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S4第1話【ザ・シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム】

◇総合目次 ◇初めて購読した方へ

◇ →3分でわかるシーズン1~3のまとめ


 若きオリガミ・アーティストとして生きていたマスラダ・カイは、マルノウチ・スゴイタカイビルの悲劇によって邪悪なニンジャソウル「ナラク・ニンジャ」をその身に宿し、ニンジャスレイヤーとなった。

 それまでの生き方を全て捨て、復讐者となったマスラダは、ピザタキの情報屋タキ、自我を持つオイランドロイドのコトブキの助けを得て、熾烈な戦いをくぐり抜けた。ブラスハート、シンウインター、クローザー、サツガイ、明智光秀。

 明智光秀との決戦を終えたマスラダは故郷ネオサイタマへ帰還し、ピザタキを根城に、ニンジャスレイヤーとしての生き方を模索した。戦いの中で育てた凄まじきカラテ……ニンジャを殺す力を以て、己が為せる事はあるか。

 マスラダが最初に殺めたニンジャ「カノープス」が、かつてネオサイタマで成そうとしていた事。彼はその足跡を辿るように、ニンジャ絡みの荒事を解決する存在として、あらたな人生を一歩先に進めようとしていた。


【ザ・シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム】


1

「聞け。偉大なるカツ・ワンソーの子らよ」セトは鮮血の盃を掲げてみせた。

 セトは茫漠たる荒野の只中に居る。彼の頭上では黄金の立方体が輝いている。即ち……この荒野は尋常の世界ではない。オヒガンと呼ばれる超自然の次元だ。そして荒野に彼はただ一人。彼を取り囲む石板群の表面には今、一人ずつ、恐るべきニンジャたちの不明瞭なバストアップが映し出されていた。

 セトは石版を悠然と見渡した。「この肥沃な世界の土を再び踏みし我らは、時にいがみ合い、時に憎しみ合い、血塗られし領土争いを繰り広げても来た。だが、今はひととき禍根を忘れん。古式ゆかしきイクサ儀式の場で、互いの戦士の優劣を決めるとしよう。恰好の獲物が現れた今この時にな……」

『獲物?』『異な事を』『……』石板の影の反応は様々。シルエットも様々だった。なかには人の姿から遠くかけ離れた者もあった。『試合の類か?』ムカデじみた異形の影は、昆虫めいた顎をカチカチと鳴らした。『企んでおるな、セト=サン』『よいではないか。まずは訊こう』レイヨウめいた角の持ち主が宥めた。

『セトよ。お前がこそこそと何かしておった事、我らが見通しておらぬと思うておるのなら、ちと増上慢が過ぎようもの也』『然り。ドラゴン・ニンジャの似姿、あれをネザーオヒガンに遣って、何を得た?』石板に映し出されたニンジャ達が口々に言葉を発し、しばしの紛糾。セトの魔術的な目が細まった。

『クキキキ……まあまあお歴々!』石板の一人が耳障りな笑いを放つ。『私もセト=サンの提案は尊重したい。実際、彼は研究熱心な方でおられるし……何事にも深甚なお考えがあろう。そんな彼が敢えて……ムフ……遊ばれるというのならば、その趣向に全力で乗らせていただくのが実際、粋というもの』

『貴殿もなにかお考えのようだが……まあ、良いでしょう』影のひとつが頷いた。『右往左往する貴殿のありさまには愉しませてもらっている事ですし』『クキキ……それは何より』「では、よろしいか」セトはあらためて確認した。このうえで四の五の言うものはシツレイであり不粋である。

 無言の肯定。

 セトは満足げに喉を鳴らし、片手を差し上げた。そして言った。「ストラグル・オブ・カリュドーンの儀式を、ネオサイタマの地にて執り行う。狩りの獲物はニンジャスレイヤー也」セトの眼前に赤黒の炎が浮かび上がり、それがニンジャの姿をとった。石板の影たちが身じろぎした。

 彼らは儀式の意味を熟知していた。ストラグル・オブ・カリュドーン。即ち「狩人の印」を刻んだ獲物を追い詰め、最初に獲物の心臓を引きずり出して血を飲んだ者が勝者となる。勝者に与えられるのは絶対の承認……!『ニンジャ……何?』『ニンジャスレイヤーですな』『詳しいのか?』『例のアケチを』

『ほう。ニンジャスレイヤーとやらがアケチを処したとは初耳』『アケチは、ちと増上慢の傾向が見られた事よ』『然り』『だが確かに……ならば狩りの獲物としてもそれなりに満足なカラテを持つであろうな。そのニンジャスレイヤーとやら』『クキキ……私が太鼓判を押します。奇遇にも、あれの事は存じております』

 ナラク・ニンジャを宿した災厄、即ち「ニンジャスレイヤー」は、平安時代に初めて出現した大禍であり、当時のソガ・ニンジャによって対処された。この場に集う者らは平安時代よりなお旧きリアルニンジャ達だ。それゆえ直接にその災いの委細は知らぬ。知ったところで、畏れる者はないだろう。

『ハトリの者らは下賤なモータル一匹始末するにも手こずったとな』『クキキ……』『無論、我ら自身が狩りを行うわけではあるまい? セト=サン。それは "試し" の範疇を超える事になる……』レイヨウの角の影が促した。セトは頷いた。「試練にあたりては、無論、我ら各自が代理戦士をたてる」

 セトの両手の間に、色分けされた地球のビジョンが生じ、自転した。「我らは各々が領域を持ち、その維持に腐心しておる。故に代理戦士をネオサイタマへ遣わすべし。粛々と試練を執り行い、勝者となった者の主が、ダークカラテエンパイアの空なる玉座を守る摂政の座につき、余の者らを従えるのだ」

 ダークカラテエンパイアの、空なる玉座。かつて玉座に在りし者。その不在が醸し出す存在の重さは、質量を伴った風となって、このオヒガンの荒野を、そして石板の向こうのリアルニンジャ達の頬の横を流れていった。セトはホロ地球を砕き、マキモノめいたパピルスを長く広げ、示した。

「カツ・ワンソーの子らよ。試練に名乗り出るならば、この神聖パピルス片に各々のハンコをつくべし!」セトが掲げたパピルスには、既に彼自身のハンコが打たれていた。そして、おお、見よ! 連なるように、六つの刻印がたちまち焼き付く! 則ち計七名のリアルニンジャが儀式に参加する事が決まった!

 バチバチとささくれた雷鳴じみ音が鳴り、モザイク状のノイズが荒野を満たす001010000010101

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 010010010101001再び晴れると、物理世界において議決から数ヶ月が経過している。セトは同じ荒野に再び立ち、空間に刻まれた七つの名をあらためて確かめていった。

 サロウ。

 メイヘム。

 コンヴァージ。

 ベルゼブブ。

 アヴァリス。

 マークスリー。

 そしてセトの戦士、ブラックティアーズ。

 ……ブラックティアーズの名がチカチカと光った。セトはそちらに注意を向けた。

 光る名が、跪くブラックティアーズの姿に変わった。「戦士たち全て、一つ所に集まりましてございます」ブラックティアーズが報告した。セトは天を見た。黄金のキンカク・テンプルの周囲の星のめぐりを。彼は満足し、頷いた。「狩りを始めるがよい。すみやかに、獣に印を打つべし」


◆◆◆


『安い、安い、実際安い』重金属酸性雨の中、鈍色の空に、マグロツェッペリンの広告音声が響き渡る。昼下りの市場を行き交う者達の佇まいは雑多だ。編笠を被った電子傭兵、自我もつウキヨ、スモトリ崩れ、ジャンク屋、サラリパンクス。月破砕から10年以上が過ぎ、街は混沌の色彩をより鮮やかにする。

 出自も所属も目的も異なる人の群れを掻き分け、ケブラー装束の男が荒っぽく押し通る。男はニンジャであった。追われていた。血塗れの刃を手に、息荒く、幾度も後ろを振り返る。だが追跡者を引き離す事はできていない。「どけ!」「アイエエエ!」スシ・ソバ屋台を薙ぎ倒し、路地裏へ走り込んだ。

 一方、追う者は着実な足取り。極彩の人々を最小限の動きでかわしながら、ニンジャの後に続く。七色のペンキに、黒い墨を垂らしたようだった。短い黒髪、黒いPVCパーカー姿の、鋭い目つきの男だった。彼の名は、マスラダ・カイ。またの名をニンジャスレイヤー。

『いいか、ニンジャスレイヤー=サン。繰り返すが……』ニンジャスレイヤーはニューロンに響く声を聞く。タキのIRC通信だ。『そのファッキング・ニンジャ野郎の心臓だ。心臓を……ウェーッ! 引きずり出して、持ってこなきゃいけねえんだからな』「わかっている」『でないと……』「始める。切るぞ」

 彼が追うニンジャ、シンセシスは危険なサイコパスであり、無作為に選んだ被害者市民の心臓を己の心臓の鼓動と遠隔同期させて、予告のうえで24時間のカウントダウンから心停止せしめて殺すという回りくどい手口で恐怖を呼び起こしていた。だが、それも今日で終わりだ。

『安い。安い。実際安い』『凄いローンだ! 今すぐ借金!』『愛、それは我が社です』けたたましい広告音声は闇の後ろに遠ざかる。マスラダは雑居ビルの谷間へ分け入っていった。空は狭く切り取られ、古樹めいて張り巡らされた配管パイプが水蒸気を噴き上げる。闇を照らすのは大小のネオン看板だ。

『電話王子様』『スピーカモゲル』『だんご』『裕司と典子』『絶対はい』。様々なフォントとネオンの色彩、ステーキ皿を差し出す牛などが賑やかな看板群が、バチバチと音を立てて漏電するたび、路地は闇と薄明かりを行き来する。裏通りにも市民の姿は多い。表通りよりも胡乱で、敵意ある者達。

 マスラダはニンジャを追い、都市の闇へ分け入ってゆく。タキとのIRCが乱れ、ネオン看板が明滅する。影がマスラダの後に続く。ネオンが火花を散らすたび、続く影の数は増えてゆく。ひとり。ふたり。三人。マスラダは歩みを止めぬまま、追ってくる者達に注意を振り分けた。頭上のビルを影が横切った。

 今や追跡者は七人に増えていた。追跡……否、包囲である。マスラダは顔に手を当て、離した。ニンジャスレイヤーの顔には「忍」「殺」のメンポが装着されていた。前、後ろ、上。彼は足を止めた。そして、取り囲む正体不明の敵に向かって、アイサツした。「……ドーモ。ニンジャスレイヤーです」

 切断されたニンジャの四肢、そして胴体が目の前にボトボトと落ちてきた。それから首が降ってきた。変わり果てたシンセシスは恐怖と困惑の眼差しでニンジャスレイヤーを見上げ……「サヨナラ!」爆発四散した。その瞬間、彼の心臓に同期された市民5人がネオサイタマのどこかで同時心停止した。

「殺ッたのは俺じゃない。ごめんね」声が降ってきた。その者は斑模様のブルゾンとスキニーパンツという出で立ち、極端なツーブロック・ヘアで、髪色はリアルタイムに七色のグラデーションで変色し続けており、右眉は生えておらず、リングピアスがその代わりだった。「ドーモ。サロウです」

 ニンジャスレイヤーは配管パイプの上に立つサロウを睨んだ。サロウはぱちぱちと瞬きした。「まあ、友達じゃなさそうだったし、いいよな。サイコパスっぽかったしさ」「ダラダラ喋るな。カスが」別のニンジャがサロウに言い放ち、アイサツを続けた。「ドーモ。メイヘムです」黒い高級そうなパンツスーツを着こなす女で……蛇の目。

