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シャード・オブ・マッポーカリプス(69):UCAと北米大陸の都市群

「参ったね……」XX002が頭を掻いた。UCA、ユナイテッド・コープス・オブ・アメリカ。インターネット情報によれば、それこそが文明、それこそがネザーキョウの外だ。タイクーンの攻撃に対抗する為、暗黒メガコーポ複数社が戦力を出し合い、臨時の防衛網を作ったのだという。

 -【エッジ・オブ・ネザーキョウ】 より

2048年における北米大陸

地球上にかつて存在した数々の国家や政府の大半と同様、Y2Kカタストロフィと電子戦争に続く過酷な試練の過程で、USA(ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ)もまた最終的に崩壊した。自らの利益のみを追求する暗黒メガコーポ群がパワーバランスを大きく塗り替え、互いを喰らいあい、混沌と力の時代が訪れた。

多くの人々はニューヨークやLA(ロス・アンジェルス)などの大都市に向かって移動し、ネオサイタマやガイオンと同様の一局集中メガロシティ化が進んでいった。地方都市の多くは単一の暗黒メガコーポによって支配される実験都市へと変わるか、あるいは小規模な独立要塞都市へと成長していった。それ以外の場所に残るのは、大西部時代の再来のごとき無法の荒野と、過去の残響めいたゴーストタウンの数々だ。

雲ひとつない青空の下、腰にプラズマ拳銃ひとつをぶら下げて、サイバネ馬や武装クラシックカーに跨ってゴーストシティを旅するのは、命知らずのローグハッカーか、あるいは論理聖協会の宣教師か。傾いた巨大看板には、色あせた旧世紀映画俳優の笑顔。遺棄されたダイナーズ・レストランやカフェテリアには、使い物にならないドル札が入ったままのレジスターが放置され、ボトル詰めの水は全て空になっている。ローグハッカーはレジスターを床に投げ落とし、タカハシ工具で旧世紀チップの制御基盤を剝ぎ取った。カウンターに隠れていた賞金首のサイバネ傭兵が背後からそれを撃ち抜き、外に止められたサイバネ馬を奪って荒野に消えてゆく。巨人の肋骨のように真っ白い、傾いた高層ビジネスビルの廃墟の下を通って。USAは滅びた。今は巨大な"死骸"(The Corpse)となった。

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