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「妖怪処刑人 小泉ハーン」収録内容紹介

時は十九世紀末。葵の御紋は未だ死せず。江戸城には無慈悲なる大老井伊直弼。永世中立交易都市たる京都神戸(ケイシン)を境に、西部では薩長同盟が勢力を維持。坂本龍馬暗殺より三十年……再び倒幕の機運と緊張が高まる中、両陣営ともに性急なる近代化と軍備増強に余念無し。
一方、強化アーク灯の光届かぬ荒野には未だ魑魅魍魎が跋扈し、開拓地に暮らす人々を脅かし続ける。かくの如き暗黒の地で、あるいは魔都長崎の地下で、人知れず妖怪狩りを続ける男がいた。
男の武器はウインチェスターM1876Z式ライフル銃。コルト社製アンブローズ・ビアス・スペシャル。そして鋼の信念。
大公儀魑魅魍魎改方の最後の生き残り。不吉なる妖怪猟兵の装束を纏いて、黒の軍馬シャドウウィングを駆る偉丈夫。
その男の名は……。

登場人物紹介

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン):ギリシャ生まれダブリン育ち。米国に渡ってピンカートン・ヘルスポーン・ハンティング社で腕を磨き、やがて日本へと流れ着いた隻眼の妖怪狩人。黒の軍馬シャドウウィングとともに暗黒の日本列島を渡り、妖怪を狩り続ける。本書は、奇妙に歪んだ一九世紀末の日本に生きる小泉八雲とその仲間たちの運命を描いた、怪奇幻想パルプ小説である。

ブラム・ストーカー:ダブリンに暮らす少年時代のハーンを鍛え上げた、偉大な妖怪狩人。レ・ファニュに師事する。

イザベラ・バード:女性冒険家にして妖怪狩人。日本列島を旅しながら密かに妖怪を狩り続ける。英国製の蒸気式強化ハーネスを身につけている。

富吉:薩長政府の飛脚エージェント。妖怪や幽霊がらみの事件に巻き込まれることが多く、しばしば小泉八雲と行動を共にする。

お蔭:ハーンの装備一式を収めた巨大な仏壇箪笥を軽々と背負って歩く、黒髪の女。


収録エピソード紹介


荒野を往く狩人

紀伊国にてノッペラボウ三兄弟を狩り終えた小泉八雲は、鎖に繋いだその死体を宿場町へと運ぶ。妖怪狩りの報酬を町長から受け取るために。蠅群がるノッペラボウの死体が広場に吊るされ、行商人らが記念撮影商売を始めるのを一瞥しながら、小泉八雲は廃業蕎麦屋の老夫婦のもとへと向かった。

耳なし芳一

長州赤間関の阿弥陀寺に、琵琶と詩吟をよくする盲目の美丈夫がいた。彼の名は芳一。だが芳一はその才能のため、平家の亡霊に呪われている。噂を聞きつけたハーンは、「幽霊十両」「妖怪五十両」の旗竿を背負い阿弥陀寺の門を叩いた。平家亡霊軍団との情け容赦無い銃撃戦が始まる。

カマイタチ狩り

大隈峠の別荘に暮らす森下氏は、友人桂良輔と鹿狩りに出た際、不可視の怪物に全身を切り裂かれ死亡した。怪物の実在を信じぬ陪審員と地方判事。桂良輔は裁判にかけられ、神戸アサイラム強制入院の危機に陥った。その時、法廷の重いドアを押し開けて小泉八雲が現れ、それはカマイタチの仕業であると宣言する。果たして彼は、不可視の怪物を如何にして狩り殺すのか。

アメイジング・デッドガール

自由交易都市京都の南東地区にある、下劣な見世物小屋。そこで催される最新のショウは、本物と見紛うばかりのゾンビ少女であった。見世物小屋の前を通りかかった旅行服姿の女、文子は、デッドガールの容姿や傷跡が死別した娘に酷似していることに気づく。文子は京都に滞在中の小泉八雲を頼った。

長崎の食屍鬼

昼なお暗き魔都「長崎」。海岸線沿いに果てしなく並ぶ威圧的な砲列のシルエットは、刺々しい墓場の鉄柵を思わせる。その背後、天衝く島原ゴシック大聖堂群の先端は排煙と黒雲に隠され、市街から仰ぎ見ること能わず。紐育、巴里、倫敦にも比肩するこの魔都の地下には、無論、食屍鬼どもの巣があった。そしてそれを狩る妖怪狩人たちの存在も。

聖カスバーツ校のハーン

ラフカディオ・ハーンの少年時代を描いた、妖怪狩人としてのオリジン・エピソード。少年時代編の第1話。DHT月報マガジンにてプレビュー先行公開中


その他、以下の奇怪なる断片を収録:

・冒頭:久正人先生書き下ろしの4Pコミック
・【断片】長崎のアイリッシュパブ「不景気屋」にて
・【断片】富吉からの書状
・【断片】鋳型の島
・【断片】ワームの諸相とその殺し方について
・【断片】島津支部内陣にて
・【断片】死者の黒船


……妖怪は殺せる。人間の力によって。

妖怪処刑人 小泉ハーン / HEARN: The Last Hunter and the Esoteric Seven #1」は2018年2月20日発売予定!


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