「……」ニンジャスレイヤーはメイヘムを見、それから弾かれたように前へステップして後方を警戒した。闇から染み出すように、大柄な男が現れ、退路を塞いだ。「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。アヴァリスです」バチバチとネオンが爆ぜ、看板に腰掛けるニンジャを照らす。「コンヴァージです」

 ウォウウウウ……ウォウウウウ。唸るような音を鳴らす源は、前方、歪んだ電灯の下に立つ長衣姿の女。ガスマスクでくぐもった声を発する。「ベルゼブブです」ニンジャスレイヤーはその奥を見やる。薄水色の髪をした大英帝国装束の美少年。それもニンジャだ。「ドーモ。……マークスリーです」

「……それで。そこの貴様で、最後か」ニンジャスレイヤーは横倒しの機械ブッダ像の上でアグラする、古代エジプト貴族じみたニンジャを見た。ニンジャの頭の周りを黒いクリスタルが旋回していた。「ドーモ。ニンジャスレイヤー=サン。ブラックティアーズです」「おれになにか用か」

「これは驚いた。獣は一丁前にクチを聞くのだな」ベルゼブブがくぐもった声でせせら笑った。「誰から行く? アイサツは済んだぞ」アヴァリスは待ちきれぬように、その手を握り開いた。マークスリーは他のニンジャ達を冷たい目で見ていった。ブラックティアーズが言った。「貴様は此れより獲物となる」

 ニンジャスレイヤーの全身を燃える血が駆け巡り、時間感覚が凝縮された。タキとの通信は途絶している。この、身なりもアトモスフィアもちぐはぐな七人が、自身の命を獲りに来た。ともかく、そういう事だ。ニンジャスレイヤーは身を沈めた。足元のコンクリートが亀裂を生じた。「イヤーッ!」跳んだ!

 ニンジャスレイヤーが標的としたのはブラックティアーズだ。ニンジャスレイヤーは空中で高速横回転し、鉤爪で顔面を刳りに行った。残像を残し、そこへ瞬時に割って入ったのはメイヘム!「イヤーッ!」「イヤーッ!」カラテが衝突し、空気が震える! ニンジャスレイヤーはそのまま回し蹴りを繰り出す!

 大木を叩き折るような蹴りだ。しかしその勢いは中途で殺された。「グワーッ!?」ニンジャスレイヤーの目から血の涙が流れた。脳髄をマンリキで締め上げられたような感覚。サロウが自身のこめかみに指を当てている。「俺だよ。悪いけど全力で行くからな……」ドクン!心臓が強く打った。

 ニンジャスレイヤーはジツを撥ね返した。「グワーッ!?」強制切断の瞬間、サロウの困惑が伝わってきた。サロウは鼻血を拭い、驚きに目を見張る。だがメイヘムはこの一瞬のカラテの逸れを捉え、ニンジャスレイヤーの脚を掴んで抱え込んだ。折りに来る!「イヤーッ!」

 ニンジャスレイヤーは敢えて逆らわず、大きく回転した。力のバランスが逆転する瞬間を捉え、メイヘムを投げ飛ばした。「イヤーッ!」KRAAASH! メイヘムは配管パイプを蹴って破壊し、衝突ダメージを殺す。ニンジャスレイヤーはブラックティアーズに踵落としを繰り出す!「イヤーッ!」

 バリリ、と音がして、黒いクリスタルが輝き、ハニカム構造の力場がカラテを受けた。「あくまで私か。だが……」ウォウウウウ! ウォウウウウウ! 唸るような音は羽音!渦を巻いて押し寄せたのは、ベルゼブブの方向から放たれた大量のバイオ蝿であった!「ち……!」ニンジャスレイヤーは再跳躍!

 ウォウウウウウ! ウォウウウウウ! バイオ蝿はうねりながら上昇し、ニンジャスレイヤーを追う。ニンジャスレイヤーは稲妻じみてトライアングル・リープを繰り返した!「イヤーッ!」地面を走ってくるニンジャは、コンヴァージ! 右腕にはスクラップの連なりを引きずってくる!

「イイイイイ……イヤアアーッ!」KRAAAAASH! すくいあげるようなアッパーカットは巨大なジャンクの拳と化し、狭い路地を刳りながらニンジャスレイヤーを襲った。ニンジャスレイヤーはジャンク塊を殴り返した。「イヤーッ!」KRAAASH! 反動で上へ跳ね上がる! 跳ねた先にはメイヘム!「イヤーッ!」

 メイヘムは組んだ手を振り上げ、ハンマーめいて振り下ろした。ニンジャスレイヤーはガードし、下へ跳ね返された。KRAAASH!「ヌウーッ!」地面が爆発し、叩きつけられたニンジャスレイヤーのもとへ再びコンヴァージが近づく。彼はアヴァリスとマークスリーを見た。「やらんのか。お前達は」

「まだコイツは真価を見せていない」アヴァリスは答えた。「一気にやったら勿体ないだろうが」一方、マークスリーは真っ直ぐに立ち、ただ見据えている。ブラックティアーズが彼を見ると、ただ首を振った。「多勢に無勢。これならば、僕がきみ達に手を貸す事もなかろう」

「なにか勘違いしているようだな」コンヴァージはジャンクを篭手めいて集めた両手をガシガシと打ち合わせた。ニンジャスレイヤーは前傾姿勢で向き直った……「グワーッ!」「よし……慣れだ、慣れ。こういうのは」背後頭上でサロウが呟いた。「チームワークって良いよな。やれ、コンヴァージ=サン」

「ヌウーッ……!」ニンジャスレイヤーは目を見開き、遠隔攻撃に耐えながら、コンヴァージを待ち構えた。ウォウウウウウウ! 嫌な音が周囲にひろがる。コンヴァージとニンジャスレイヤーの周囲に蝿のドームが形成されつつあった。「イヤーッ!」コンヴァージが殴りかかった!「イヤーッ!」殴り返す!

 KRAAASH! ジャンクが吹き飛び、コンヴァージが怯んだ。ニンジャスレイヤーの拳から血が噴き出す。後退するニンジャスレイヤーに蝿たちがたかり、食らいつく!「イヤーッ!」血飛沫が燃え、黒炎と化して、蝿達を焼き払う!「イヤーッ!」振り回す両腕が蝿を殺す!「イヤーッ!」メイヘムが乱入!

「グワーッ!」背中から蹴られたニンジャスレイヤーは地面を転がる!「逃がすわけにはいかない」そこにマークスリーが立ちはだかる! じわじわと包囲網は狭まる!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは地面に拳を叩きつけた。石塊と衝撃波が拡散し、彼らをひるませる。その目に赤黒の炎が燃え上がる!

 (((マスラダ……!))) ナラク・ニンジャの声がニューロンに反響した。メキメキと骨が軋む音が鳴って、ニンジャスレイヤーの背中に黒いキリングオーラが燃え上がった。サロウの耳から血が流れ出した。蝿の群れが渦を巻き、襲いかかる。ニンジャスレイヤーの背に、縄めいた筋肉が持ち上がった!


2

 ニンジャになる以前から、サロウは抜群に「ハヤイ」だった。ベルリンのハッカー・コミュニティにおいて、サロウが畏れられる存在になるまで、そうはかからなかった。単純な事だ。自分が三番手であったならば、一番手と二番手のハッカーの脳を焼けば一番になる。

 一番手の「ゲルハルト・ゲルハルト・ゲルハルト」のニューロンが千千に破れて01消滅するさまを、極度のスローモーションの感覚の中で見つめた。それがサロウに訪れた最初の絶頂の瞬間だ。翌朝、彼はベルリン一番の娼館のオネイ・チャンを全員呼びつけ、プールサイドで天国そのものの体験をした。

 慣れない事は、するものではない。なにしろそれはサロウが生まれてはじめて自部屋から出た瞬間だったのだ。その日の正午にはジゴクに落ちた。ゲルハルト³はカタナ・オブ・リバプールの紐付きであり、オーバードーズ寸前までキメまくっていたサロウは容易にガラを押さえられた。どうやって逃げ出したのかは覚えていない。

 カタナの武装社員が頭を爆発させて彼の周囲に倒れていた……そんな映像がPTSDとして残っている。どうやって殺したのか? じきにわかった。彼はそのときニンジャになったのだ。その代償は大きかった。原理はわからぬが、実際彼はそのときからLAN直結の力を失った。しかし失意のままにセプクする暇もなかった。彼のニンジャソウルが助けてくれた。

 人間のニューロンというのは、ローカルコトダマ空間なのだから、ちっぽけな脳漿のファイアウォールを破り、ジャック・インして貫通すれば、そこを出発点に、広いコトダマ空間に飛び出す事ができる。UNIXにうまく触れなくなっても、このやり方ならば代替としては十分すぎるほどだ。彼は自部屋を離れ、外の世界へ、ネットワークの大海へ、再び踏み出した。

 この異質な力は何によって与えられたのだろう。サロウは知りたくて仕方がなかった。ニンジャソウル、それはすぐに理解した。では、何がそれを与えたのか。やがて彼が引き寄せられていったのは、「祝福」を求める探求者達の互助コミュニティだった。かつての中心人物たちは軒並み姿を消しており、継承が断絶したまま新参の者らが集まった、廃墟の再構築めいた電子の村だった。

 サンズ・オブ・ケオス。それが電子コミュニティの名前だった。素敵な名前だ。彼はそう感じた。神秘の感覚を共有する者たちのもとへ、祝福者が降臨し、力を与える。名を「サツガイ」。ああ。そういう事か。サロウは理解した。つまり、サツガイがニンジャソウルをくれたのだな。二度目の絶頂が訪れた。

 サンズ・オブ・ケオスの者らはサツガイの降臨を期待し、情報を交換し、様々な儀式や実験に明け暮れていた。集団ザゼン、ボン・ダンス、サバト、拷問。やがて……トランスの果て、コトダマ空間の彼方で、実際に、超自然の電子揺らぎに触れる者たちが現れ始めた。サロウは焦った。俺にも権利がある。

 数え切れぬジャック・インを繰り返し、治安維持の為に出動してくる企業ニンジャを返り討ちにするなかで、彼のジツはどんどん磨かれていった。探求の果て、彼は他のサンズ・オブ・ケオスの連中が電子揺らぎとして垣間見てきた「存在」の「そのもの」を見出した。それはサツガイではなかった。「サツガイ? まあ違うけど、大した問題じゃない」女の電子姿は笑った。「アタシが答えをあげる」

「誰……?」「アタシはオモイ・ニンジャ」女の目の中には瞳が3つあり、艶めかしい唇はピンクだった。「イイ? アタシの人格と外殻は、このイカした女のものをもらったんだ。平和的にね。そうしないとアタシが存在するのは難しい。アブストラクト過ぎるから。この女にも名前はあったけど、要らない」

 横並び。正三角。縦並び。逆三角。オモイ・ニンジャの瞳の位置は移り変わり続ける。「アンタ、なかなか見込みがある。自力でアタシのところまで来たから。撫でてあげる」「エ」オモイ・ニンジャは撫でてくれた。「ファックしてあげる」「エ」オモイ・ニンジャはファックしてくれた。三度目の絶頂。

「アンタのする事が、アタシのためになる。ね」「ええと……」「アタシがアンタのボス。わかるね」「……わかる」「タノシイよ。アタシと一緒に冒険しよ」「……そう、だね」……めくるめく日々。そしてその先端に、ネオサイタマがあった。

