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ウシミツアワー・デッドフィッシュTV(2):電気信号とネオサイタマ・サイバーゴス


 心安らぐサイバーテクノの重低音と光の洪水が彼女の目と耳に飛び込んでくる。だがその直前で足止めだ。「エート、ツァレーヴナ・ミッドウィンター=サン……」入店して日が浅いのか、小柄なスタッフはUNIX検索画面を見ながら首をひねる。ユンコはいらいらした。電子手錠はきっとシグナルを発してる。

「ヘイトディスチャージャー=サンは来てる? 私の友達なんだけど!」ユンコは彼の称号を付け直して、スタッフの耳元でがなった。称号はそのクラブの中でだけ通用するものだ。「だから! ダークロード・ヘイトディスチャージャー=サン!」「アッハイ、三階のプライベート室です」スタッフが恐れ入り、彼女を店内へと案内した。

 プライベート室へと向かうと、そこにはサイバーゴスユニット「電気信号」のヴォーカル兼オコトとして有名なヘイトディスチャージャーが居た。白いモヒカン、口元を覆う拡声器付小型ガスマスク、針のような瞳、空挺部隊風サイバーウェア。少し雰囲気が変わったろうか。前に会ったのはいつだろう。

 - 【レプリカ・ミッシング・リンク】より

 ドーモ、ウシミツ・アワーになりました! みんな起きてますかー? ネオサイタマのアンダーグラウンド音楽カルチャーや伝説的アーティストの数々を10分間で紹介する、デッドフィッシュTVの「ネオサイタマ・アンダーグラウンド・テンミニッツ」! キャスターのオシルコです。今日はサイバーゴスウェアとLANケーブルウィッグで来てみました。イェイイェイワー! 今回はネオサイタマ・サイバーゴスのクラシックとして知られる「電気信号」を取り上げたいと思います。実は電気信号の曲も今はデッドフィッシュ・レコードからリリースされてるんですよー。買ってねー。

 さてさて、ここが「電気信号」がかつて拠点としていたクラブ「ウゴノシュ」です。一度閉店を余儀なくされたんですが、復活して、今でもネオサイタマ・サイバーゴスやUNIXテクノコアの聖地として有名です。ズンズン来ますねー。うわーかっこいいサイバネ。いろんな人がいます。噂によると、ウキヨ、いわゆる自我獲得オイランドロイドっていうんですか? 彼女たちの間でも「電気信号」の楽曲の一部はアンセムになっていて、「ウゴノシュ」に来てサイバーゴスに混じって100%テックの神秘存在が踊っていることがあるとかないとか! スゴイ! パッと見、見分けつかないですしね! ではまず、「電気信号」の最も有名な楽曲とそのMVを観てみてください! メンバー全員が壊れたオイランドロイドみたいに踊るのが印象的な、この曲です!


“壊れたオイランドロイドのように首を規則的に振って否定するのが俺! 憎悪と命名された電子刺激! スパーク! 励起する怒り! 激しい怒り! 怒りのロボット軍団全体的に制圧する! 怒りのロボット軍団全体的に制圧する! 怒りのロボット軍団全体的に制圧する! 怒りのロボット軍団全体的に制圧する!”

 - 楽曲 "AnGry R0bOt CoRp5 TOta1 DOmiNati0n" より


 ハイ、移動しました。VIPルームです。さすがにフロアだと声が全然聞こえないと思うので、こちらに来ましたよー。ここはしばしば、「電気信号」の中心的人物であるヘイトディスチャージャー=サンが控え室としても使用していた部屋なんだそうです。カメラさん、これ、足元、映してもらっていいですか。ほらー、これ! 有名な宙吊りカニキャッチ・ケージです。下が見えてコワイ! 下のフロアはみんな踊ってますね。ズンズンズンズズ! いいなー楽しそう。さてここで、まずはネオサイタマ・サイバーゴスがどんなムーブメントだったのか、その歴史を簡単に紹介していこうと思います。

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