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逆噴射小説大賞2024まとめ

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逆噴射小説大賞2024の全応募作品をまとめていくマガジンです。収録漏れらしきものを発見した場合は教えてください。
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#SF小説

2024年10月に「逆噴射小説大賞2024」を開催します

文字数制限は800文字以内! 今回の本文文字制限も、800文字以内です。しかしこれは「800文字以内で物語を完結すること」という意味ではなく「小説の冒頭部800文字で応募する」という意味です。つまり「この続きを読みたいと思わせる、最もエキサイティングなパルプ小説の冒頭800文字」を表現した作品が大賞を受賞し、その応募者は大賞の栄誉とともに黄金のコロナビールを獲得できます。 ◆逆噴射小説大賞とは◆この大賞イベントを主催する ダイハードテイルズ/Diehard Tales は

HEAV-延命装置運搬用途人型車両- #逆噴射小説大賞2024

 ようやく『医療専用道路』の看板までたどり着いた。遠くから見ても目立つそれは、真下に立つと押しつぶされそうなほどだった。  上がった息を整え、壁のような看板の前で地面に這いつくばる。右足を軋ませながらその鉄板をくぐり、道路の上に出た。  真新しいアスファルトの大通りが街灯に照らされて、黒く輝いていた。六車線道路が東京と甲府の方へ、果てしなく伸びている。そこに等間隔に並んだ光は教科書で見た神殿の柱みたいだ。  ガードレールに背中を預け、プラカードについた土汚れを袖でぬぐう

異造人間ソル #逆噴射小説大賞2024

「私たち、人間じゃないんだって」  赤い日差しに染まる教室で、彼女は鈍色の頭を傾けた。ぼくは気のないふりをしながら言葉を選ぶ。 「なにそれ」 「ネットに流れてたの。私たちは人間によく似せて作られたもので、本物はずっと昔に別の星で滅んでるんだって」  肩をゆすって彼女は笑う。自らの髪をいじる白い指先は、軽やかだった。 「信じてるの? それ」 「ううん。でも」 『ソル。崩壊発生だ。顕在化まで約三十』  音を無視して彼女を見つめる。彼女は吐息の形に口を緩めながら肩を落と

そのガキは天使を騙る

 飛び降りる為に適したビルを探し求めて、やっと丁度良さそうなビルを見つけた。良い感じに人通りが少なく、かつてテナントも入っていない廃墟同然な古びたビルだ。  真正面の自動ドアは反応せず、当然ながら入れない。からどうやって裏口から入れるかを知恵を絞り、無限に時間はあるからネットの動画を先生にして、サムターンを針金で回す練習をする事にした。  無職だからずっと朝昼晩と繰り返し続けて何だかこの技術だけはもしかしたら本職に迫れるかもしれないレベルに上手くなったと思う。  決行当