなに才能があると、セレブ社会で後々ろくなことにならないかもしれないのでおれはしんぱいしている。

ウィル:友達だ。賢いし、優しい子供だ。だがそれなのにバケモノに襲われ消えてしまった。ウィルはどこにいった? しんだのか? いったい? 彼を探し出すべく皆が東奔西走するのがこのドラマなのだ。

(ウィルの家族チーム)

兄貴:いなくなったウィルの兄貴はカメラ小僧だ。写真が趣味で、家では海を越えたU・K産の当時エッジイーな音楽・・・つまりパンクとかニューウェイブとかを聴いている。つまり音楽の趣味が最高だが、そのせいでジョックなやつらからはバカにされている。だけどこいつは優しい奴だし、かなしみに鍛えられた真の男だ。

ウィノナライダー:とにかくピーキーな母ちゃんだ。いつも泣きわめいている。だれにでも手負いのWOLFー狼ーのように噛みつくので始末におえない。だが愛する息子が消えたのだ、それもやむをえまい・・・・。いなくなったウィルとなんとか意思を疎通しようと悪戦苦闘するさまに、おれは漂流教室を思い出した。とにかくテンパっている。きをつけろ。

署長:ウィルの家族ではないが、ウィルをまじめにさがしてる大人なので、便宜的にここに入れた。こいつは都会でバリバリ刑事をしていたが娘を失って田舎の署長になった。悲しみの中で生きていたがウィルがいなくなったことによってじょじょにタフなおのれを取り戻していく。こいつは真の男だ。

(その他)

マイクの姉:あほの彼氏といちゃいちゃしている。しかしこの問題に深く関わることになるし、そうなるとこいつはマジで目つきがかわりタフになってきた。

あほの彼氏:こいつはあほだし、腰抜けで、ウィルの兄貴をいじめるし、どうしようもない。だがこいつはそれでも最後の一線で踏みとどまる善良性の片りんを残しているといえよう。それは愛の力だ・・・・。



最初しんどいが耐えろ

このドラマは最初かなりつらい。内容がつまらないのではない。80年代特有のあの暗さや不気味さがあるのでかなりかわいそうになるし、胸が痛むからだ。おれは冒頭、ガキどもが地下室でダンジョンズンアンドドラゴンズをやっていた様子を見て、なるほどこうゆう日常のちょっとした冒険ストーリーでハートフルになる、とばかり思っていたがぜんぜんちがった。おまえは映画のサイレントヒルをしっているか?あんな感じだ。ゆっておくが、ETみたいなハートフルな出来事は全然おあずけだ。

おれはビールとドリトスを手に、その日の疲れから解放されるべく映像を見たというのに、しゃれにならないくらいひどいめにあっているウィノナライダーとか、口喧嘩ばかりしてモメてるガキどもや、ボリューム感がすごい髪形のあほの彼氏といちゃいちゃする女とかを見守らなければならない。イレブンもちょうかわいそうだ。はっきりいってこのストレンジャーシングスには超かわいそうな奴とあほ、どちらかしか出てこない。ここがメキシコだったら全員流れ弾どころか日差しが強すぎて死んでいてもおかしくないし、70年代のアメリカでも自然淘汰されてダスティンホフマンみたいに凍死しているところだが、文明化されて暖房とかがついた80年代のアメリカ文明圏にはそういうやつが過酷な自然の中で死なずにギリギリ生き残ってしまう無慈悲さがあるのだ。だからおまえはそういう現実を見て悲しみに震え、思わず再生ボタンを止めてしまいそうになる事だろう。だが、そこで逃げてはならない。かわいそうな奴とあほしかいないが、こいつらはがんばって問題に立ち向かっていく。人と人・・・・それらがあつまり、やがて真の男となって、しんじつを求める・・・・。おまえはそれを見届け、ふたたび真の男たるコナンザデストロイヤーへと鍛え上げられる時がきた。そしておれとともに、配信されたばかりの第2シーズン視聴の新たなメキシコへ漕ぎだすことになるだろう。

(逆噴射聡一郎)


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