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逆噴射小説大賞2024まとめ

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逆噴射小説大賞2024の全応募作品をまとめていくマガジンです。収録漏れらしきものを発見した場合は教えてください。
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#ファンタジー小説

2024年10月に「逆噴射小説大賞2024」を開催します

文字数制限は800文字以内! 今回の本文文字制限も、800文字以内です。しかしこれは「800文字以内で物語を完結すること」という意味ではなく「小説の冒頭部800文字で応募する」という意味です。つまり「この続きを読みたいと思わせる、最もエキサイティングなパルプ小説の冒頭800文字」を表現した作品が大賞を受賞し、その応募者は大賞の栄誉とともに黄金のコロナビールを獲得できます。 ◆逆噴射小説大賞とは◆この大賞イベントを主催する ダイハードテイルズ/Diehard Tales は

金魚姫

 目の前に映るのは、琥珀色の鱗に覆われた下半身の私。  壁の向こうには、妹の早紀がにこにこしながら、ミルクを美味しそうに頬張っている。本来なら、私も早紀の隣で一緒に過ごしていたのかもしれないのに。私が口に出来るのは、泥のような色をした丸い餌のみ。  姉妹でこうも違うなんて、神様は不平等だ。この家の中で、私はできそこないの娘。どうやら私は、ママに一度も抱きしめてもらうこともないまま、生涯を終えることになりそう。 ※  長年不妊に苦しんでいた、私のママ。体外受精を何度か失

白き巨獣を解き放った冒険者達の章

 アーツィー=ツイーツィーベルの人生を語る上で、多くの者達はこう口にする。 『彼の人生は本当に不幸だった』 『彼ほど可哀想な子はいない』  だが。    本当に、彼は不幸だったのだろうか?    それを決めるのは、残念ながら貴方ではない。  何故なら。  彼の人生が本当に不幸だったか、そうでないかは。  彼自身にしか、分からないからだ。  何故、皆が彼の人生をそう語るようになったのか。  彼には、両親の記憶がない。  これまでの生活においても、所々記

ドラゴン・イン・ザ・デーモンキャッスル

君は何も持たない旅人。 幻のドラゴンが住むという魔王城に足を踏み入れた。 正面にガーゴイルの銅像が守る、血塗れのようなまだらの赤黒い扉。 その傍らに、薄い微笑みを湛えた女が立っているのが見える。 「私は魔女プレ・ゼンタ。魔王プレ・ゼントの双子の姉。旅人へ忠告をする。先へ進むつもりであれば問おう。何を求めてここへ」 天つ竜の魔女。魔女の末裔で、人々からその大きすぎる力を恐れられ、森の中で孤独に生きてきた。まだあどけなさの残る少女である。 魔女は黄金に輝くススキのような髪、