 ストラグル・オブ・カリュドーン。妙な儀式だ。わけもわからず、彼は街を彷徨った。他の狩人たちにはいずれ出逢う。それまで頑張りな。……それがオモイ・ニンジャの啓示だった。

 ネオサイタマは過酷な街だ。ダサいやつは狩られる。だからって、殺してばかりいれば長居は出来ない。彼は髪にネオン遷移処理を施し、ファッションをキメた。いい街だった。

 星辰が定まったのはほんの少し前。マルノウチ・スゴイタカイビルの屋上、彼は他の六人のニンジャと相まみえた。四隅のシャチホコ・ガーゴイルが凄まじかった。六人は震え上がるようなキリングオーラを漂わせる恐ろしい奴らで、サロウを邪険にしたが、怯んではいられない。自分もまた……狩人なのだ。

 ブラックティアーズが儀式のルールを告げた。ストラグル・オブ・カリュドーン。まずは獲物たるニンジャスレイヤーに印を打つ。これは参加する全ての狩人にて執り行う。他の狩人は友達にはなりえない存在だったので、サロウはやや落胆した。むしろ競い合うライバルであり……場合によっては彼らから身を守る必要すらある事を知った。

 そして、ゆえに、この局面で容易に自分の手の内を明かすわけにはいかない。だからといってニンジャスレイヤーはこちらの事情を考えず全力で抵抗してくるのだから、飼育員みたいに笑顔でホールドアップして近づくわけにもいかない。つまり……チームワークだ。全力でやれない分、皆の協力、パーティープレイで補うのだ。最初で最後の共同作業か。なんともいえない感覚をサロウはおぼえた。

 自分はこのパーティーでは後方支援タイプだ。前衛の奴がカラテでニンジャスレイヤーをそこそこなぶって、反撃しようとしたところに、自分のユメミル・ジツで攻撃をかける。凹凸を補い合った、なかなかバランスの取れた布陣だ。その筈なのに、アヴァリスとマークスリーときたら、何たる非協力。

 アヴァリスはやたらとニンジャのジツをその目で見たがる。体験したがる。危険なアトモスフィアを感じた。マークスリーは気取り屋だ。屋上でも打ち解けなかったし、さっきの多勢に無勢という言葉も引っかかった。パーティープレイを卑怯と考えている節があった。コンヴァージの言う通り、ズレている。

 その点、メイヘムは率先して動いてくれる。リズムを作りやすい。サロウはメイヘムに好感をおぼえた。ファッションも素敵だ。ニンジャスレイヤー相手にどんどん攻めていくし、打撃戦でも遅れを取らない。間近で見るニンジャスレイヤーは確かに恐ろしい。だが、コンヴァージもメイヘムも無傷だ。

 アヴァリスやマークスリーが動かないのは釈然としないが、確かにこのくらいの相手ならば代理戦士のカラテで容易く抑え込む事ができる。「カリュドーンの獣」という名称のイメージ、メンポに刻まれた異様な「忍殺」の文字は事前の恐怖を誘ったが、結局のところ代理戦士はそこらのニンジャとハナからモノが違う。そしてサロウもその一人だ。誇らしい。

 サロウは鼻血を拭った。一対一でやる時は、もう少し頑張りの度合いを上げていく必要があるか。一度目、二度目と、ジャックインを弾かれた。精神防衛の適正がある相手だ。コツを掴みきるのに何度か試す必要がある。理想的には直接こめかみに触れてのジャックインなのだが、どこまで出来るのかを他の六人にここで知られるのは躊躇われる……。

「イヤーッ!」その時だ。ニンジャスレイヤーの背中に縄めいた筋肉が盛り上がり、赤黒の炎が燃え上がった。泥めいて鈍化したサロウの主観時間が堰を切って溢れ出た。反撃が来る。サロウは身構えた。ニンジャスレイヤーは赤黒の竜巻と化した。その竜巻が、四方八方に無数の燃えるスリケンを投げた!

「ア……」サロウは瞬きした。スリケンは……ナムサン……拡散する前に、全て砕け散り、サロウに届くことはなかった。他の狩人たちのもとにも。サロウはベルゼブブを見た。然り。ベルゼブブが展開したバイオ蝿が、今のニンジャスレイヤーの全てのスリケンを相殺していた。

 ベルゼブブは体内に無数の蝿を飼う。それらは凄まじい速度で交配し、繁殖し、彼女の血中カラテを餌に強靭に育つ。彼女はほんの数秒のうちに「リロード」を終えてしまうのだ。そして……「イヤーッ!」「グワーッ!」スリケン投擲の隙が生じたところへ、メイヘムが蹴りを食らわせた!

 蹴りを受けてよろめくニンジャスレイヤーの後ろに、コンヴァージ!「イヤーッ!」「グワーッ!」鉄塊をまとった拳が殴りつける! さらに一撃!「イヤーッ!」防御姿勢を取ろうとするニンジャスレイヤーであったが、拳がハヤイ!「グワーッ!」弾かれた先に再びメイヘム!「イヤーッ!」「グワーッ!」

「おいおい、殺すなよ?」アヴァリスが言った。「そういうナメた真似をしたらセプクだからな。……おい、ブラックティアーズ=サン。猪が死んだらどうする? 別の猪を定めるのか? 俺たちが殺し合うのか?」「イヤーッ!」メイヘムは踏み込み、連続で打撃した。ニンジャスレイヤーは捌いていく。だが。

 ガッ、ガガッ、ガッ。近接カラテが加速するにしたがい、メイヘムの蛇の目は輝きを増し、特異なチョップ突きの軌道は変幻自在のものとなってゆく。まるで関節が存在しないかのような、しなやかな動き……!「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーが後ろへ滑り、メイヘムはステップを踏む。

 ここでサロウは気づく。彼女はこの機会にニンジャスレイヤーに果敢に打ち込む事によって、先んじて出来るだけニンジャスレイヤーのカラテを身体に染み込ませ、狩りの本段を有利に進めようとしているのだ。儀式において彼女が何番目の狩人となるかは決まっていないが、今のうちから、準備に抜かりなしという事か。

 コンヴァージは一歩下がって腕組みし、メイヘムに襲いかかるニンジャスレイヤーを観察に回った。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは前傾姿勢でメイヘムに踏み込む。そこへ滑るように割って入ったのはマークスリーであった。「ゴーメン」美少年は眉根を寄せ、澄んだ声で小さく呟いた。

 既にマークスリーはニンジャスレイヤーの斜め後方に立っていた。「グワーッ!」ニンジャスレイヤーが怯んだ。マークスリーがブレードを振ると、焦げた血が宙に溶けた。これで充分、とばかり、マークスリーは納刀し、再び離れた。「イヤーッ!」メイヘムがニンジャスレイヤーを蹴った!「グワーッ!」

 今や路地上空は凄まじい蝿が埋め尽くし、上への脱出を不可能なものにしていた。ベルゼブブはアヴァリスを見た。アヴァリスは不敵な笑みを浮かべ、肩をすくめてみせた。「来い。ニンジャスレイヤー=サン」メイヘムが手招きした。「まだまだ付き合ってやる。こんなものではあるまい?」

 ニンジャスレイヤーが震えた。それは内なる力を解き放つ緊張だった。空気が唸り……「イヤーッ!」破裂する黒炎と共に、ニンジャスレイヤーはメイヘムに向かっていった! メイヘムは受けて立つ!「イヤーッ!」「グワーッ!?」それをインタラプトしたのは……ナムサン! アヴァリスである! 獲物ではなくメイヘムを蹴って割り込んだのだ!

 メイヘムはアヴァリスの蹴りを受け、回転着地した。怒りに蛇の目を燃やすが、ブラックティアーズは片手を挙げて、むしろメイヘムの動きを制した。アヴァリスはニンジャスレイヤーが繰り出す拳を掌で受け止めた。黒炎が彼の腕を焼く!「ハハハハ……それは貴様の……ンンン……ジツ……ではないな」

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは逆の手で殴りつけた。「グワーッ!」アヴァリスは顔を殴られ、仰け反った。そして笑った。「……ウフフフハハハハハ!」「イヤーッ!」さらに殴る! アヴァリスはその拳も掌で止める!「イイイイイイ……」ニンジャスレイヤーの目が赤黒く燃える!「イヤーッ!」

 KA-DOOOM! 手を伝って流れ込んだ黒炎が炸裂し、アヴァリスは後ろへ弾かれた。彼は焼けた腕から流れる血を振り払い、まだヘラヘラと笑っていた。「……まあいい。次は盗んでやるぞ。その妙な炎もな」「充分だ」ブラックティアーズが立ち上がった。彼はやおら、腰のカタナを抜き、高く掲げた。

「グワーッ!」サロウは慌てた。目の出血が宇宙空間じみたシャボンとなって宙を舞い、ブラックティアーズのカタナに吸い込まれていく。見れば、他の者達の血も同様だった。ベルゼブブは手首を自ら切って出血させていた。カタナに血を吸わせ終えると、ブラックティアーズは己の腹を刺した。セプク!?

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは溶岩炎じみて跳躍! 再びブラックティアーズに襲いかかる! しかし、ナムサン! 黒いクリスタルが障壁を生じ、その突撃は阻まれた。後ろへ回転着地した彼に、コンヴァージが襲いかかる!「イヤーッ!」「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤーはチョップを受け止める!

「お前は獲物だ」コンヴァージは目を爛々と輝かせた。「勤めを果たせ」「……!」ニンジャスレイヤーはコンヴァージの圧力に耐える。踵の下でアスファルトが蜘蛛の巣めいた亀裂を生じる! マークスリーは噛んで傷つけた親指を口に含み、冷たい目で彼らを見据えた。ブラックティアーズが刮目した!

「イヤーッ!」コンヴァージはニンジャスレイヤーを解放した。ニンジャスレイヤーはブラックティアーズに反応した。彼は瞬時にニンジャスレイヤーのもとへ至り……セプクで腹に刺したカタナを、イアイめいて引き抜いた!「イヤーッ!」「グワーッ!?」残像!「イヤーッ!」「グワーッ!」残像!

「イヤーッ!」「グワーッ!」残像! ブラックティアーズは血塗れのカタナでニンジャスレイヤーにあらゆる角度から斬りつけた!「イイイイイヤアアアーッ!」「グワアアアアーッ!」四方八方へ跳ねた血飛沫が壁に、配管に、ネオン看板を焦がし、白い煙を生ずる!「……カンジ・キル!」

 KRAAAACK! 血塗れのカタナが破砕した。ブラックティアーズはニンジャスレイヤーに向き直った。獣じみた赤黒の影の身体に、「狩」によく似たエジプト漢字が刻まれた。ニンジャスレイヤーは傷を押さえ、うずくまり……「AAAAARGH!」吠え、ブラックティアーズに襲いかかった!

「イヤーッ!」「AAARGH!」アヴァリスがニンジャスレイヤーの腹にトビゲリを入れた。ニンジャスレイヤーは身体をくの字に折り曲げ、吹き飛ばされた。それを巨腕で受け止めたのはコンヴァージだ。コンヴァージはのたうつニンジャスレイヤーを掴んだまま、腕を振り上げ、叩きつけた。「イヤーッ!」

 KRAAAAASH! アスファルト破砕! コンヴァージはニンジャスレイヤーを持ち上げ、叩きつける!「イヤーッ!」KRAAAAASH! コンヴァージはニンジャスレイヤーを持ち上げ、叩きつける!「イヤーッ!」KRAAAAASH! コンヴァージはニンジャスレイヤーを持ち上げ、叩きつける!「イヤーッ!」KRAAAAASH!

