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S3第2話【エッジ・オブ・ネザーキョウ】#4

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 北米大陸、カナダ西部「ネザーキョウ」首都、ホンノウジ。

 アルベルタ、サスカチュワン、マニトバにまたがる広大なネザーキョウの中枢ホンノウジは、かつてのエドモントンを礎にしている。朱と金で塗られた異様なるホンノウジ・テンプル城を幾重にも囲む城壁は無数の五重塔によって接続され、それらの瓦屋根の上では常に超自然のネザーの炎が燃やされている。

 空は焼き焦がされて黒く染まり、まさにそれはアケチ・ニンジャの第二の故郷たるネザーオヒガンのごとし。城壁に絡みつく歪んだモミジの木々は赤く美しい葉を揺らし、法螺貝が吹き鳴らされるたび、カイトを背負ったトルーパーが隊列を為して南の空へ飛んでゆく。……邪悪なカラテの、ジゴクであった。

 弱者必滅の帝国の心臓部であるが、地上へ近づけば、人の営みの音も聞こえてくる。あれなるオコトの調べは、ホンノウジ・テンプル城の離れのオオクの塔から聴こえてくる儚いサウンドである。誰に知られるともなく飛翔する一羽の鳥は、まるでその調べを辿るように、空を滑り降りていった。

 テン、テン、テテン、テン……。テン。

 第六寵姫ムラサキは羽ばたきの音に演奏の指を止め、表情をかすかに輝かせて、窓を見た。「……あら」「オハヨ」ムラサキは窓に腰掛けたフィルギアに微笑んだ。「訪れる時は急なのだから……」「それは仕方ない。アンタの旦那はおっかない……わかるでしょ」

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