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【ブーブス・サイバーパンク!】


ブーブス・サイバーパンク!

 ダカダッダッ、ダカダッダッ、ダー、ダカダッダッ、パッパパーパパパパー、パパパパー、パー、パー。KADOOOOOOOM!

(ダミ声)荒野を旅するセクシー美女バンド軍団、我らが女神、ブーブス・セクシー・ストライキング・バンド、BSSB!

 フォクシー!「アーハ? 今日のサンドバッグはアンタってわけ?」セクシー! ソー・セクシー・エクスプロイッティン・ブルネット・ビューティー!  知性とウィットと強い意志を備えた我らがリーダー! ギターリスト!

 ブロンディ!「ねえ、いい事考えた! あなたが私のかわりにトイレに行ってくればいいのよ」ソー・テンプテイティン・ブロンド・エアーヘッド! とにかく頭が悪いが金髪で美女! 歌は歌える! 難しい歌詞はやめときな!

 ドールハウス!「まだダメ……まだ降りてこないの……トマトジュースちょうだい」ソー・エキゾティック・ダークヘアード・ゴシック! ゴス! ゴシカル! ソー・ゴシック・キューティー・スプーキー・ビューティー・ベーシスト! 小さいが年齢はリーガリー・ノープロブレム!

 ジェーン9!「……ファック?」ソー・リアリスティック・シルバーブロンド・ミスティック・バイオレント・ファム! パンチりょくはメンバー最強! マシンガン? アタイのマーシャルアーツにまかせな! その腕力でボーンナム並みのドラミング!

 キューティービューティーハニービー! バン(盗品)に楽器(盗品)を詰め込み、四人のビューティフル・ガールズ・ソー・セクシーがトラベリング!「フォクシー! 次のヴェニューはどこ?」「ファック!」……ブーブス・バンド・シリーズ最新作! 「ブーブス・サイバーパンク!」(四人の背後で爆発)

(これまでのあらすじ:プロフェッサーKは生きていた。奴らのまやかしに気づいたブーブスは鋼鉄UFOにロックンロールの魔法で体当たりをしかけた。すると激しい爆発が起こり、時空が歪んでしまったみたいだ……!)


 KA-DOOOOOOM!!「「「「ウワーッ!」」」」ブーブスを乗せたブーブス・バンは突如、灰色の電脳メガロシティ、ネオサイタマへと放り出された!「ゲホッ! ゲホーッ!」「ファック! どこだここ!」「ウッ、私は今まで……西暦4643年の未来にいたはず……」「ドール、あんたまたラリってたのかい」

「そこでは悪の魔王デビルヴァーティゴが……」「違うだろ。プロフェッサーKが生きていて、奴が幻影を作り出してたんだ」「オイお前達、何をやってる! ここは出演者専用エリアだ。ビッチどもは接待コーナーに行け」ブシェーミじみた顔のADが怒りながら向かってきた。「うるさいよ!」「ウギャーッ!」

 右パンチ!「ギャーッ!」左パンチ!「ウギャーッ!」ブロンディはブシェーミにマウントポジションを取り、右左右左! 上下上下!「ウギャーッ!」ジェーン9とフォクシーが脇腹を蹴りまくる!「オラッ!」「この野郎!」「ギャーッ! ギャバーッ!」……「それぐらいにしときな」フォクシーが止めた。

「アンタ、警察を呼んでくれ……」「そんな事より、ここはどこだい」「私、知ってるわ」ドールハウスがかわりに答えた。「ここはネオサイタマよ。AREA4643でいうステージ1……」「ネオサイタマだと?」ブシェーミ。「何言ってるんだか。このワルサイタマはいちども新しくなった事なんてありゃしねえ」

「細かいことはいいんだよ!」「ウギャーッ!」ジェーン9がブシェーミの顔面に座って黙らせた。フォクシーは窓の外を見た。空にはネオン輝く高層ビルの浮島がある。「なんだいありゃ」「ああ。あそこには遺伝子をいじったカネモチが住んでるんだ。奴らも俺らの歌番組を楽しんでる。視聴率凄いぞ!」

「歌番組ですって!?」ドールハウスが驚いた。「年末番組に居合わせたならば、乱入してプロモーションするべきよ!」「たまにはいいアイデアを出すね、ドール」フォクシーのお墨付きが出た。焦るブシェーミ!「オイ何してる、やめ……」KA-BOOOOOM! 爆発! 壁が吹き飛んだ!

「なんて事をしやがるビッチども!」「アタシたちじゃないよ」「すごい爆発で壁に穴が空いたよ」ブーブスの面々は顔を見合わせた。穴から歓声が聞こえてくる。「近道ができたじゃん!」ブロンディはジャンプした。「きっと話がついたんだよ!」「よっしゃ!」四人はダッシュで、粉塵の中に飛び込む!