 コンヴァージはニンジャスレイヤーを持ち上げ、叩きつける!「イヤーッ!」KRAAAAASH! コンヴァージはニンジャスレイヤーを持ち上げ、叩きつける!「イヤーッ!」KRAAAAASH! コンヴァージはニンジャスレイヤーを持ち上げ、叩きつける!「イヤーッ!」KRAAAAASH! コンヴァージは……。

 一人。また一人。狩人はゆっくりとオジギし、身を翻し、その場を去っていった。サロウも彼らにならい、オジギをした。そして去った。なにか胸騒ぎがした。チームプレイはうまくいったといえる。だが……。「……」彼は一度振り返り、見た。最初の狩人に選ばれるのは嫌だった。


◆◆◆


 コンヴァージはニンジャスレイヤーを持ち上げ、叩きつける!「イヤーッ!」KRAAAAASH! コンヴァージはニンジャスレイヤーを持ち上げ、叩きつける!「イヤーッ!」KRAAAAASH!「そこまでだ、コンヴァージ=サン」「それは規定か?」コンヴァージはブラックティアーズを見た。「……然りだ」

 コンヴァージはニンジャスレイヤーから手を離した。ブラックティアーズは言った。「獣を必要以上に弱らせれば、狩りの開始が延びるだけだ」「お前とて狩人の一人だ。いつまで審判面をしていられるか、見ものだな」コンヴァージはブラックティアーズに言った。ブラックティアーズは見返した。

 二人はしばし、睨み合っていた。「よかろう」やがてコンヴァージが言った。ブラックティアーズはアグラし、闇に染みるように消えた。コンヴァージはニンジャスレイヤーを一瞥した。「命拾いしたな。弱敵」そして、去った。バチバチとネオン看板「不如帰」が明滅し、火花が水溜りに落ちた。

 看板が明滅し、光と闇が交互に訪れた。ニンジャスレイヤーは仰向けに倒れたまま、動かない。バチバチとネオン看板「不如帰」が明滅する。何十回目かの光の灯りの下、不意にそこには男が立っていた。奇妙な、文明から隔絶したような服装の……だが、身なりのいい男だった。

「カリュドーンの獣よ」男は無感情に言った。「ニンジャスレイヤーよ」ニンジャスレイヤーは仰向けのまま動かない。男は虹彩のない、薄ぼんやり輝く目でニンジャスレイヤーを見た。沈黙の数秒。……否。男の瞼が動いた。男は音を聞いていた。ニンジャスレイヤーの音を。「……スゥーッ……フウーッ」

「多勢に無勢、そのように申し開きをするもよかろう、カリュドーンの獣よ」男は言った。ニンジャスレイヤーの音は次第に大きくなる。それは、呼吸だ。ジゴクのフイゴのような。「……スウーッ……フウーッ……」「しかしそれでもなお、己の至らずを省みるべし」「……スウーッ……フウーッ」

「この程度のはからいならば、儀式を穢す事にもなるまいて……」男は懐から笹の包みを取り、足元に置いた。バチバチとネオン看板「不如帰」が明滅すると、男の姿はなかった。「……スウーッ……フウーッ……」ニンジャスレイヤーの左手が大地を掻いた。右手が持ち上がった。右手が心臓を殴りつけた。

 ピイー……。ピイイー……。笛の音が遠ざかった。ニンジャスレイヤーは再び、己の心臓を殴りつけた。再び。再び。KRAAAASH……KRAAAAASH……KRAAAASH。小規模局地地震じみた震動が三度。ニンジャスレイヤーは、身を起こした。


3

 立ち上がったニンジャスレイヤーは炎の雫を滴らせ、「不如帰」のネオン看板を見た。……KRAAAASH! 看板は燃えながら溶け、吹き飛んだ。看板を破壊したニンジャスレイヤーは笹の包みを掴み取った。笹の中身はバッテラのスシである。ニンジャスレイヤーは叩きつけるように口中へ押し込み、咀嚼した。

「スウーッ……フウーッ」彼の足元で水溜りは煮えたぎり、やがて蒸発して消え去った。「スウーッ……フウーッ……」ニンジャスレイヤーはうつむいたまま、肩を揺らし、ジゴクの炉めいた呼吸を続けた。不意に彼は頭を上げ、首を巡らせ、一方向を凝視した。レーザーポインターじみた眼光が闇に滲んだ。

 悲鳴じみて、地面に散らばった看板が最後の火花を発し、路地裏の光が消えて再び生じたとき、既にニンジャスレイヤーの姿はない。彼が睨んだ方角へ向けて、アスファルトにはちろちろと燃える火の跡が残されている。


◆◆◆


 キイイン。キイイイン。コンヴァージは耳鳴りに顔をしかめた。現世にオヒガンの影が微かに重なり、交差点を行き交う人々の輪郭がぼやけた。彼の頭上の曇天にひととき、キンカク・テンプルが顔を見せた。『かくして獣は狩りの印を宿した』荘厳な声が反響し、明滅するオヒガンの地平に巨大な七つの影。

 うちひとつが、コンヴァージの忌々しき主、ボロブドゥール帝国のシャン・ロア……リアルニンジャとしてムカデ・ニンジャの名を持つ。ムカデ・ニンジャを思考に乗せるだけで、彼の掌の「ロウ・ワン」の印は熱を持つ。『星辰が最初の挑戦者を決める。狩人達よ。時を待て。カリュドーンの掟は絶対也』

 七人のリアルニンジャに選ばれた狩人達はオヒガンの糸に結ばれている。リアルニンジャ達の気まぐれめいて、時折このように「通信」が繋がる。だが彼らの声が届くことは稀だ。指令を伝えてくるのは、儀式を司るセトの戦士たるブラックティアーズだ。リーダーじみて。

「いつだ。いつ、それが決まる?」コンヴァージは問うた。『そう遠くはない。星辰が巡り、定まりし日、最初の狩人は狩りの印の方角を知る権利を得る』まわりくどい真似を。コンヴァージはボキボキと首を鳴らした。ムカデの他のリアルニンジャも皆、古錆びて、儀式だの魔術だの、カンにさわる連中だ。 

 コンヴァージはもとはリロン・ケミカルの企業戦士である。そののち、ボロブドゥール帝国のシャン・ロアのヘッドハンティングを受けた。リロン社はボロブドゥールとの提携を進めている。海運上の安全確保やオセアニア覇権の為に協力関係を築こうとしているのだ。

 これはシャン・ロアにとっても軽視はできない同盟だった。支配領域を維持するために、彼は文明社会との一定の折り合いを必要としている。血塗られた呪術の支配は全体としては徐々に後退しつつあった。そんななか、このカリュドーンに勝利する事で、一気にダークカラテエンパイアの頂点に立ち、ジリ貧を覆すつもりか。

 シャン・ロアは恐るべきロウ・ワンの呪術の使い手。カラテにおいて特に優れたコンヴァージはシャン・ロアの親衛隊のニンジャを御前試合にて三人殺し、その実力をムカデの異形の目に焼き付けた。ロウ・ワンの印を与えられた彼の力は更に強まり……その代償として、神話のジゴクに生きる事となった。

 それはコンヴァージにとって好ましいジゴクだった。殺しと闘争に彩られた世界だ。掌のロウ・ワンの印は熱を持つ。ネオサイタマにおいては戦闘可能域に単身乗り込み、思うがままに破壊した。所詮、文明の世界に、彼を止められる者など居ない。当然の事実をただ確かめる為の殺戮だった。

 目下、彼の真の敵はカリュドーンの獣ではない。他の狩人たちだ。獣はどうということのない相手だった。むしろ、彼の手番が訪れるまでに、他の者が獣を血祭りにあげてしまうのは興醒めといえた。主の望みを果たすには、掟を都合よく曲解し、立ち回っていく必要があるだろう。七人がかりで印を刻みつける中で、己の手の内を明かした者は少ない。

 自分が最初の狩人となる確率は7分の1。その場合は単にニンジャスレイヤーを殺せば済む。それが最もシンプルだ。それ以外の場合、選ばれた狩人をいかに滅ぼすかという話になる。星辰の時が満ちれば、彼のとるべき手段も定まるだろう。

 彼はスクランブル交差点を渡り始めた。雑踏は彼を避けて通った。一戦終えたばかりの彼の背中からはいまだにキリング・オーラが漂い、空気を陽炎じみて歪めている。「アイエエエエ!」急性ニンジャリアリティショックに陥って市民が転倒し、泡を噴いた。

「安い。安い。実際安い」上空のマグロツェッペリンは無機質な広告マイコ音声を投げる。コンヴァージは手を握り、開く。ロウ・ワンの印が熱を持つ。七対一、多勢に無勢。確かにな。コンヴァージは目を細め、マークスリーの言葉を認めた。実際、食い足りぬ相手だった。今日の交戦可能域で戦争する暗黒メガコーポは何処のカイシャか。暴力と快楽の予感が彼のニューロンを駆けた。

 文明とは、なんと脆いものだろう。卑しきモータルの次元を超え、神話真実を知る彼は、ただ無知なる者を捕食し蹂躙する存在だ。ムカデのように。

「……」静寂が彼を包んでいる。広告音声が遠く聞こえる。雑踏は消え去っている。笛の音が微かに聞こえる。

 然り、市民の姿はこのスクランブル交差点のどこにもない。彼らは皆、逃げ去った。「……」コンヴァージは背後に凄まじきカラテの圧を感じ、振り返った。

 一歩、一歩。赤黒の影がゆっくりと、彼のもとへ近づいてくる。カリュドーンの獣。「……」コンヴァージは首をボキリと鳴らした。

「こういう場合はどう扱う、ブラックティアーズ=サン?」コンヴァージは呟いた。「殺して構わんのだろうな? 手負いの獣が未練がましくやって来……」ドウ! 赤黒く燃える粉塵を足元に発し、ニンジャスレイヤーはコンヴァージの眼前へ瞬時に至った!「イヤーッ!」

 コンヴァージは目を見開き、咄嗟に防御姿勢に入った。予測を超える速さと圧力! 赤黒の鉤爪がコンヴァージの肩を抉る!「ヌウーッ!」踏みとどまるコンヴァージに、ニンジャスレイヤーはさらなる打撃を繰り出す!「イヤーッ!」大振りのフックを叩きつける!「イヤーッ!」コンヴァージは殴り返す!

 KRAAAASH! コンヴァージはタタミ数枚距離を後ろへ押され、滑った。「ハァーハハハハ!」彼は呵々大笑し、カラテを構え直した。「やれるか弱敵! おもしろい!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを投げた!「イヤーッ!」コンヴァージは足元のアスファルトに拳を突き刺した!

 彼は瞬時に、地中に根を張る雑多な配管類を捉え、腸を掻き出すがごとく、上へと引きずり出した!「イヤーッ!」引きずり出された配管が波打ち、スリケンを弾き飛ばし、アスファルトを吹き飛ばしながら、鞭めいてうねり、ニンジャスレイヤーに襲いかかった!

