4-4:サンプルキャンペイグン:サンプルシナリオ2「ニンジャの自宅」
導入用シナリオ2:シナリオ1「ヤクザの事務所」では、PCたちは敵本拠地を襲撃し、単純にそれを皆殺しにすればよかった。一方、シナリオ2は捕獲系のシナリオであり、邪悪なニンジャであるPCたちは、ターゲット「ヤモト・コキ」がマップ外へと脱出する前に無力化し、捕まえなければならない。しかし彼女には強力な保護者である「シルバーカラス」がいる。作戦を立てなければ、一筋縄ではいかないだろう。またこのシナリオではWasshoi!判定も行うため、数々のランダム要素がプレイヤーを翻弄するだろう。想定プレイヤー人数は3人から5人である。2人でもプレイ可能だが、その場合マスターは適切に敵戦力を減らすこと。また、プレイヤー人数やセッション時間にあわせて、小型版のマップを使ってもよい。
ダンゴウの開始
地の文「君たちは余暇を終え、再びアジトに集まった。IRCで連絡があった通り、ソニックブームがやってきて、ソファに深く腰掛け、クリスタルヤクザテーブルに足を投げ出した。彼は部屋を見渡しながら言う……」
ソニックブーム「たいそうな事務所じゃねえか、エエッ? 誰のおかげでこんな立派なアジトに住めると思ってんだ? いいか、今日はテメエらに少しばかり歯応えのある仕事持ってきてやったから、覚悟しろよ……。ターゲットはこいつだ。ソウカイヤに反抗するニンジャだ。ヤサは割れてる。こいつを捕獲してこい……俺様がここでスシを食ってる間にな」
ソニックブームは以下のようなブリーフィング内容を説明する。ロールプレイ重点で進行させたい場合は、1個目の◉だけをまず伝え、PC側からロールプレイによる質問があった場合のみ、他の情報を伝えるとよいだろう。
◉ヤモト・コキはアーチ級のソウルを宿した女子高生ニンジャだが、ソウカイヤによるスカウトを拒んで逃げ出した。これまでにクローンヤクザやソウカイ・ニンジャを何人か殺している。その潜伏先が分かった。フリーランスニンジャ「シルバーカラス」の自宅だ。今すぐここを襲撃し、ヤモトを捕獲しろ。少なくともシルバーカラスはオトシマエをつけるために殺せ。
◉ミッションの成功報酬(【万札】)は成功度による。ヤモトを捕獲し、シルバーカラスも殺害できたならば、報酬に加えてラオモトのもとに面通しをする。なおシルバーカラスの家からは自由に略奪を行ってよい。
◉周辺地図が提供される。そこはうらぶれた雑居ビル街で、高層集合住宅がひしめき、細い路地が網の目のように走っている。雑踏に紛れ込まれると厄介だ。マンションの周囲から逃すな。ヤモト包囲用として、クローンヤクザ半ダースが支給される。自由に使ってよい。
◉その他、予想される敵戦力や事務所の規模などについて(次のシナリオを参照。どこまで親切に伝えてやるかはマスター次第)。
すべての情報を与える必要はない。あくまでもテンポとアトモスフィアを重視すること。ダンゴウが終了したら、プレイヤーたちは「ゲームスタート準備」に進む。ニンジャマスターは作戦の立て方についてサポートすること。
◆ゲームスタート準備:ハッキングと初期配置
まずソウカイヤから提供された戦略マップについて、以下のようにプレイヤーに解説すること。なお、PCに見せるときはヤモト(Y)とシルバーカラス(S)のコマは消しておく。
・便宜上、上を北と呼ぶ。
・白のマスがシルバーカラスの家であり、4階にある(不吉だ)。東側の真ん中にドアがあり「カギ・タナカ」と表札が出ている。蛍光グリーンのマスはランダムトレジャーだ。
・薄い緑色のマスは同じ集合住宅内のその他の住人の部屋であり、今は特に気にしなくてもよい。
・黄色いマスは、同じ集合住宅内の廊下である。北側に窓があり、窓はベランダと同じように移動できる。
・紫色のマスは、この集合住宅に隣接する細い裏路地である。ヤモトはおそらくベランダから飛び降り、ここを通って逃げようとするだろう。
・灰色のマスは、柱や他の建物により侵入不可能なエリアである。
・Wと書かれたマスは自動販売機などが置かれた細い路地で、このマスにPCは入れない。その先はマケグミが住む電脳魔窟のようになっている。