「待てーッ! 俺のコンプライアンスが!」追うブシェーミ! 彼らが粉塵をくぐり抜けると……大歓声!「「「ネコ! ネコ! カワイイ! ネコ! ネコ! カワイイ!!」」」そして銃声とカラテシャウト!! BLAM! BLAM! BLAM! BLAM!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」

 舞台裏ではニンジャやクローンヤクザが入り乱れて戦っている! ネコネコカワイイ年越しライブ会場で、密かにニンジャの暗闘が繰り広げられていた!「デッカイモーン!」「グワーッ! こんな話聞いてねえ!」のたうち回る青黒いニンジャ!「あれはニンジャスレイヤーイビル!」ブシェーミがハッとした。

「ニンジャ……何?」フォクシーが尋ねる。「ワルサイタマで悪名高いヤバい殺し屋だ。きっと汚れ仕事を受けて現れたに違いない。だけどあの調子じゃ死んじまう」「デッカイモーン! デッカイモーン!」「グワーッ!」巨大なニンジャがマウントを取り、左右左右! 上下上下!「グワーッ!」

「アケマシテオメデトゴザイマス!」その背後では電子時報が年明けを告げ、激しいフラッシュライトが爆発した。めでたい!「これはどういう状況だい」「ムッハハハ! このままワシ、ラオモト・カンのカラオケ・リサイタルに番組改変しちゃる。愉快愉快! ハッピーニューイヤー!」尊大な男が歩き回る!

 巨大ニンジャは暴力を終え、ナンシー・リーを掴んだ。「HOLY SHIT!」彼女は怪力で逆さに吊られ、今まさに機密フィルムを奪われようとしていた! BLAM! BLAM!「それではワシが一曲、ミスージノー、イトニー」リサイタル! こんな混乱が続いていては、ネコネコカワイイのライブが開始できない!

「「「ネコ! ネコ! カワイイ! ネコ! ネコ! カワイイ!!」」」もはや暴動が起こる寸前だ!「オイやめろって……」「イヤーッ!」「グワーッ!?」後ろ蹴りで倒されるニンジャスレイヤーイビル! クローンヤクザが銃口を構える! BLAMBLAMBLAM!「グワーッ!」蜂の巣になったのは……ブシェーミ!

「エッ、おっさんが盾に!」ブーブスが息を呑む。ニンジャスレイヤーイビルは起き上がる。「なんか知らんが儲けたぜ」「お、おいお前ら……」ブシェーミはズタボロ状態でブーブスに語りかける。「たのむ……この番組はオレたちワルサイタマ市民の夢なんだ……クソ野郎どもに奪わせねえでくれ……」

「なんてこった」「死んじゃダメだ!」抱き起こすジェーン9!ブーブスの素直なエモーションを前に、ニンジャスレイヤーイビルはいたたまれなくなり、やっぱり今一度やる気になってきた。もとはといえば勝手なリサイタルをしたり破壊行為をしている奴らが悪い事を思い出したんだね!「奴ら……許さん」

「ハ! どうやらここは、デカいベニューのようだね!」フォクシーがとっさに状況判断!「「「HELL! YEAH!!」」」ブーブスたちは自分の楽器を掴んで、ステージ上に飛び出した! ロックンロールのチャンスだ!「ザッケンナコラー! グワーッ!?」「スッゾ、グワーッ!?」邪魔はさせない!

「ディレクター! 四人組のビッチと汚い奴が突然ステージに」「もう滅茶苦茶です! マズイ!」「アイエエエエ! こんなの台本に無い!」NSTVのスタッフが右往左往! 己のセプクがかかっているディレクターは、一か八かの賭けに出た!「このまま続けろ!」「わ、わかりました! 演出プログラムMAXな!」

 バォオオオー! バオオオーーーー!! 年越し歌合戦の会場に電子法螺貝が鳴り響き、巨大トレーラーの蓋が開く!「「「「イヨオオオオーーーッ!」」」」その中に待機していたスモトリが一斉に鬨の声を上げ、太鼓を叩き始めた! ドンコドンコドンドン! 太鼓の音がロックンロールと混ざり合い、爆発する!

 ギャオオオーーーン! ZGOOOOOMM! 凄まじいロックンロールが、ワルサイタマに響き渡る! 『ミュージック』『ですか……?』『ジャンプ!』『アンド・ジャンプ!』その力でネコネコカワイイが緊急起動し、ブロンディと並んで歌い始めた!『『「五万円ー」』』すごいケミストリー(化学反応)だ!

