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デッドリー・ヴィジョンズ:サムズ・オブ・デス

デッドリー・ヴィジョンズとは?: 誰にも顧みられることのないニンジャとニンジャの死闘、そのミニマルさを重点した、シンプルな読み切り短編シリーズです。各話に連続性は無く、どこからでもスナック感覚で読めます。そこにはプロトタイプを含む過去の作品と、全く新たな短編が混在し、時には本編採用されなかった掌篇も含まれます。原作者の意図により、敢えてどれがどの時代に書かれたものか、また第何部の時系列にあたるものかは明記されません。原作者ボンド&モーゼズ氏は「どれが正史でどれがスピンオフかという境界線は、敢えて曖昧にしたい」と述べています。ではニンジャとニンジャの情け容赦ない戦いをお楽しみください。


【サムズ・オブ・デス】

 ネオサイタマには全ての街路に自動販売機がある。一説には自動販売機はネオサイタマの成人人口に匹敵する台数が存在しているとも言われている。さすがにそれはブルシットであろうが、確かに貴方が路地に入ってみると、道路の両脇に常に数台の自動販売機が並び、蛍光ボンボリライトを明滅させている情景に出くわすはずだ。

 次に多いのはコンビニエンス・ストアだ。コンビニエンス・ストアは無機的でプラスチックな小店舗チェーンで、狭い敷地のガラスケース内にぎっしりと生鮮食品やスナック菓子、雑誌類が並ぶ。そして三番目に多いのは……シアツの店である。

 シアツ・マッサージはネオサイタマ市民にひろく愛好されている。指で身体の部位を押し、刺激を与えることで、疲労を拡散させたり、血流に影響を与える事で身体能力をブーストさせたり、骨格の歪みを調整する効果すらもたらす。

 さらに、店内にはリラグゼーション効果のあるアロマが焚かれ、壁には「元気になる」「やすらぎ」等のショドーが飾られている。身体のみならず、摩耗し張り詰めた精神をも解きほぐしてくれるのだ。ネオサイタマ市民は日頃の激務で疲れ果てており、こうしたサービスを受けねばすぐにでもカロウシしてしまう。日々の暮らしの中でシアツは必要不可欠なメンテナンス・スポットであると言えた。

 そして、それゆえに……そのデマンドにつけこむニンジャ存在の暗躍があったのだ! その邪悪なる営みは今まさに、キャブチャ・ストリートのうすら寂しい交差点に面した雑居ビルの四階、シアツ店「パワー・チャン」で行われている!

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「ンンン……お客さん。凝ってますねえ……」

「ハイ、残業が7時間で」

「そりゃ大変だ。しっかり治していってくださいね」

 大柄なシアツ・マイスターは、施術台にうつ伏せ状態の中年男性の背中に指をあて、力を込めながら動かした。

「アー、キク、キク」

 中年男性は喜悦の呻きをもらす。

「どうですか。痛いところはありませんか」

 マイスターは親切に尋ねた。

「ちょうどいいですね」

と中年男性。

「それはよかった」マイスターは目を細めた。「それではここからが当店のスペシャル・プログラムです……」

「スペシャル! それは嬉しい。一時間980円という安さに加え、そんなサービスまで?」

「当店は優良店ですからね」マイスターは優しく言った。「では、はじめます」

 マイスターは押し当てた親指にさらなる力を込めた。その太い腕に血管が浮き上がり、皮膚を透かして、燐光放つ血流が見えた。「フシューッ……」マイスターは捕食動物めいた息を吐いた。この時点で中年男性は己の身体を走る異常な感覚に戦慄した。

「エッ? これはなんですか?」

「ですから……スペシャル・プログラムですよ!」

「エッ?」

 中年男性は顔を動かし、マイスターを見上げようとした。しかしその時もはや彼は邪悪なる本性を隠そうともしなかった!

「動くな! 鮮度が落ちる!」

「アバッ!?」中年男性は痙攣!「アババババーッ!?」「イヤーッ!」「アババババババーッ!」

 中年男性は恐怖と苦痛に仰け反った。彼自身の生命力が体内を異常循環していた!

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