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【ギア・ウィッチクラフト】#2

◇総合目次  ◇全セクション版 ◇「磁気嵐の晴れた世界で」
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 コルヴェットが慣れた手つきで火打石を打ち合わせると、すぐに火口(ほくち)は緑白色の火を灯した。鬱蒼としたこの森にあって、魔術仕込みの超自然の火は不気味だ。彼とフェイタルが座るこの樹洞も、見ようによっては魔女があけた大きな口じみている。「これで、ひとまずはよし」「ひとまず?」

「妖精の魔術よ」「ふうん。笑えるな」フェイタルは外の闇を見た。「レーザーサイトやらナノカーボンやらが互いに殺し合うEURO戦闘領域で、妖精と来たか」「その通り」コルヴェットは旅人帽のつばの陰からフェイタルを真顔で見る。「文明の強い光が強い影を作る。尚更危険が増しているともいえる」

「私の部隊をやったのはその手のナンセンスな怪異ではなく、面白くもない鉛弾だがな」フェイタルは左腕の裂傷の痕を確かめた。既に傷は塞がり、白く浮き上がっている。「そのとき作った傷か?」コルヴェットは尋ねる。「ああそうだ」「治りが早いのだな」「そう、お前の魔術の煎じ薬は要らない」

「なんでも魔術で解決できると思うなよ」「多少はできるのか?」「……」コルヴェットは火に草を足しながら、フェイタルのパーソナリティをはかろうとする。二人はこの森で先刻鉢合わせたばかりだ。戦う必要がない事は交した言葉でわかった。どちらも消耗しており、どちらもカタナ社ではなかった。

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