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特別編:忍者ブリンガー刃鉄HAGANE 第2話【比叡】

◇目次

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【忍者ブリンガー刃鉄HAGANE】

第2話 比叡


 比叡山・豪裏蓮花寺、深夜2時! 本堂の四隅にはかがり火が置かれ、荒れ狂う炎が巨大仏像を赤く照らしていた。炎が燃えていながら、しかし、その空間は薄ら寒いアトモスフィアを帯びていた。奇妙だ! そしてそこには明らかに僧侶ではない者達が三人!

 一人は仏像の蓮華に罰当たりにも腰掛ける十二歳くらいの白金髪の少年。目元には紅を差し、あどけなくも奇妙な凄みがあった。一人はブレザー制服姿の女子高生。床に寝そべり、タブレットをいじりながらプリングルスを食べている。一人はケブラースーツで身を固めた長身のスキンヘッド刺青の男。柱に寄りかかるように立って、手にしたクルミを擦り合わせている。

「……あっ!」少年はぶらぶらと足を振っていたが、不意に顔を上げ、表情を輝かせた。少年は手をかざした。すると本堂の入り口がバチバチと爆ぜ、黒い不規則空間が生じた。そしてその中からフードをかぶった若い男が進み出たのだ。

「おかえり、マレビト」「フン」マレビトと呼ばれた若者は、手にしたものを……古文書を少年に投げ渡した。表紙に書かれたタイトルはフランス語……「Les Prophéties de M. Michel Nostradamus」……これは一体!?

「さすがマレビトだね。信じてたよ」少年は喜んだ。一方、スキンヘッド頭頂部刺青の男はマレビトに厳しい視線を向けた。「最低限の実力は見せたようだな」「クロウド、ちょっと厳しいんじゃな~い」女子高生がからかうように言うと、クロウドは睨み返した。「黙れ、ヒフミ」

 二人に対し、マレビトは不敵に笑った。「お前らは傍観者。怖気づいて出遅れた臆病者だ。頭が高いんだよ……」「……聞き捨てならんな」「え、ちょっとウザイんですけど~」クロウドとヒフミの殺意はマレビトに向かった。三者の手が懐にのびる。それぞれの黒いマキモジュールに!

「仲良くしなよ」少年が穏やかに、だが断固たる口調で命じた。「ぼく、嫌いだな。そういうの」少年の制止に従い、三人は臨戦態勢を解いた。「それで? そのカビくせえ骨董品に何の価値がある?」「フフ……」少年は古文書のページをめくった。「ノストラダムス、知ってる? 大昔の予言者で、1999年に恐怖の大王が降りてくることを予言したんだ」

「聞いた事ある~。ママの時代だよ。みんなデタラメを真に受けて大変だったんだって~」「大衆は愚かだ。真実を目の前にぶら下げられても決してその果実を手にする事はない……滅ぼすほかに道はない」「クロウドの選民思想ちょっとウザいんですけど~」

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