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逆噴射小説大賞2024まとめ

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逆噴射小説大賞2024の全応募作品をまとめていくマガジンです。収録漏れらしきものを発見した場合は教えてください。
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#ミステリー

2024年10月に「逆噴射小説大賞2024」を開催します

文字数制限は800文字以内! 今回の本文文字制限も、800文字以内です。しかしこれは「800文字以内で物語を完結すること」という意味ではなく「小説の冒頭部800文字で応募する」という意味です。つまり「この続きを読みたいと思わせる、最もエキサイティングなパルプ小説の冒頭800文字」を表現した作品が大賞を受賞し、その応募者は大賞の栄誉とともに黄金のコロナビールを獲得できます。 ◆逆噴射小説大賞とは◆この大賞イベントを主催する ダイハードテイルズ/Diehard Tales は

メルテンスの淑女【逆噴射小説大賞2024応募作】

最初の悲劇は、例大祭から僅か2日のこと。 雨の近づく気配がする日だった。 私が生まれた小さな集落には、店と呼べるものがなく 屋根つきの移動販売の軽トラが、のろのろ家を回る位だった。 店主は気前のいい若い男で、 当時小学生の私が学校帰りにすれ違うと、 「お母ちゃんには内緒だ」と言って、こっそり菓子やジュースをくれる、兄貴分的な存在だった。 参道のど真ん中 血の気が引いた真っ青な顔で倒れていた。 不憫だったのは、祖母がそれ以来「逢魔時が来た」と言って、日没前には畑仕事を途中

コルベザグド遺跡の謎 序章

 トーイ夫婦は、考古学者だった。  彼らはある日、途轍もない物を発掘する。  とても抱え切れない、秘密。  夫婦は親友である、生物学者のコスタ夫婦に相談する事にした。  そして4人は、この遺跡の研究を秘密裏に進めて行く事を決めた。  調査を進めて、5年。  トーイ夫婦は、10歳の息子を初めて遺跡へ連れて行った。  その時の光景、コスタ夫婦と共に守り抜いた途轍もない物。  ザナウェイ=トーイは、一生忘れないだろう。  その後、4人は姿を消した。  ザナウェイ

あの子を誘拐します

 あの子を、暗闇から救ったのは僕だ。救済者として賞賛されるべき存在だというのに、街の至る所には「死んだ魚の目をした僕」の顔写真が散らばっている。  写真の僕には、まるで覇気がない。その理由を、僕は知っている。小さい頃に、親から「心」を壊されてしまったからだ。  僕が小さかった頃、親からはいつも理不尽な理由で殴られ続けてきた。殴る理由なんてどうでもよくて、僕はただのサンドバックでしかなかったのかもしれない。僕は必死に祈った。けれど、神様は現れなかった。だから僕は、パパやママ