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは跳躍し、襲い来る配管の束をパルクールめいて横向きに走りながら接近する! コンヴァージは破砕したアスファルトを収束させた左拳に力を込め、向かって来たニンジャスレイヤーを殴りつけた!「イヤーッ!」

「イヤーッ!」KRAAAASH! ニンジャスレイヤーは一瞬前に身を捻り、コンヴァージの拳を蹴り返していた。衝撃波が散り、ニンジャスレイヤーは上空へ弾かれながら、クルクルとフリップジャンプした。「イヤーッ!」そこからスリケンを連続投擲する! コンヴァージは配管パイプを吸収した右腕を盾にした!

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは信号機をニ箇所蹴ってトライアングル・リープし、盾の死角から再び襲いかかった。「イヤーッ!」「イヤーッ!」燃える拳とコンヴァージの巨腕が衝突! SPLAAAAAAASH! 抉られた大地から水が噴射し、交差点へ走り込んできたクルマが互いに衝突事故を起こす。

「ハ!」コンヴァージは光る瞳を渦巻かせた。ロウ・ワンの印が応え、ジツが力を増す! ギョルギョルと音を立てて地面をのたうった鋼鉄配管は横倒しのクルマを襲った。「アババーッ!」運転者無残! そのままジャンクはコンヴァージの右腕を根として邪悪な混合物のムカデを形成!「喰らうかァ!?」

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを連続投擲しながら回転着地した。頭上の質量が生み出した影が彼を覆った。コンヴァージは胸に突き刺さったスリケンを無視し、そのまま右腕のジャンク・ムカデを振り下ろした! KRAAAAAAASH! スクランブル交差点は今やアビ・インフェルノ・ジゴクである!

 DOOOOM! KA-BOOOM! 腕に取り込まれていたクルマのガソリンが引火して爆発、炎が飛び散って被害を更に拡大する。コンヴァージはジャンクを切り離し、装束の上に纏った襤褸をはためかせながら走り出した。「イヤーッ!」瓦礫を撒き散らし、ニンジャスレイヤーが跳躍した。コンヴァージは笑った。

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは交差点を囲むビルのネオン看板「高次の遊太郎」にフックロープを投げ、跳ね上がった。「イヤーッ!」コンヴァージは信号柱に体当りした。へし折れ傾いた信号柱を、彼はそのまま斜めに走り昇る。その後をついてくるのはパイプやLANケーブル、鉄板や泥土だ。

 跳ね上がったニンジャスレイヤーはビル屋上に取り付き、よじ昇った。「どこへ逃げる、獣!」走りながらコンヴァージは笑い叫んだ。「イヤーッ!」跳躍した彼を、追ってきたジャンクが追い越すようにして伸びる。ジャンクはビルの高い階を貫き、侵食した。彼は着地し、そのまま駆け上がった。

「イヤーッ!」飛び上がり、屋上に着地したコンヴァージをめがけ、ニンジャスレイヤーはさらに多くのスリケンを投げつけた。「イヤーッ!」コンヴァージは走りながら手を広げ、スリケンを受けた。「くどいぞ!」彼の身体をケーブルが這い、スリケンに絡みついて、装甲の一部と化す!

 しかし、ナムサン! コンヴァージの左腕の付け根に噛むようにして巻き付いたのはスリケンではない。フックロープの鉤爪だ。爪は黒く燃えてコンヴァージのジツを拒んだ。異質な力だった。ニンジャスレイヤーは燃えるロープを手繰る!「イヤーッ!」「グワーッ!」コンヴァージの足が宙に浮く!

 ニンジャスレイヤーの背中に瞬時に縄めいた筋肉が浮かび上がった。恐るべき速度で引き寄せられたコンヴァージはジャンクを充分に纏っていない……足場に用い、引き寄せる事ができていない。宙を跳んで引き寄せられながら、コンヴァージは交差腕で身を守り、歪んだ笑みを浮かべた。「一発やる」

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは足元をえぐるほどに大振りにして勢いをつけた拳を、コンヴァージの顔面に叩きつけた。「グワーッ!」コンヴァージのメンポは破砕し、その身はキリモミ回転しながら吹き飛んで、道路対岸のビル屋上の洗濯物類を巻き込み、そのまま屋上発電機に衝突した! KRAAASH!

「……スウーッ……!」ニンジャスレイヤーはコンヴァージを睨み据えたまま、前傾姿勢を取り、鉤型に曲げた指先に力を漲らせた。「……フウーッ!」フイゴめいた呼吸は彼の身体に燃えるカラテを循環させる。一方コンヴァージはスパークする発電機から身体を剥がし、鋼板を引きちぎって向き直った。

「ほォォう……」コンヴァージは歪んだ鋼板を顔面に当てた。メキメキと音を立て、鋼板は新たなメンポと化して彼の顔を覆った。「中々よく動く。貴様、耐えていたか」コンヴァージの脳裏に、路地裏でニンジャスレイヤーを繰り返し叩きつけた先程のイクサがよぎった。「獣の分際で、いじましいな」

「スウーッ……フウーッ……」ニンジャスレイヤーは呼吸を深め、震える身体にカラテを送り込み続ける。コンヴァージは発電機の残骸を腕に絡め、引きずりながら、屋上の崖縁へ歩いた。彼らは互いのビルの端で睨み合った。「心地よい怒気が伝わるぞ、獣」コンヴァージは言った。

「ま、それはそうだ……七人がかりでかかられれば、そうもなろう。多少同情してやる」彼はバキバキと首を鳴らした。「だが、これは狩りだ。お前は獣で、我らは狩人。我らと同じ立場を求めるなどと、おこがましい思考は、よしたがいい」「……フウーッ……」ニンジャスレイヤーの目が暗く光った。

 呼吸が止まった。カラテの流れがわだかまり、ニンジャスレイヤーの中で爆発的に膨れ上がる。やがてニンジャスレイヤーは言った。「……それは、命乞いか?」

「何?」コンヴァージは訝しんだ。獣が言葉を発した事それ自体を訝しみ、そして、言葉の意味を訝しみ……やがて、その言わんとする事を知った。ニンジャスレイヤーの目に、赤黒い炎が滾った。「狩りだの……獣だの……どうでもいい話を並べ立てようが、おれはもう、始めた。貴様は今、ここで殺す」


4

 酷い破壊は、ヤクモ・スクランブル交差点だった。フクロウは空を滑り、立ち昇る灰色の煙の方向を目指した。ビルの屋上で向かい合う二人のニンジャの影を、フクロウは遠く見定めた。フクロウがよく知る赤黒の影、ニンジャスレイヤーと、対岸のビルで向かい合う、襤褸をまとったニンジャとを。

 あの破壊を引き起こしたのが対峙する二人のニンジャである事は論を待たない。フクロウは数度羽ばたいて速度を高め、その現場へ更に近づこうとする。

 ……ピイイイイ! 刺すような笛の音がフクロウを襲う。フクロウは飛翔のバランスを崩し、数度のキリモミ回転を経て、マンション屋上に着地した。

「チイッ……」フクロウはコヨーテに変じ、コンクリートの上をゴロゴロと転がった。膝をついて顔を上げた時、既にフィルギアは人間の姿をとっている。警戒する彼の表情は、目の前に立っている平安ナオシ姿の男を見た瞬間、驚愕一色となった。「……な……!」「よしたがいい」男は笛を下ろした。

 悲しげに伏せていた男の目には白目がなく、夏に見上げる夜の銀河じみた深い青色をしていた。「既にストラグル・オブ・カリュドーンは火蓋を切った。イクサに立ち入る者あらば、他の狩人達の餌食となること、避けがたいものですよ……」「……お前は……!」フィルギアの声は少し震えていた。

「貴方は」笛の男は息を吐き、アイサツしようとした。フィルギアは被せるようにアイサツを先んじた。「ドーモ。フィルギアです」「……フィルギア? この地にて、さような名を名乗り……」男は言葉を切り、吟味するように、今のフィルギアの装いを、アトモスフィアを確認した。「さような出で立ちを」

「お前が何故」「ならば私も奥ゆかしく名乗りましょう。そうですね……」彼は少し考えた。「……では、シナリイにしましょう。ドーモ、フィルギア=サン。シナリイです」シナリイと名乗ったニンジャはじっとフィルギアに視線を注ぐ。「人の世に交わるという貴方の矜持ですか」「……時代ってやつだ」

「息災の御様子、まずは、よかったことだ」シナリイは言った。そして少し表情を曇らせ、灰色の午後の街を見渡した。「貪婪の都ネオサイタマ。なんとも、私には向かぬ場所です」「だろうな」フィルギアはじりじりとしていた。「そこを退いてくれ」「かつての友の命の徒に散るさまは酷なもの」

 シナリイの物腰は柔らかかったが、フィルギアを阻む様子は断固としていた。フィルギアは眉根を寄せた。「……カリュドーンと言ったか」「然り。執り行いしは、ダークカラテエンパイアのセト。獣に定められしは、ニンジャスレイヤーです」「……」フィルギアは青褪めた。「何故だ」「さて……」

 シナリイは答えず、続けた。「儀式は始まった。狩人達が承認を行い、獣がその承認を受けました。ゆえに、立ち入れば余の狩人からの排除を受けるさだめ。言うなれば、そうですね、犬死にです、フィルギア=サン」彼は目を閉じ、唇を歪めて笑った。「貴方はカラテの達者なニンジャではなかった筈」

「ほうっておけよ」フィルギアは憮然とした。「お前はニンジャスレイヤー=サンの敵か。……ダークカラテエンパイアのセト……その使い走りか?」「さて、貴方の目からは、どのように見えていますか」シナリイのアルカイックな笑みが謎めいた。

「かつてのよしみです。幾つかお話を」シナリイは目を開いた。白目のない夜の瞳がフィルギアを見据えた。そしてフィルギアの髪に触れようとした。フィルギアは反射的に後ずさった。シナリイの肩越し……ビルを隔てて睨み合った二人のニンジャが、同時に相手へ襲いかかった。


◆◆◆


「「イヤーッ!」」ニンジャスレイヤーはコンヴァージの肩に踵を落とした。一方コンヴァージはニンジャスレイヤーの首を掴みにかかった。赤黒い火花を伴う衝撃波が放射状に拡がり、「タケノ戸」と書かれた広告看板が圧し曲がった。二者はフリップジャンプでそれぞれのビルに着地し……再び跳んだ!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」空中で二者は連続カラテを打ち合わせた。衝撃の拮抗によって、彼らは実際、宙に留まって打撃を応酬した。コンヴァージの腕をニンジャスレイヤーは躱し、掴み、投げ飛ばした!「イヤーッ!」KRAAAASH!「タケノ戸」が粉砕!

「ハ!」コンヴァージは分解する広告看板を取り込んだ。鉄の柱が捻れ、火花を発しながら彼の身体と結びついた。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを投げた。コンヴァージは足元を砕きながらダッシュし、ニンジャスレイヤーにバッファロー殺戮鉄道じみたショルダータックルをかけた!

「グワーッ!」ニンジャスレイヤーはキリモミ回転しながら吹き飛び、広告看板「瞬間リセット」に肘打ちを叩きつけて受け身をとった。コンヴァージは……頭上だ!「イヤーッ!」コンヴァージは垂直落下しながら、組んだ両手をハンマーめいて振り下ろす! 両手を覆うのはジャンクの塊……アブナイ!

 KRAAAAASH! ニンジャスレイヤーは咄嗟に逃れたが、この落下攻撃によって屋上のコンクリートは容易く砕けた!「ヌウッ……!」ニンジャスレイヤーは目を見開く。蟻地獄めいて、凹みすぼまる破砕点へ飲み込まれる!「ようこそニンジャスレイヤー=サン!」コンヴァージは拳を振り上げる!

