処方箋:純粋な幸せ、0.5mg
苦しみも悲しみも、貧困も戦争も、ぜんぶ過去のこと。わたしにはちょっと重たい汎用タブレット、ストレージの隅っこに収まった、歴史の教科書に載っている。
溢れかえるくらいのたくさんの幸せで、みんな満たされているのに、くぅちゃんはいつも難しい顔をしていた。
「くぅちゃん。くぅちゃん?」
さて、初等教育課程の授業は、ここでやっと中休み。
授業はだいたい、退屈だ。何をしているのかもよく分からない試験の次くらいには、あんまり好きじゃない。
伸びをしながら隣の机を見る。そこにくぅち