・ヤモトが「出」または「下水」マスに到達すると、マップ外へと脱出されてしまう。またPCも同様に、これらのマスから脱出できる。
・間取りのアップは以下のようになっている。⑥はベランダであり、隣接する紫色の路地へと飛び降りられる。
・5階のベランダや窓から地上へとニンジャを飛び降りさせるには、単に飛び降りたい先へとコマを移動させるだけでよい。ただし、残りの移動マスがどれだけあったとしても、そこで移動は終了する。飛び降り直後に何か行動をとる場合、難易度は【ULTRA-HARD】となる。
・地上から5階へニンジャを移動させたい場合は、窓やベランダと隣接する地上部から手番をスタートさせる必要がある。このニンンジャはその手番の移動全てを消費して、登りたい先へと1マスだけ移動できる(カンバンや壁などを蹴り渡るのだ)。この場合の移動後の行動難易度は【ULTRA-HARD】となる。
・5階から地上への射撃、および地上から5階への射撃は不可(ツタ植物めいたLANケーブル天蓋など視線を遮るものが多すぎるため)。
・捕獲方法:このシナリオにおいて、ヤモトとシルバーカラスは【体力】が0になってもその場で行動不能になるだけで、即座には爆発四散しない(『サツバツ!』が発生した場合は例外であり即死する)。行動不能状態で1発でも追加ダメージが入るとカイシャクされ、そのキャラは爆発四散する。行動不能状態から自律復帰はできない。この状態でゲーム終了すると、捕獲成功とみなす。ヤモトを行動不能にしたPCは直ちに【DKK】を5獲得する。
◆事前ハッキングを行う
地の文「君たちの中にハッキングに長けたニンジャがいるならば、シルバーカラスの家のUNIXに対してハッキングを仕掛け、さらなる情報を引き出してもよい。シルバーカラスはソウカイヤの仕事を請け負ったこともあり、そのUNIXにはソウカイネットのアクセス痕跡が残っているはずだ。ゆえにハッキング攻撃は簡単だ。問題はどこまで深く潜れるかだ。そして、多少のリスクも伴う……」
面倒ならばこのハッキング過程は飛ばしても構わない。ハッキングを行うことにした場合、PCの中で誰か1人が代表で判定を行う(話し合って決めさせること)。難易度は【HARD】である。アジトにUNIX部屋などがある場合、またトロ粉末などを所持している場合、それらを使用してもよい。
『スゴイ!』:判定に成功した場合、ニンジャマスターは「間取り情報」について以下の通り伝える。①はリビングで戦闘に向いた広い部屋。②は寝室。③は風呂。④は鍛錬室。⑤はトイレ。⑥はベランダである。③の風呂には通風口が存在するため、望むならばPCいずれか1人は③の濃い緑マスに初期配置できる。またシルバーカラスことカギ・タナカ(おそらく偽名だろう)は不治の病を患っており、弱っていることが解る。彼はUNIXや装備などが置かれた①の部屋にいるだろう。ヤモトは②または④の部屋にいる可能性が高い。
『テンサイ!』:判定したダイスの中に6の出目が2つ以上あった場合、ハッキングは大成功である。PCはカギ・タナカのUNIXのカメラやマイクまでをも瞬時に掌握し、その生活パターンを完全に掴んだ! このPCは上の『スゴイ!』に加えて、ヤモト(Y)とシルバーカラス(S)のコマを、白いマスであればどこでも好きな場所に配置した状態でゲームを開始してよい。寝室(②)、風呂場(③)、トイレ(⑤)のいずれかに配置した場合、PCたちが突入した時のそのキャラクターの反応開始が1ターン遅れる(これはPCたちにとってかなり有利になるだろう)。
『ウカツ!』:判定に失敗してしまった場合、そのPCは【精神力】を1消費した状態でシナリオを開始しなければならない。加えて、襲撃を警戒したカギ・タナカは発作時の薬剤を事前服用して備えるため、ヤモトと隣接する形で①の部屋からスタートし、さらに『吐血発作』のルールが適用されなくなってしまう(これはPCに教える必要はない)。
路地裏は危険に満ち、重金属酸性雨が頭上から滴り落ちる。
暗がりには廃棄オイランドロイドやマグロの頭が転がっている。
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