「ちょっと! ワシの歌が聞こえんじゃないの」ラオモトが不平を述べる。「フン、マイクのケーブルを見てみな」ニンジャスレイヤーイビルの指摘にラオモトが従うと、「アッ!?」ケーブルは中途で切断されている! ニンジャスレイヤーイビルの手には青黒い炎をまとった神秘のチェーンソーだ!「アッ!」

「デッカイモーン!」デッカイモンがただちに問題解決に乗り出す。ニンジャスレイヤーイビルはチェーンソーでデッカイモンの脛のあたりを斬りつけた!「グワーッ!」のたうち回るデッカイモン! もはや今日は役に立たない。ラオモトは怒り、拳銃を抜いた。「お前! もう許さんもんね……ウギャーッ!?」

 倒れ込むラオモトの顔面には赤黒の毛並みの猫……否、ニャンニャが飛びつき、激しい爪攻撃を繰り出していた。右左右左! 上下上下!「ウギャーッ!」ラオモトは無茶苦茶引っかかれて痙攣! ニャンニャの頭上には閉じかかったポータルがある。そこから鈍色のニンジャが顔を出した。「次元違いだ! 戻れ」

(ニャンだと?)赤黒のニャンニャ……ニャンニャスレイニャーはポータルの奥で慌てて手招きする鈍色のニンジャを見上げた。鈍色のニンジャはコクコクと頷いた。付け髭がずれた。ニャンニャスレイニャーは後ろ足でラオモトをキックして飛び上がり、ポータルに飛び込んだ!「ナオーッ!」

「……ウーン、ワシ、こんな初夢、嫌い!」ラオモトは呟き、仰向け降参昏倒!しかしそんな暗闘も、オーディエンスの目には入らない。ワルサイタマの市民は今、ブーブス・バンド・フィーチャリング・ネコネコカワイイの爆発的ロックンロールを目の当たりにしていたからだ!「ワオオーッ!」かわいいね!

「私はアンドロイド……私に人間の心は……無い……はずなのに……」機械の体のスズキが、ステージ前でゆっくりと手拍子を開始し、涙を! これがロックンロールの力だ!「B! S! S! B!」「B! S! S! B!」「ブーブス! イン! サイバーパンク! ヘル・イェー!!!」フォクシーとブロンディが叫ぶ!

「ヘル・イェー!」ドールハウスもモニタースピーカーに厚底ブーツを乗せ、フィンガーベースソロを繰り出した。おお、ロックンロールの奇跡により、分断されし世界とバースがいま、ひとつに……!「感動的ね」感動するナンシーの肩をニンジャスレイヤーイビルが叩き、裏口を示す。「スタコラサッサだぜ」

「早く! ハヤク!」イービアスが裏口から顔を出し、豊満なバストを揺らして二人を手招きする。「そっちにジジイのクルマが来てんのか?」ニンジャスレイヤーイビルが尋ねると、彼女はコクコクと頷いた。「地獄お」のマフラーがずれた。ニンジャスレイヤーイビルは金塊を袋に詰め込み、ナンシーと脱出!

 ブロロロー。ニンジャスレイヤーイビル、ナンシー、イービアスがビル壁をジップライン降下すると、ゲトームーンが電柱にクルマをぶつけながら迎えに走ってきた。「時間ぴったりじゃ。おや、誰じゃ? その……金髪美女は?」「金払いがいいんだ」「なら宴会じゃな」ブロロロー。ゲトームーンの愛車デズミハヤイは排気不良の黒煙と共にTV局を走り去る!

「おのれ、おのれブーブス・バンド!」路上でワンセグTVを観ながらプロフェッサーKが怒る。「これでは私が乱した因果律がロックンロールの力でこの後再び正しく修復されてしまう!」「許せませんわ!」隣にデジー!そこに走りくるゲトームーンのクルマ! KRAAASH! KA-BOOOOM!

「何か轢いたかもしれん」「夢だ!」クルマはスピードアップ!空中に吹き飛ばされながら服がズタズタになるデジーとプロフェッサーK!「アーン!ペインリーッヒ!」「おのれブーブス・バンドめーッ!」ニューイヤー花火に巻き込まれる! KABOOOM! KABOOOOM! GOOD LUCK ALL ROCK'N ROLL PEOPLE……!

 さあ問題は解決した! ロックンロールの現場に戻ろう!「イェー!」ブシェーミは最前列でジャンプする。「アンタ、死んだんじゃなかったの?」フォクシーが演奏しながら顔を近づけ、尋ねた。「蘇ったのさ。死んだぐらいでアンタ達のロックンロールは見逃してらんないぜ!」ブシェーミはサムアップ!

「やったぜ!」「インスタにUPせにゃ!」目をさましていたラオモト・カンも隣で喝采!DOOM!DOOM!KA-DOOM!「B!S!S!B!B!S!S!B!B!S!S!B!B!S!S!B!」会場では盛大なニューイヤー花火が幾つも打ち上げられ、ワルサイタマを揺らすロックンロールと歓声は、さらなる爆発的高まりへと向かうのだった。

◇HELL BOOBS!◇


【ブーブス・サイバーパンク!】完


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