S3第2話【エッジ・オブ・ネザーキョウ】全セクション版

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【エッジ・オブ・ネザーキョウ】


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 傾いたビル廃墟の横を通る時、ザックはいつも緊張する。ビルの砕けた窓には蔦植物型のモミジが絡みつき、ビルの入口は大樹の根がうねるように侵食して、まるでそれ自体が恐るべき巨人めいている。

 だが、恐れるべきものは、もっと幾らでも在る。第一には、黒帯を締めたカラテビースト達。どんなニンジャマジックを使ったものか、「偉大なる」タイクーンが、領民を強く鍛えるために生み出したのだという。たしかに、狩って殺せば美味いし、ハイカロリーなのだ。大きなお世話だ。

 第二には、治安維持のために領土をパトロールするゲニントルーパー達だ。奴らがザック達を守ってくれる事などあまりないし、むしろ、ネングの取り立ての時ばかり生き生きしている。連中は白帯のくせに、生意気だ。

 何年前だか忘れたが、カラテクマ討伐の大立ち回りに出くわし、巻き添えをくって、ザックは大怪我をした。それ以来、左目の視力が落ち、焦点がうまく合わない。「クソッタレだぜ」ザックはTシャツの首元を引っ張り、走る汗を拭った。Tシャツには「アベ一休」のクールなロゴ。憧れのカルチャーだ。

 クールなものは、いつでも「リコナー」が発信地だ。彼らはこのカナダの土地のあちこちに点在するロービット・マインを発掘し、プロキシを見つけてくる。プロキシを使えば、ネザーキョウでもインターネットが使えるのだ。だが、当然それは重罪である。命がけだ。

 しかし、それが何だというのだ? インターネットで伝わるカルチャーはどれも鮮やかで、スピード感があり、刺激的だ。都から有線で配信されてくるネザーキョウのコンテンツは押し付けがましく、バカバカしくてやっていられない。「あぶね!」ザックは水溜りのカラテサソリを避けた。小型だが危険だ。 

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