 KRAAAASH……パイを押し潰すようにして、屋上は最上階を潰しながら沈んでいった。落ちながらコンヴァージは破片をさらに纏い、ニンジャスレイヤーを殴りつけた!「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはコンヴァージの腕をリトル・イデアのカタでいなし、殴り返す!「グワーッ!」

「アバーッ!」「アバババーッ!」最上階の住人の悲鳴にまみれながら、コンヴァージとニンジャスレイヤーは着地した。「これでまた俺のフーリンカザンが増したなァ、ニンジャスレイヤー=サン!」コンヴァージが叫んだ。周囲の瓦礫が彼の身体に圧着する! さながらモルタルの重騎士か!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」禍々しい曇天の下、二人のニンジャは激しく殴り合った。ニンジャスレイヤーはコンヴァージの質量を伴う重い打撃を捌き、鋭い反撃をラッシュに繋げるが、コンヴァージの装甲は砕けながらダメージを殺していくのだ!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは打撃を重ね、コンヴァージの装甲を破壊していった。殴るほどに彼の眼は赤黒の火を宿し、背中が燃え始めた。時間感覚が泥めいて鈍化し、高揚の中から、先程の手酷いイクサの光景がフラッシュバックする。

 圧倒的な多対一であった。クローンヤクザやゲニントルーパーを相手にした包囲戦と、全てがニンジャのイクサでは全く状況は異なる。初手のヘルタツマキは最善手であり、賭けでもあった。全力のカラテを篭め、ニンジャスレイヤーは竜巻じみた回転からカラテを、スリケンを無数に生み出し、投擲した。

 だがあの時、彼のヘルタツマキは一切を無効化された。ベルゼブブ……あの四本腕のニンジャ……のジツ。大量の蝿が群がり、強引にヘルタツマキを相殺し尽くした。(((おのれ……))) マスラダの憤怒に、ナラク・ニンジャの激怒が重なった。(((不甲斐なし! 許すまいぞマスラダ! オヌシ自身を許すべからず!)))

 七人の動きは、弄ぶような、追い込みながら試すような攻撃だった。ブラックティアーズのカンジ・キルはニンジャスレイヤーを殺すためのヒサツ・ワザではなかった。超自然の力で縛ろうとするものだった。(((耐えよマスラダ……忘れるな……このイクサを忘るるべからず!))) 然り……マスラダは死を賭した反撃に訴えず、衝動を殺し、防御に徹した。屈辱……弱さ……! 彼は亀めいて身を縮め、守りに徹し、爆発四散の運命を退けた。

 コンヴァージに繰り返し叩きつけられながら、ニンジャスレイヤーは己のカラテを、呼吸を、怒りを研ぎ澄ませていた。巡ってくるかもわからぬ反撃の機会を必ず己のものとするために。そして、戯れるような笑みに歪んだコンヴァージの目から、彼は一秒たりとも目を逸らさなかった。殺すために!

 相手が多数であれば、その不利を全身全霊で耐え抜き、切り抜け、そののち状況を練り直して、あらためて殺す。即ちフーリンカザンである。……獲物……狩り……カリュドーンの獣……。かわされた言葉の一字一句を彼は反芻する。ふざけたゲームに付き合わせようというのなら、それを後悔させる。

 鈍化した時間の中、ニンジャスレイヤーはコンヴァージの腕を再び弾き、手を滑らせ、メンポに衝突させた。全身のカラテを流し込んだ。「……グワーッ!」圧縮されていた時間の流れが解放される! 血反吐が散り、黒炎が燃やす。コンヴァージはクリーンヒットを受けて後ずさる!

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは前傾姿勢で瞬間接近し、コンヴァージの腹を殴りつける!「ヌウーッ!」コンヴァージは耐える! 圧着させた瓦礫が破砕し、ダメージを殺す! ニンジャスレイヤーはさらに殴る!「イヤーッ!」「ヌウーッ!」コンヴァージの目が血走る! 振り上げた腕を……叩き下ろす!

「イヤーッ!」「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤーは振り下ろされたハンマーアームを腕で受けた。圧力に膝をつく。コンヴァージは再度、組んだ両手を叩きつける!「イヤーッ!」KRAAAAASH! 床破砕! 二人のニンジャは下階へ落下!「アイエエエエ!」下階オフィスの住人が逃げ惑う!

「俺の力は、何処にでもある!」コンヴァージが瓦礫を収束させ、勝ち誇った。「ネオサイタマ! 最高の街だ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはヤリめいたサイドキックを繰り出す! コンヴァージは受ける! ニンジャスレイヤーは黒炎の残像を伴う速度で踏み込み、顔面を……掴んだ!「イヤーッ!」

「グワーッ!」コンヴァージの顔面を黒炎が襲う。彼が再び生成したメンポが焼け焦げ、砕け散る。「離れろ! 獣!」コンヴァージはニンジャスレイヤーの脇腹を蹴った。ニンジャスレイヤーは蹴られながら、顔面を掴んだ右手の手首に左手を添えた。そして全霊を篭めた!「イヤーッ!」

 KBAM!「グワーッ!」赤黒の火が爆ぜた! コンヴァージは顔を押さえ、よろめきながら後退する! ニンジャスレイヤーは中腰姿勢に身を沈め……跳んだ!「イヤーッ!」トビゲリだ! ……KRAAAAASH!「グワーッ!」ビルの壁を吹き飛ばし、身体をくの字に曲げたコンヴァージが射出された!

 一秒後、ニンジャスレイヤーが追って飛び出す! 大きく振りかぶった右手を鉤爪めいて歪め……打ち下ろす!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」カラテは空中で二度入った。「イヤーッ!」だが三度目、コンヴァージは鉤爪を止めた! かざした左腕が盾めいて膨れ上がっている!

「チィ……!」斜めに落下しながら、ニンジャスレイヤーは血走った目を見開いた。コンヴァージはニンジャスレイヤーを咥えこんだまま空中でキリモミ回転し……投げ飛ばした!「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは燃えるフックロープを放ち、道路灯を捉えて旋回! 空中制動!

「な……」ハイウェイに着地し、滑りながら体勢を復帰しようとするコンヴァージは驚きに目を見張った。ニンジャスレイヤーはコンヴァージのもとへ一直線に向かっていった。赤黒く燃えるコマめいて。「イヤーッ!」そこから繰り出される回し蹴りは、コンヴァージの頸を……!

 BOOOM! ……コンヴァージが横へ弾かれた。ニンジャスレイヤーの回し蹴りが空を切った。彼は黒く燃えながらアスファルトを刳り、振り返った。コンヴァージは横へ仰け反って静止していた。彼は首を巡らせた。彼の顔は剥き出しだ。顔面は焼け焦げ、血が流れている。そして……弾丸を、噛んでいた。

 BOOOOM! 弾丸が再び飛来した。今度はコンヴァージは瓦礫の残りを手の先に移動させ、受けた。彼の視線の先、ヘリコプターがホバリングしていた。ヘリにペイントされた社紋はヤルキ重工のものだ。身を乗り出したスナイパーの驚愕が伝わってきた。コンヴァージは笑い出した。「最高だ、ネオサイタマ」

 ニンジャスレイヤーは身構えた。「スッゾオラー!」カンオケ・トレーラーがヤクザクラクションを鳴らしながら走り込んできた。当然、コンヴァージは避けない。トレーラーはブレーキをかけ、車体を大きくブレさせた。コンヴァージは全身にカラテを漲らせ、車体を殴りつけ、引き裂いた。「イヤーッ!」

 KRAAAAASH!「アババーッ!」運転手は死亡し、トレーラーの鋼材が剥がれながら、コンヴァージの腕にまとわりついていった。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは壊れながら突っ込んできたトレーラーを咄嗟に側転回避した。KA-BOOOOM! 背後、ガードレールに衝突し、トレーラーは爆発炎上した。

「イイイイイ……!」コンヴァージは鋼鉄ジャンクの塊を引きずりながら旋回した。鋼鉄ジャンク塊は中央分離帯を砕きながら取り込み、巨大な瓦礫のムカデじみてのたうった。ニンジャスレイヤーはコンヴァージに向かってゆく! コンヴァージは……巨大な瓦礫ムカデを振り上げた!「イヤーッ!」

 KRAAAASH! コンヴァージの右腕に連なるジャンクは、付近上空でホバリングするヘリをまず捉えた。「アバーッ!」「アババーッ!」ヤルキ重工の企業戦士が押し潰され、そしてヘリごと取り込まれる! ニンジャスレイヤーは走る! コンヴァージは……叩きつける!「イヤーッ!」


5

 KRAAAAAASH! 瓦礫のムカデがハイウェイを粉砕した。ニンジャスレイヤーの残像が横に滑った。間一髪の回避だ。ハイウェイが砕け、斜めにひしゃげる。ニンジャスレイヤーは腕を叩きつけたコンヴァージを目掛ける!「イヤーッ!」低い姿勢からのミドルキックを繰り出す!

「ヌウーッ!」コンヴァージは蹴りを腹でまともに受けた。見開かれた目が光り、凄まじく耐える力が溢れた。(((おのれ!))) ナラク・ニンジャが怒気をマスラダのニューロンに響かせる。(((さきの一撃を躱したのは此奴の天運也。だがそれはまぐれではない……イクサの流れが変じた兆候よ。注意せよ!)))

 蹴りを受けた胴体がボコボコと脈打ち、鋼鉄ケーブルの血管がコンヴァージの顔面に浮き上がった。「痒いな!」狩人は残忍に笑いながら眼前のニンジャスレイヤーを挑発した。「俺を相手に選んだのが最大の失敗だ、獣!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーが蹴り足に力を込めると、赤黒の火が爆ぜた!

 衝撃で否応なく後ろへ押し戻されるコンヴァージ! ニンジャスレイヤーはさらに一歩踏み込み、胴体を殴りつける!「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」殴りつけるたび、衝突箇所に赤黒の火花が散る! コンヴァージは殴られながら左腕を振り上げ、ニンジャスレイヤーをチョップで打った。「イヤーッ!」

 コンヴァージのチョップが背中にぶつかった瞬間、ニンジャスレイヤーの目から赤黒い火が噴いた。だが彼は連打を止めない!「イヤーッ!……イヤーッ!」「ヌウウウッ!」コンヴァージは耐え、強く息を吸い込んだ。ボコボコと波打つ胸板に右腕から瓦礫の質量が流れ込み、膨れ上がった!「イヤーッ!」

 次の瞬間、コンヴァージの胸板が弾け、無数のつぶてがニンジャスレイヤーを襲った!「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは吹き飛び、転がって受け身を取る。「ハハァーッ!」コンヴァージは一瞬の隙を捉え、重く長い右腕を再び持ち上げ、振り回した!「イヤーッ!」ナムサン!

 KRAAAASH!「イヤーッ!」KRAAAASH!「イヤーッ!」KRAAAASH! 瓦礫のムカデがニンジャスレイヤーを襲う! ニンジャスレイヤーは側転で回避! そのたび瓦礫のムカデはガードレールを、アスファルトを取り込んでゆく。先端部にはいまだ回転を続けるヘリ・ローターが集まり、さながら巨大殺戮ミキサーだ!

「イイイイ……イヤーッ!」うねる巨腕がアスファルトを刳りながら、横殴りにニンジャスレイヤーを襲う!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは棒高跳び選手じみたベリーロールでかろうじて殺戮質量を飛び越す! だが、その着地バランスの乱れ! 手をつき、転がったところに……返す刀の巨腕!

