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逆噴射小説大賞2024まとめ

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逆噴射小説大賞2024の全応募作品をまとめていくマガジンです。収録漏れらしきものを発見した場合は教えてください。
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#私の作品紹介

2024年10月に「逆噴射小説大賞2024」を開催します

文字数制限は800文字以内! 今回の本文文字制限も、800文字以内です。しかしこれは「800文字以内で物語を完結すること」という意味ではなく「小説の冒頭部800文字で応募する」という意味です。つまり「この続きを読みたいと思わせる、最もエキサイティングなパルプ小説の冒頭800文字」を表現した作品が大賞を受賞し、その応募者は大賞の栄誉とともに黄金のコロナビールを獲得できます。 ◆逆噴射小説大賞とは◆この大賞イベントを主催する ダイハードテイルズ/Diehard Tales は

小説 | 白い家 ①

「君はホワイトハウスに行ったことはあったっけ?」 「ホワイトハウスってアメリカの大統領府の、ですか?」 「ははは、違う違う。ここから車で1時間くらいのところにある廃墟になった白いアパートのことさ」  あぁ、あの廃墟か。確かにうわさで聞いたことがある。ただ、ホワイトハウスに行った次の日には、体に変調をきたすと友人が言っていた。本当かどうか知らないけれども。 「聞いたことはあります。友達が言っていたのを。何人かで一緒に行ったと聞きました」  先輩は急に黙りこんだ。何を考

ヤツはどこだ?【逆噴射小説大賞2024】

「こいつじゃないか?」 「いや違う、そいつは確認済みだ」 「すると、このヒゲヅラか?」 「どこにいる?」 「ここだ」 「なぜわかったんだ」 「シワだよ」 「シワ?」 「ああ、シャツを見てみろ」 「シャツ?」 「お前の目は節穴か」 「あっ!」 「ようやく気づいたようだな」 「よく気づいたな。危うく見過ごすところだったぜ」 「ヒゲヅラのシャツにはシワが3本入っている」 「これでコンプリートだな」 「まったくだ。てこずらせやがって」 「それにしても遅いな」 「まあ

「交わる渇望」逆噴射小説2024・応募作品

ターミナル前の広場ではバザールが開かれ、様々な露天商が軒を連ねている。品物も様々だが、訪れる人もまた様々な彩りを帯びている。 「おい、オヤジ。あれ、持ってかれたんじゃないか?」 「え?何言ってんの、お客さん。……あっ!リンゴが一皿ねぇ!あの野郎、またやりやがったな!!」 「この野郎待ちやがれ」「待てと言われて待つ莫迦はいねぇよ」、そんなやりとりと追いかけっこも、この雑踏の中では日常茶飯事。誰も気に留める者などいなかった。    ・ ・ ・ ・ ・ 軌跡が見えた。 視角