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ニンジャスレイヤーPLUS

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サイバーパンクニンジャ小説「ニンジャスレイヤー」の連載まとめに加えて、書下ろしのスピンオフエピソード、コメンタリー、資料集などがまとめられたマガジンです。PLUS系のメンバーシッ…
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#AOM本編

PLUS目次(2024年8月14日更新)

🍣「ニンジャスレイヤーPLUS」は2022年8月からメンバーシップシステムに移行しました(従来の定期購読マガジンは9月移行徐々に更新停止となります)。PLUSは最新スピンオフや設定資料集の公開場所であり、2010年から続くTwitter無料連載支援のためのドネート窓口でもあります。 📡総合ニュース / 大きな更新まとめ◆AoM本編AoM本編はTwitter上で連載され、加筆修正版がnoteにまとめられています。連載ログや実況ログは三部作と同様、全てweb上に残り続けます。

S5第7話【トレイス・オブ・ダークニンジャ】#1

前話【ゼロ・トレラント・サンスイ】← 1 ネオサイタマ郊外北部にひろがる不毛の荒野は、暗黒メガコーポ諸企業が紛争を繰り広げる交戦可能域、通称「キルゾーン」として知られる。都市の選択と集中の結果、打ち捨てられ廃墟化した人口ゼロ地域だ。かつてここに存在した市街は絶えざる砲撃でほとんど更地と化し、ネオサイタマ摩天楼が遠くに霞む。  この地域では、ほぼ週極めのスケジュールで一対の企業が相互に軍隊を展開。激しい交戦を繰り広げている。文明の先端たるネオサイタマでしのぎを削る暗黒メガコ

S5第6話【ゼロ・トレラント・サンスイ】

前話【ダイハンジョウ・グッド・ビジネス】← 【ゼロ・トレラント・サンスイ】  ぞっとするほど冷たいコンクリートの感触を全身で味わいながら、ミニットマンは十年前の「戦争」を思い出していた。  絶望的な防衛戦の中、彼の部隊は母隊から切り捨てられた。トカゲの尻尾のように。指揮系統の崩壊を知ったのは、何もかもが終わった後の事だった。生き残ったのは彼を含め二人。あの時もこうして冷たいコンクリートに腹ばいになり、機をうかがっていた。今は、一人だ。  降りしきる重金属酸性雨の中で、

S5第5話【ダイハンジョウ・グッド・ビジネス】

前話【ゲイシャ・フラッシュバック】 ← 1 ダイハンジョウの創業は江戸時代。現在の2049年のネオサイタマまで古物業を営み続けてきた、誇り高き一族経営の店である。幾度もの苦境と移転を経て、現在は、バイオウナギのカバヤキの香り高いナバ・ストリートに店を構える。建物は実際小さく、ガラスは曇り、通行人を見守るフクスケの目つきは不穏だ。  店主の名はカワダ・イチロク。カワダ家の婿養子であり、二人の子を設け、妻には先立たれた。カウンターで黙々とUNIXデッキでインターネットする彼の

S5第3話【ジ・インターナショナル・ハンザイ・コンスピラシー】

前話【スクールガール・アサシン・サイバー・マッドネス】 ← ◆◆◆  リロン・ケミカル社ヘッドオフィス、13階。通路は黒漆塗りで、等間隔に配置された鉢植えには蘭の花が植えられ、ゼンのアトモスフィアを生み出している。ゆるやかに湾曲した通路の形状すらも、そのゼンに寄与するべくデザインされたかのようだった。だが彼女は今、必死で全力疾走し、この空間のゼンを乱している。 「クソが……!」カチグミ・サラリマンらしからぬ罵り声とともに、彼女は後方を見る。連なる複数の足音。近づいてきて

S5第2話【スクールガール・アサシン・サイバー・マッドネス】

1「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」「アイエエエエ!」複数のヤクザスラング、そして悲鳴、打擲音。表通りの光が、ヒビの入った壁に、暴力の光景を影法師として映し出す。囲んで棒で叩く影を。 「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」「は……払う、払いますからァ……」「……」暴力が中断した。ヤクザ達は顔を見合わせ、サイバネアイの緑光が闇に浮かぶ。「……払うカネなんざ、ねェーだろうがコラァ!」「アイエエエ! ありません!」「ザッケンナコラー!」「アイエエエ!」暴力再開!  