「イヤーッ!」ナムサン!……「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーの目が、背中が燃え上がった。KRAAAASH! 巨腕の根本、コンヴァージの目に懸念の色が差す。ニンジャスレイヤーは燃える鞭を振り抜いていた。否、鞭ではない。それは解き放たれたヌンチャクであった! 巨腕が……弾かれた!

 ワザマエ! ニンジャスレイヤーは敢えて回避際の隙を見せ、コンヴァージの追撃を誘った。返す刀はわかりきった軌道だ。ニンジャスレイヤーは狙い澄ましたイアイじみたヌンチャクの振り抜きで、巨大質量殺戮打撃を……弾いたのである!「ヌウーッ!」バランスを崩したのは……コンヴァージだ!

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは極度前傾姿勢で突進する。コンヴァージは左腕をハイウェイに突き刺し、鉄骨を引きずり出して、ニンジャスレイヤーを殴りつける。苦し紛れだ!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは火炎車じみてヌンチャクとともに跳躍縦回転! 鉄骨を跳ね飛ばした!

「……!」コンヴァージは仰け反った。一瞬後、コンヴァージの顔面はヌンチャクを受けて吹き飛ぶであろう。だがここでコンヴァージは瞬時に状況判断した。重くなった右腕をジャンクから強引に引きちぎり、切り離して自由にすると、肘でヌンチャクを受けたのだ!「グワーッ!」黒炎が爆ぜる!

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは燃えるヌンチャクをコンヴァージに連続で叩きつけた。コンヴァージは身体に残った瓦礫をリアクティブアーマーじみて爆散させ、この打撃を受けきった。反動で後ろに跳び、左手でガードレールを引き裂く!「イヤーッ!」

 ギギギゴゴゴゴ、ガードレール鋼板が軋んだ。まるでハイウェイがあげる悲鳴だった。「……イヤーッ!」コンヴァージは左腕を振り抜いた。引きちぎられたガードレールが鞭めいてしなり、ニンジャスレイヤーを襲った。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはガードレールの鞭をヌンチャクで弾く!

「イヤーッ!」ガードレールの鞭を弾く!「イヤーッ!」ガードレールの鞭を弾く!「イヤーッ!」ガードレールの鞭を弾く! ニンジャスレイヤーはガードレールを弾きながら、一歩一歩、地面を踏みしめ、間合いを詰めてゆく。決断的殺意である!「……イヤーッ!」コンヴァージはガードレール鞭を再度!

「……!」鞭はニンジャスレイヤーを襲わなかった。ヒュヒュン! ニンジャスレイヤーはヌンチャク・ワークで警戒した。コンヴァージの鞭が捉えたのは道路灯だ。絡みつく鋼板。歪んだガードレールを伝い、一瞬にして鉄のワイヤーが道路灯を侵食。コンヴァージの身体が……跳ね上がった。「イヤーッ!」

 ナムサン! 脈打つ鉄のワイヤーは道路灯の根本にまで侵食。まるでその支柱がコンヴァージを釣り上げたようだった。コンヴァージは空中に自らを放り上げていた。「イヤーッ!」「……!」ニンジャスレイヤーは振り返った。ハイウェイに転がる瓦礫のムカデに、コンヴァージは落下! 左手で殴りつける!

「AAAARGH!」コンヴァージはムカデの残骸を殴りながら、ほとんど全身を叩きつけるようにした。残骸が鉄の繊維を飛沫めいて噴き上げ、コンヴァージに喰らいついた。鉄の繊維はコンヴァージの襤褸を引き裂き、装束を破り、肉に突き刺さり、入り込んでいった。コンヴァージは歪んだ笑みを浮かべた。

「ココマデ! ヤラセルノカ!」笑いながらコンヴァージは吠えた。「コレガ! ニンジャスレイヤー! トイウ! ワケカ!」ジャンクが沸騰した。「チッ……」ニンジャスレイヤーは舌打ちし、ヌンチャクを首にかけると、両手で激しくスリケンを投擲した。「イイイイイヤアアアーッ!」

「ンンンーンンン……」絶えずその形を変え続ける不定形の瓦礫が、呻く巨大な顔を作り、膨らみ、シャボン玉じみて割れ、その破片が再び取り込まれ、また巨大な顔となる。「イイイイヤアアアアーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを投げ続ける。着弾したスリケンが赤黒い爆発を立て続けに生じる!

「アアアアア、アアアア!」立て続けの黒炎小爆発に不定形瓦礫は痙攣し、ワイヤーを無差別に放ち、道路灯、電光掲示板、逃げ遅れた車輌を絡め、引き寄せ、押し潰して、己の身体に塗り固めていった。「ヨギスミカテ……ソルナガバレ」パクパクと口めいて動く部位が不吉な響きのチャントを発した。

 (((ええい……これは!))) ナラク・ニンジャがマスラダのニューロンに怒声を響かせた。(((ロウ・ワンのコシャクな呪いが、彼奴自身のアカラ・ニンジャクランの力をイビツに拡げておる。やはり彼奴の後ろ盾はムカデ・ニンジャ……!)))「イイイヤアアアーッ!」スリケン連続投擲継続!

 (((然り、とにかく攻め続けよマスラダ! 所詮、小賢しきジツに過ぎぬ。いかなる力を用いようが、ニンジャには変わりなし! 殺すのだ!)))「イイイイイヤアアアアーッ!」スリケンが不定形瓦礫を刳り、散らし、燃やす。「ボウオオオン……!」苦しみながら、巨塊は四肢を生じつつあった。

「オオオオ」アスファルト、鉄骨、ワイヤー、機械、鋼板、死骸を混ぜこぜにした肉体が身をもたげる。DOOOM! DOOOM! 突如、そのあちこちが爆発した。どこのメガコーポであろうか? 月を遮り空に浮かぶ、鬼瓦カジキツェッペリンによる艦砲射撃である。「狩リノ……邪魔ヲ……スルナ」瓦礫の巨人が唸る。

 カジキツェッペリンの口蓋部が光を発し……そして、極大電磁砲弾が発射された。KRA-TOOOOM!「……グワーッ……!」DOOOM……瓦礫の巨人の中央に大穴が開いた。瓦礫塊はよろめき、後退りし、地響きを立て、隣接ビルに背中から衝突した。KRAAAASH……!「狩リ……ノ……」KRA-TOOOOM! 第二弾着弾!

 カジキツェッペリンは翼状の放熱装置を開いた。そしてどうやら第三射準備に入ったようだ。(((愚かな))) ナラクが唸った。瓦礫の巨人は背後のビルを侵食し始めた。ビルが押し潰され、吸い込まれてゆく。長い腕が垂れた。腕はハイウェイを破壊しながら、振り上がり……カジキツェッペリンを捉えた。

 DDOOM……瓦礫巨人はカジキツェッペリンを引き寄せ、胸の穴に押し込んでゆく。悲鳴じみた軋み音がネオサイタマの空に轟く。『ご覧ください! 突如生じた巨大な……企業各社に問い合わせていますが、プロモーションではないとの事です!』巨人の付近をヘリが旋回。その通信がマスラダの脳に混線した。

「スウーッ……フウーッ」ニンジャスレイヤーはジゴクめいて乱れ砕けたハイウェイ上で前傾姿勢になり、呼吸を深めてゆく。(((グググ……極めて愚か也。古来カイジュウ・ニンジャクランの滅びとは即ち、その身の丈を大きくする虚栄に囚われ、本質的鍛錬の道を踏み外した事にあった。奴も同じだ)))

「スウーッ……フウーッ」(((まして、奴の肉体はアカラのジツの寄せ集めよ。恐るるに足らず! 正面のカラテにおいて凌がれし者は何を試みようと所詮は弱敵也……)))「スウーッ……フウーッ……!」ザリザリ……ナラクの声が遠ざかり、再びNSTVライブ中継が混線する。『信じられません! これは凄い!』

 ヘリコプターは瓦礫の巨人の肩の上へ浮上し、どうやらTVカメラで中継を行おうとしている。『いかがですか? NSTVでは日夜このような迫真映像を皆様の端末に届ける事を使命としております! すぐチャンネルしてください! そして……』「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは上半身を殆ど真後ろまで捻る!

「オオオオ……」瓦礫巨人はNSTVヘリを払い除けようと身を捩った。ニンジャスレイヤーは……スリケンを、投げた!「イヤーッ!」そのスリケンは赤黒い炎をまとい、三倍の直径に見えた。暗黒カラテ奥義、ツヨイ・スリケンである! スリケンは瓦礫巨人の胴体を貫き、苦悶させる!「オオオオ!」

 DOOOM……瓦礫巨人がたたらを踏み、ストリートの屋台が潰れて踵に取り込まれる。ニンジャスレイヤーは投擲の勢いでコマめいて回転し、次に、その回転の中から燃える縄を放った。フックロープは斜めに歪んだ道路灯に絡みついた。ニンジャスレイヤーはロープを巻き上げ、跳んだ!「イヤーッ!」

「オオオオオ!」SMAAAASH! 瓦礫巨人は道路灯にチョップを振り下ろし、ハイウェイごと叩き折った。ニンジャスレイヤーは空中で身を捻り、スリケンを瓦礫巨人の頭部に投擲した。「イヤーッ!」「オオオオオ……!」さらにその投擲回転を利用して、再度、斜め上方にフックロープを放った!

「オオオオ!」KRAAAASH! 瓦礫巨人の水平チョップが、跳ね上がるニンジャスレイヤーをスレスレに捉えそこね、ビルの横腹に叩き込まれた。ニンジャスレイヤーはなお高く跳ねていた……フックロープはNSTVヘリのスキッドに絡みついていた。上昇したニンジャスレイヤーはヘリの側面に指をめり込ませた!

「ア、アイエエエエエ!?」ヘリの中のNSTVキャスターが失禁し、反射的にニンジャスレイヤーにマイクを向けた。ニンジャスレイヤーの眼力を受けてか、カメラクルーが向けたカメラが煙を噴いて故障した。ニンジャスレイヤーは……跳んだ! 瓦礫巨人をめがけ!「イヤーッ!」

「オオオオオオ!」瓦礫巨人が右腕を振り上げ、ニンジャスレイヤーを打ち払う! ニンジャスレイヤーは空中でヌンチャクを打ち振り、巨人の掌に衝突させた。「オオオオオオ!」巨人が左腕でニンジャスレイヤーに掴みかかる。ニンジャスレイヤーは腕を交差し、身体を丸めた。巨大な手が包み込んだ!

「……イヤーッ!」KBAM! 押し包む瓦礫の手が弾け跳び、ニンジャスレイヤーが飛び出した。ニンジャスレイヤーは瓦礫巨人の手首に立ち、そのまま腕を走り始めた。「ボウオオオン!」瓦礫巨人が吠えた。『視聴者の皆様! 映像の乱れをお詫び致します。大変な……』(((真贋を見抜くべし! ニンジャ第六感を用いよ!))) ナラクの声がマスラダのニューロンに混線するNSTV中継を遮断!

 瓦礫巨人の腕を駆けながら、ニンジャスレイヤーは命無き巨塊の内部に輝く人型の命を感じている。即ち、コンヴァージ。腹から胸へ。そして肩へ。ニンジャスレイヤーに応えるように。体内を動いてくる。ニンジャスレイヤーはヌンチャクを握りしめた。鎖が燃え、ヌンチャクの柄が腕の中に溶け込んだ。

「オオオオ!」瓦礫巨人が逆の腕でニンジャスレイヤーを跳ね除けようとする! ニンジャスレイヤーは跳ぶ! そして瓦礫の頭部を……「イイイヤアアーッ!」KRAAASH! 殴りつける! ジャンクが分解し、弾け飛ぶ! 首なしの巨人の肩に着地し、背後に向き直る!「イヤーッ!」肩が爆ぜ、コンヴァージが出現!

