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シャード・オブ・マッポーカリプス(40):知性マグロ



ガクン。いささか乱暴な調子で、ユンコの首の後ろの端子に充電ケーブルとLAN端子が突き刺さった。「まずは膝の修理から」姿なき声。アームが動き、遠隔操作で精密なハンダ付けを開始する。「どこにいるの?姿を見せて……姿を見せてよ!」「いいだろう」ホバー椅子は滑るように前進を続ける。

「ブッダ……」ユンコは自らの目を疑った。青白く輝くイケス・プールの中。人工的に作られた水流の中で静止したように泳ぎ続ける、一匹の大マグロがいた。「これが僕だ」相手はユンコの視界を覗いていた「ゴボボボ……今見ている、これが、僕だ」「……あなたは誰?」「ゴボ……僕は君の父親だ」

「ワッタ……父さん……?トコロ……スズキ……?」ユンコは呆然とした顔で言った。引きつった笑いが漏れた。「……ゴボボボ……そうではない。僕が彼とともに、君を作ったのだ……」マグロは言った「……そして彼は死んだ……」

- 【レプリカ・ミッシング・リンク】より


マグロ、トロ、そしてDHA

マグロ、特にそのトロ部位には、DHAと呼ばれる天然のテクノウマミ成分が大量に含まれている。DHAは脳神経系およびシナプス伝達系をブーストする神秘的な化学物質であり、その作用については未だに謎が多く、人類はその恩恵の10パーセントほどしか引き出せていないという。

汚染されていない旧世紀冷凍マグロ・トロ粉末は、目玉が飛び出るほどの末端価格で取引されている。トロ粉末を鼻から吸引することで、人間はニューロンを急激に活性化し、覚醒状態に入ることができるからだ。しかもオーガニック・マグロ由来成分であるため、それには一般的な化学合成薬物のような依存性や中毒性が全く見られない。また、誤って飲食した場合でも実害はない。ただし、鼻腔から過剰摂取した場合には危険状態に陥ることもある。

高純度のトロ粉末は、高位のハッカーがビジネス前に吸引して自らの能力を一時的に高めたりするだけでなく、支配層や富裕層が自らのニューロンの能力を恒常的に高めたりシナプスの老化を防ぐためにも用いられている。


偶然にも鼻孔から吸引されたトロ粉末と、クローンヤクザに注射されたZBRアドレナリンが化学反応を起こし、彼のニューロンを癒していた。ニンジャスレイヤーの片眼が開く。それはナラク・ニンジャの眼だ。ナラクは異状を察知し、警告を発した。『フジキド……!フジキドよ……目覚めよ……!』

 -【マグロ・サンダーボルト】より


知性マグロ化手術

マグロの体内には、そのような天然のDHAがみなぎっている。ならば人間の脳髄をマグロの頭部に直接移植すれば、DHAによるニューロンブースト恩恵を常時得られるのでは……? さらにマグロの肉体ならば、海底での作業にも耐えうるのでは……? そう考える者達がいたとしても、何らおかしくはあるまい。

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