【AoM シーズン4エピローグ】

S4第9話 ← 『貴様らの都に、最後の滅びを……千年の呪いを、くれてやる……!』  セトの叫びは爆発四散パーティクルとなって儀式荒野を散っていった。マスラダとフジキドは、どちらからともなく、口を開こうとし……その瞬間、同時に、弾かれたように一方向を凝視した!「ミイイイヤアアア」茶器のデーモンである!  肥え太ったデーモンはギョロつく目を激しく動かし、電子涎を撒き散らして狂ったように跳ね始めた。「ミイイイ!」乱雑な牙が生え揃うデーモンの口がすぼまり、セトの爆発四散パーティ

S4第9話【ビースト・オブ・マッポーカリプス後編】

前編 ← 1「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」  一糸乱れぬ、同期されたカラテ・シャウトのビートがネオサイタマに響き渡る。まるでそれは空に浮かぶキンカク・テンプルの邪悪な鼓動音だ。「イヤーッ!」そのなかで、ニンジャスレイヤーの叫び

S4第8話【ビースト・オブ・マッポーカリプス 前編】

1 カスミガセキ・ジグラット。  ネオサイタマに屹立する黒いピラミッドは今や巨大なフジサンであり、その上空に輝く太陽は、赤黒のアブストラクト・オリガミである。空に広がるネオン・アートはもはや揺るぎなく、ネオサイタマ市街の人々は、顔を上げればビル群の向こうに、この巨大なウキヨエを見出す。  狩人メイヘムの爆発四散によって生み出されたニンジャスレイヤーのオリガミに、ザナドゥが自身のネオン・グラフィティを組み合わせ、視点を与えた。「ジグラット・フジ」は、その存在自体が、異彩の空

S4第6話【アシッド・シグナル・トランザクション】

シーズン4目次 ← 第5話【デストラクティヴ・コード】 ← 1 緑の海には昼も夜もなかった。薄い色の空に静かにとどまる黄金の立方体の輝きが、時間を消した。風は数字の「0」と「1」の可視のノイズを含んで、地衣類じみた緑に覆われたビルの狭間を吹き抜ける。0の発見とはすなわち、古代人が人類以前の名状しがたき神秘にアクセスした瞬間であったのだろうか。  誰も知らぬ決定的なあの瞬間、凄まじい緑が放射状にネオサイタマを呑み込んだ。巨木が摩天楼の狭間に生え出で、天を衝き、埋め尽くした

S4第5話【デストラクティヴ・コード】

→ シーズン4目次 1『信じられません! これは凄い!』ヘリコプターは謎の破壊のもたらされた地域に接近。どうやらTVカメラで中継を行おうとしている。『ご覧になりましたか? 異常な稲妻です! NSTVでは日夜このような迫真映像を皆様の端末に届ける事を使命としております! すぐチャンネルしてください! そして……』  リポーターはヘリから身を乗り出し、空に出現したものを凝視した。「あ……あれは……破砕月ではない……太陽でもない……あれは……黄金の……幾何学です」大粒の汗を垂ら

S4第4話【ヴェルヴェット・ソニック】

S4第3話 ← 1 ゴーン。ゴーン。ゴーン。ゴーン。朝の鐘の音がネオサイタマじゅうのテンプルで一斉に打ち鳴らされるなか、マルノウチ・スゴイタカイビル、東西南北のシャチホコ・ガーゴイルに囲まれた屋上では、油断ならぬニンジャの狩人達が、いまだ互いに睨み合っていた。  狩人マークスリーの狩りは失敗に終わった。 「コンヴァージ=サン、ベルゼブブ=サン、そしてマークスリー=サン。フフ」サロウは指折り数え、弱々しく笑った。「もう三人やられちゃったんだ。パーティープレイでニンジャスレ

S4第3話【マスター・オブ・パペッツ】

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【シーズン4、インターミッション】

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