 ニンジャスレイヤーはコンヴァージの動きを感じ、ニンジャ第六感で追い続けていた! ゆえにコンヴァージのこの奇襲は……「グワーッ!」ニンジャスレイヤーの燃える拳が、コンヴァージの顔面に、過たず、衝突した!

「イヤーッ!」「グワーッ!」左拳!「イヤーッ!」「グワーッ!」右拳!「イヤーッ!」「グワーッ!」左拳! 殴るほどに、巨人は足元から融解し、ストリートに瓦礫を撒き散らしながら沈みはじめた。「イヤーッ!」「イヤーッ!」コンヴァージは拳を防御した。そして殴り返す!「イヤーッ!」

「グワーッ!」殴られながら、ニンジャスレイヤーはコンヴァージを睨んでいる。コンヴァージは目を光らせた。「弱敵めが……フーリンカザンは常に俺にあるぞ、獣! イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは顔を傾け、拳を躱しながら殴りつける!「グワーッ!」

 コンヴァージは瓦礫に倒れ込む。そして背中から同化を……「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはその場で足を振り上げ、凄まじい力で瓦礫をストンプした。赤黒の衝撃が瓦礫を伝わり、コンヴァージの同化を拒み、弾き戻した。「グワーッ!?」

 ニンジャスレイヤーは拳を構え、強制的に起こされるコンヴァージを待ち構えていた。「……貴様の戦いは、だいたいわかった」「オオオオッ……」コンヴァージは防御姿勢を取ろうとした。「……イヤーッ!」ニンジャスレイヤーの燃える拳が、コンヴァージの防御を、割った!「グワーッ!」


6

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーとコンヴァージの足場はグズグズと瓦解し、ストリートに拡がってゆく。彼らの高度は徐々に地上に近づいてゆく。数度殴られたコンヴァージは再び姿勢を低め、背後の地面に腕を突き刺そうとする。だが!「イヤーッ!」「グワーッ!?」

 ニンジャスレイヤーが瓦礫を踏みしめると、彼らの足元には再び赤黒い熱が拡がり、コンヴァージを焼いて融合を阻むのだった。ニンジャスレイヤーは苦しむコンヴァージの後頭部を掴み、顔面から足場に叩きつけた。「イヤーッ!」「グワーッ!」瓦礫が焼け、ひしゃげる! 融合不可!

「貴様のジツ。これ以上やらせるつもりはない」ニンジャスレイヤーはコンヴァージを掴んだ手にカラテを込めながら、ジゴクめいて言った。「そのふざけた融合の力は、おれの炎で焼いて断つ」「ヌウウウウ……貴様……ごときの……!」「イヤーッ!」「グワーッ!」再び顔面を叩きつける!

 コンヴァージは頭から融解瓦礫に突っ込んだ。コンヴァージは凄まじい唸りをあげる。己の力が十全に働けばむしろ好機となるべき状況で、溺れるような苦しみを味わう苦痛と屈辱が、彼の心身を焼いているのだ。「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーはさらにコンヴァージの顔面を瓦礫に叩きつけた!

「カリュドーンの獣……狩人……儀式とは何だ。言え」ニンジャスレイヤーはコンヴァージを苛みながら尋問した。「あの時、おれを殺すつもりは無かったな。それも、儀式とやらが理由か」「ヌ……グ……」「イヤーッ!」「グワーッ!」叩きつける! 引き上げる!「ルールがあるのか。おれはその獲物か」

「……然り……」コンヴァージは反撃する一瞬の機を探し求めながら、ニンジャスレイヤーの問いに答えた。「……貴様は獲物に過ぎない。そして我らは狩人。大いなる者達がしつらえた盤上にて争う戦士と獣……それが……ストラグル・オブ……」「イヤーッ!」「グワーッ!」叩きつける! 引き上げる!

「ブハッ……」コンヴァージは焦げた息を吐いた。彼の後頭部を掴んだまま、ニンジャスレイヤーは横から覗き込んだ。「比喩はどうでもいい。他に何人いる。貴様以外の六人。ブラックティアーズ。メイヘム。ベルゼブブ。マークスリー。サロウ。そしてアヴァリスだったな」「……」「上に何が居る」

「俺とて盤上の存在に過ぎぬ」コンヴァージは答えた。「知るのはただ、主の権勢の為、貴様を殺す……その闘争の形式のみ……他の狩人の委細など……知らぬ」「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは再び叩きつけた。瓦礫に押し付け、焼きながら、乱れた思考の残滓が微かに混線した。

 ニューロンを通り過ぎたのは、チキチキと音をたてて顎を動かす、人ならざるシルエットの巨大な影だった。それが、このコンヴァージに繋がった「主」。イクサの最中にナラクが推測したムカデ・ニンジャとやらだろう。ニンジャスレイヤーは見当をつけた。そして恐らく、ムカデは儀式の主催ではないのだ。

 コンヴァージから引き出せる情報は僅かだった。もとより、これほどの戦士が、恐怖や苦痛によって不必要に口を割ることもない。そして実際与えられている情報自体が少ない事も間違いない。だがニンジャスレイヤーは、まずはこれで良しとした。そして……彼はムカデの影から「視線」を感じたのだ。

 ニンジャスレイヤーを、コンヴァージを、この戦いを、ネオサイタマを見下ろす者ら。それらが何者なのか。それはわからぬ。まだ、わからぬ。だが、間違いなく今、それらは見ている……「貴様ら」ニンジャスレイヤーは言った。「覚悟を決めておけよ」

 抵抗するコンヴァージを、ニンジャスレイヤーはさらに叩きつけた。「イヤーッ!」「グワーッ!」「そして狩人の残りの六人。おれの周りを呑気にうろついていれば、そいつから標的にする。貴様らのルールなど知ったことか。遊びを続けたいなら、せいぜい必死に逃げ隠れてみる事だな……!」

「ウ……ハ……ハハハ……」コンヴァージが震え、くぐもった笑いを響かせた。「お前は……何も知らんのだ……遥かに強大な者達……世界の無慈悲を……!」「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは黒炎をコンヴァージに流し込んだ!「イヤーッ!」「アババババーッ! ハハハハハハハハ!」

 SPLAAASH! 黒炎が爆ぜ、瓦礫が噴き上がった。今や彼らはボタ山じみた堆積物の中で闘争している。コンヴァージはニンジャスレイヤーに焼かれながら笑い続ける。笑いながら……彼は四方八方に、燃える鉄線を伸ばした!

 コンヴァージは心身を燃やされ、殺されつつあった。ゆえにその炎を内なるものとしていた。燃える鉄線はミミズめいて、ムカデの群れめいてのたうち、瓦礫を跳ね飛ばし、看板を捻じ曲げ、焼き溶かしながら一斉に戻ってきた! コンヴァージ、ニンジャスレイヤーの元へ!「イヤーッ!」

 ナムサン! 全方位ヤバレカバレ攻撃!「イヤーッ!」SMAAAASH! ニンジャスレイヤーは燃える瓦礫を殴り壊した!「イヤーッ!」SMAAAASH! ニンジャスレイヤーは殴り壊した!「イヤーッ!」SMAAAASH! ニンジャスレイヤーは殴り壊した!「イイイヤアアアーッ!」SMAAASH! KRAAAASH! 破砕! 破砕! 破砕!

 ニンジャスレイヤーは襲い来る瓦礫を回転を伴う連続カラテで殴り壊していった! ゴウランガ……燃える竜巻じみたその打撃の嵐、タツマキケンと名付けるにふさわしきワザマエであった!「AAAAAARGH!」KRAAASH! 四方八方に跳ね返されたジャンクがネオサイタマの高架、ビル壁、看板に衝突した!

「AAAAAAARGH!」コンヴァージが身をもたげ、ニンジャスレイヤーに掴みかかった。赤黒く燃える無惨な姿だ。ただ放置に任せても、このまま死んでゆく存在であった。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは両腕を打ち開き、掴み来たコンヴァージの手を跳ね飛ばした。「AAAARGH!」「……イヤーッ!」

 ニンジャスレイヤーは足元の瓦礫を爆発させながら身を捩り、燃える人型めがけ、肩から背中にかけての広範囲を、叩きつけた! 暗黒カラテ奥義、ボディチェック!「サヨナラ!」コンヴァージは粉々に燃えながら吹き飛び、爆発四散した! ナムアミダブツ!

 風が吹き、火の粉を吹き払っていった。砕けた月は、言葉なくその凄絶なるイクサの集結を見守っていた。ニンジャスレイヤーはストリートを埋め尽くす瓦礫の中心でザンシンを終え、低く呟いた。「世界の無慈悲だと? それがどうした。どうでもいい」

 御用……御用。遠く、サイレン音が聞こえてくる。この区域を支配する暗黒メガコーポの戦力か、あるいは複数領域でひろく働く治安部隊KATANAの部隊か。なんにせよ、長居はできぬ。激戦だった。今この場でアグラし、カラテを整えたいところだったが。

 ……オオオ……オオオ。

 空気の震動を彼は感じた。視線を横に動かす。虚空に、赤黒の輝きが集まってゆく。直感的に彼は、それが自身に属するものだとわかった。イクサのカラテ衝突、最終的な爆発四散のパーティクルによって、生み出されたものだろうか。だが……。「……」彼は絶句した。虚空に生じたのは、赤黒の多面体……否……。

 それはまるでワ・シだった。血と火の繊維で織り上げ、ジゴクのウルシで染めたような。超自然のワ・シは、空中でゆっくりと、ひとりでに折れていった。それは……おお……オリガミ・アートだった。御用サイレンの音はいよいよ近づくが、マスラダは動けなかった。長く躊躇ったのち、彼は手を伸ばした。

 硬く、断固としたそのオリガミ・アートは、カラテの衝突をアブストラクトに捻れた形に刻みつけたような作品であって……「……!」マスラダは咄嗟に手を引き、後ずさった。焼けた鉄に誤って触れたように。それはマスラダ自身が作った作品だ。理由はわからずとも、それそのものを見れば明らかだった。彼のものだ。

「ナラク」(((知らぬ)))「……」マスラダはもう一度、オリガミに手を触れた。それを取って懐に入れようとした。しまえない。そもそも、動かない。空中のその地点に固定されたまま、オリガミは決して動かなかった。恐らく、チョップをしても壊れないだろう。それほどまでに断固とした存在だった。

 今ここにあるオリガミ作品を、過去にマスラダは作った事がない。だがこれはマスラダの作品だ。彼自身にはそれがわかる。「御用! 御用!」「アイエエエ! ウチの店の前が!? 開店できないです!」御用サイレンや悲鳴をあげる出勤市民の声が、彼を我にかえらせる。「イヤーッ!」彼は跳び、その場を去った。

 かくして、最初のイクサが終わった。周辺地域の破壊は大きく、支配地域の暗黒メガコーポや地域住民の後処理はそのまま夜へ、翌朝以降へ継続する事となった。やがて作業従事者たちはどうやっても動かせぬ奇妙なオリガミ作品の存在に気づいた。訝しんだが、誰も、それをどうする事もできなかった。


シーズン4 第1話
【ザ・シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム】終

 第2話に続く


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