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S3第2話【エッジ・オブ・ネザーキョウ】#7

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「タノモ!」逆光を背負い、威勢よくタマカのガレージに現れたのは、コトブキである。「シグルーンを預かっていただき、ありがとうございます! 万事解決です!」「何!?」タマカは仰天した。「どういう事だね?」「最新のドライバをここに入れてあります」コトブキは得意げにこめかみを指差した。

「エッ、嬢ちゃん、それは」「こういう事です」コトブキはガレージの隅に置かれたシグルーンまで歩き、LAN直結した。UNIXライトが明滅し、電子マイコ音声が告げる。『再起動重点。オヤスミナサイ』「あとは3分間待つのですよ……」「どこでドライバーを?」「闇のビジネスですよ。知りたいですか?」

「闇……まさか」タマカは察した。コトブキは微笑んだ。「しかもわたし、取引に用いたメガデモが高価だったので、追加サービスで……」「それぐらいにしておけ」マスラダが入ってきたので、コトブキは口をつぐみ、プロキシの内部回路の一部を体内に移植した事を秘密にした。DIYが得意なのだ。 

『オハヨ。理解を完了しました』そうこうするうちにシグルーンは再起動プロセスを完了した。「元気ですか」コトブキが尋ねると、『内部の混乱は0%です』という答えが返った。「地図データを呼び出せますか」『ネザーキョウ。前線都市ヤマザキ。UCA名、プリンスジョージです』「やりました!」

「た、大したもんだぜ」タマカが驚嘆した。マスラダはシグルーンにまたがり、エンジンに火を入れた。タマカはタオルで汗を拭った。「駆動のリズムも心なしかタイトになってやがる。そういうものか」「ブッダ像を彫り、魂をこめないのはダメ……。そういうコトワザがあります」コトブキが言った。

「含蓄がある」タマカは感心した。「それでアンタ達、この大層なバイクで、どこまで行くんだね」「トップシークレットです」コトブキは答えた。マスラダを一瞥し、「強いて言うならばネザーキョウをこのまま東へ……」「なんと! それじゃホンノウジに行くのか!? まさかゲニン志望か」

「いいえ」コトブキは首を振った。「わたし達は友達のツテを……」「それぐらいにしておけ」マスラダが遮った。コトブキは頷き、キンチャク袋からアケチ銭の素子を掴んで出した。「修理代はこれで大丈夫でしょうか」「お、おう、問題ないぜ」タマカは笑顔になった。「アンタら戻ってくるか心配だったがな……」

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