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レリック・オブ・マッポーカリプス(5):聖剣エクスカリバー

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 残された時間は少なかった。マットの部隊は、アンブレラが破壊したトラップドアから地下へ降り、英国王室秘蔵のレリックを探した。そして封印されし数々のレリックの中から彼らが運び出してきたのは……黄金装飾が施された、ひとつの細長い木箱であった。

「おい、こいつはまさか……」マットはその箱を展示室の床に置き、丁重に留め具を外し、蓋を開けた。部隊全員の視線が、その箱の中身に注がれた。そして、皆、息を飲んだ。赤いベルベット布にくるまれて箱の中に収められていたのは……ひとふりの抜き身のカタナであった。それを見たマットは、血湧き肉躍るような興奮を覚えた。マットだけではない。メイも、他のカタナ・オブ・リバプール社の生き残りたちも同様であった。遠巻きにそれを覗き見るデッドアイズさえも。

 あらゆる英国人は、カタナを見ると全身の細胞が湧き上がるような高揚感をおぼえる。彼らは遺伝子レベルで、カタナという武器に対する興奮因子が刻み込まれているのだ。……だが何故? その答えが、この謎めいたロイヤルレリックのひとつに隠されていた。

「……英国王室はその存在をひた隠しにしてきたが、聖剣エクスカリバーは実在し、かつ現存する。しかも一本ではない。そうしたくだらん陰謀論や都市伝説が、昔から囁かれ続けてきた……」近くの彫像の上に座り、酒を呷りながら、デッドアイズは語った。語りながら彼は、かつてスプリガンから教わった数百ものガイド都市伝説を思い起こしていた。「……だが、与太話の一部はどうやら真実だったらしい」

 おお……刮目して見よ。その刀身には、控えめな古代ルーンカタカナで『エクスカリバー』と刻まれているではないか。これこそは英国三神器のひとつにして、闇のロイヤルコレクションのひとつ。聖剣エクスカリバーに他ならなかった。その危険なニンジャ真実は闇に葬られて久しいが、かつてアーサー王が振るったとされる伝説の聖剣エクスカリバーは、実のところ……カタナだったのだ。

 - 【ロンドン・コーリング】より



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