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逆噴射小説大賞2024まとめ

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逆噴射小説大賞2024の全応募作品をまとめていくマガジンです。収録漏れらしきものを発見した場合は教えてください。
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#小説

2024年10月に「逆噴射小説大賞2024」を開催します

文字数制限は800文字以内! 今回の本文文字制限も、800文字以内です。しかしこれは「800文字…

クラヴマンの祈り

 父祖から受け継ぐトウキビ畑こそが、ボギー・クラヴマンの総てだった。  夜明け前、妻の遺…

RTG
2日前
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ノーブックス、ノーライフ

「吾輩は猫である、は当店では取り扱っておりません」  まただ。もう五回目となる回答を背に…

第六切断面

 おぉ、オォォ……。それは悲しく、寂しく。歌うような断末魔だった。燃え上がる髑髏兵の叫び…

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毒液の前兆 -portent of venom -

 随分長く殺しを専門にやってきたが、その日は唐突に訪れた。  大口のクライアントとして長…

津島修嗣
2日前
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可不可/1→0

 安楽椅子に座る私の前で、暖炉の薪が音を立てている。パチパチと音を立てながら火の粉が爆ぜ…

クラゲを海へ捨てに往く

 満月の夜。  俺は、足場の悪い山道を、六〇キロの袋を担いで歩いていた。事前に掘っておいた穴に到着する。穴の横に袋を降ろすと、鈍い音が響いた。  袋のファスナーを開ける。  ヘッドライトが死体を照らし出した。  若い男。  茶髪に、軽薄そうな顔つき。その右半分は、口径の大きな銃で撃たれたらしく、無くなってしまっていた。  この男が殺された理由――それは、俺の仕事には関係がない。俺はただ埋めるだけだ。  手袋をした手で、死体を担ぎ上げようとした。  その時。  男の残された

深郷歌

 白石瓜生の数年ぶりの帰郷は、水深20メートルの湖の中だった。  陽光は遠く、深く暗い湖中…

IS
2日前
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【エクソシズム・チャンピオン、地獄に消ゆ】

 地獄の灼けた風の中、スカートのはためきをギギは感じる。今やこのセーラー服すら、親方との…

英雄を狩るもの

 僕は、望んだものを手に入れられない生涯を送り続けました。  手に入るのはいらないモノば…

anniversary.

 記念日の昼はカフェアルマトイに行こう、ずっと前からそう決めていた。  妻はこの店のレア…

ブラッディ・エンジン:2.5

 ――2周目に突入。50位。  瞬間、後続車が全て爆発四散した。  爆風に煽られる車体。俺は…

透々実生
2日前
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ドレスメイカ

「そんな噂、馬鹿げていませんか。デバイスが人間に成りすます、なんて」 「確かに見たことも…

雨宮桜花
2日前
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処方箋:純粋な幸せ、0.5mg

 苦しみも悲しみも、貧困も戦争も、ぜんぶ過去のこと。わたしにはちょっと重たい汎用タブレット、ストレージの隅っこに収まった、歴史の教科書に載っている。  溢れかえるくらいのたくさんの幸せで、みんな満たされているのに、くぅちゃんはいつも難しい顔をしていた。 「くぅちゃん。くぅちゃん?」  さて、初等教育課程の授業は、ここでやっと中休み。  授業はだいたい、退屈だ。何をしているのかもよく分からない試験の次くらいには、あんまり好きじゃない。  伸びをしながら隣の机を見る。そこにくぅち