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逆噴射小説大賞2024まとめ

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逆噴射小説大賞2024の全応募作品をまとめていくマガジンです。収録漏れらしきものを発見した場合は教えてください。
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2024年10月に「逆噴射小説大賞2024」を開催します

文字数制限は800文字以内! 今回の本文文字制限も、800文字以内です。しかしこれは「800文字以内で物語を完結すること」という意味ではなく「小説の冒頭部800文字で応募する」という意味です。つまり「この続きを読みたいと思わせる、最もエキサイティングなパルプ小説の冒頭800文字」を表現した作品が大賞を受賞し、その応募者は大賞の栄誉とともに黄金のコロナビールを獲得できます。 ◆逆噴射小説大賞とは◆この大賞イベントを主催する ダイハードテイルズ/Diehard Tales は

まほろばの鬼と化す

「大軍だ!軍勢が果てなく続いている!」  物見櫓の看守は慌てふためき、転げ落ちんばかりの勢いで駆け戻ってきた。  人馬の鳴動、鳥の狂鳴、獣の咆哮が地鳴りの如く押し寄せる。大地の震動は刻一刻と強さを増していた。  やがて遠く彼方の草原が夥しいまでの漆黒を成して東の地を埋め尽くす。  朝廷がこれまでに差し向けてきた軍勢は何とか撃退してきた。しかし今日の軍勢はこれまでの比ではない。  ついに来たか……。  変わりゆく大地の暗転を睨んだ。  迫り来る黒波の広がりは兵力の甚大さ

あの子を誘拐します

 あの子を、暗闇から救ったのは僕だ。救済者として賞賛されるべき存在だというのに、街の至る所には「死んだ魚の目をした僕」の顔写真が散らばっている。  写真の僕には、まるで覇気がない。その理由を、僕は知っている。小さい頃に、親から「心」を壊されてしまったからだ。  僕が小さかった頃、親からはいつも理不尽な理由で殴られ続けてきた。殴る理由なんてどうでもよくて、僕はただのサンドバックでしかなかったのかもしれない。僕は必死に祈った。けれど、神様は現れなかった。だから僕は、パパやママ

マーシャ戦記 宇宙港奇襲作戦

宇宙空母カツラギのカタパルトから次々と零式機動歩兵が発艦してゆく。 その数36機。これで第一次攻撃隊を編成し、ラージノーズグレイの宇宙艦隊が停泊する小惑星ザルニアにある宇宙港へと奇襲攻撃を仕掛ける作戦だ。 前方には同盟星ジャノス艦隊を発艦した30機の戦闘機が先導している。 攻撃隊の指揮を執る弱冠16歳のアロワロウ少尉の機動歩兵に空母カツラギから通信が入る。 「アロワ君。機体に問題ない?」 カツラギの艦長を務めるツキノミツイシ大佐だ。 「ええ宇宙仕様のバーニアのお陰で加速、旋回

ヤツはどこだ?【逆噴射小説大賞2024】

「こいつじゃないか?」 「いや違う、そいつは確認済みだ」 「すると、このヒゲヅラか?」 「どこにいる?」 「ここだ」 「なぜわかったんだ」 「シワだよ」 「シワ?」 「ああ、シャツを見てみろ」 「シャツ?」 「お前の目は節穴か」 「あっ!」 「ようやく気づいたようだな」 「よく気づいたな。危うく見過ごすところだったぜ」 「ヒゲヅラのシャツにはシワが3本入っている」 「これでコンプリートだな」 「まったくだ。てこずらせやがって」 「それにしても遅いな」 「まあ

アカイ戦記 潜水艦防衛作戦

「後方に未確認艦の接近を確認……敵巡洋艦の接近を確認。本艦は現在機関部の故障のため潜航出来ません。修理完了まで敵部隊をお願いします」 洋上に浮かぶ巨大潜水艦の甲板が開くと一機の人型決戦兵器、機動歩兵が射出された。 真紅の機動歩兵のコックピットで不敵な笑みを浮かべ、戦闘モードを起動させるのは金髪碧眼のアカイシューマン。 2247年国家が消滅し巨大企業が領土を持ち互いに争う戦国時代。 各企業は傭兵を雇い、領土資源技術を求めて紛争を繰り広げていた。 アカイは元軍人で傭兵として各企