マガジンのカバー画像

逆噴射小説大賞2021エントリー収集

390
#逆噴射小説大賞2021  のエントリー作品を全て収集するマガジンです
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

2021年10月に「第4回逆噴射小説大賞」を開催します

更新履歴:FAQにルビ機能の扱いが追記されました(10/1) “おれがこれから始めようとしてい…

神の国を血に染めて

 会社を辞めた直後に見上げる青空ほどこの世に美しいものはない。それがクソみたいな職場であ…

棺桶六
2年前
19

新校舎の蜘蛛

 女はブリッジをしていた。逆さ向きになった人間の顔はどうしてこれほど恐ろしいのだろう。そ…

zealotofBW
2年前
8

御竜氏は竜の威を借る者を狩る

夢を見ていた。竜王の提案を呑んで竜殺しをやめた日の夢だった。表情と反応から察するに、おれ…

グエン
2年前
12

クロの買い物紀行

待ち合わせの場所にサラは来なかった。三日前の話。その代わりにあれが来た。 赤い花々で彩ら…

Oo_t(uki)
2年前
8

デビル・ミーツ・ガール

 聖堂の天蓋を見ていたシスターの視界は、自分を犯そうとした兵士の噴き出す血で真っ赤に染ま…

ナタ
2年前
9

宙、つめたく冷えて

 横薙ぎに椅子を男のこめかみに叩きつける。  吹っ飛んだそいつに椅子を投げつけ、腹の包丁を掴む。滑る。奥歯が割れそうになる。抜ける。  思わずたたらを踏む。  ゆっくり跳ね返ってくるそいつ。壁に押し付け、倒れ込みながら、うなじに包丁を押し込む。硬いものを断ち切る感触があった。  救急テープでスーツの穴を塞ぐ。アドレナリンとエンドルフィン剤の追加ボタンを押す。ヘルメットの血を拭い、浮いている斧を掴む。  死体をどかし、障壁を叩き破る。刃を見る。取り替える必要があるかもしれない

切られた脳と、消せないアイツ

俺の頭をいじくるように推薦したのは仁らしい。 「そこのバイク止まりなさい!」 「前原逸男…

【小説】ドラゴン銀行

我ら兄弟、ちちははは別なれども流れる血は同じ。 我ら同胞の血を溢さず、また銀に換えず。 ~…

脱臼
2年前
17

パニシュ・ユア・ヴァニシュ

 問題。重量2g余りの僅かな金属片で人が殺せるか。答えは恐らくイエス。全長15mmのリムド薬莢…

直感探偵

 口にはバツ印に赤いマスキングテープを貼られ、心臓は百円均一の包丁で一突き、太ももに花の…

にーにー
2年前
6

13階段

折り畳んだメモを開く。 十数名の名前が並ぶ。すでに三人の名前には、赤い線が上から引かれて…

shunya
2年前
5

朝の梟と夜の太陽

 あなたは大丈夫だよね。  彼女がそう言っていたことをどうしても思い出す。あの時、彼女の…

宮塚恵一
2年前
12

サラエボの日

 1914年6月28日。オーストリア=ハンガリー帝国領、サラエボ。  僕は小さなカフェから、窓の外で道路にずらりと並ぶ人々の喧騒を眺めていた。彼らの目当ては、オーストリア大公フランツ。皇位継承者の姿を一目見ようと、あちこちから人々が集まっているのだ。  その群衆から少し離れたところに、挙動不審な男が一人。彼の名はムハメド。大公を暗殺せんと目論み、この場に集った過激派セルビア人グループの一員。この日暗殺に挑み、失敗したうちの一人として歴史に名を残している。  しばらく姿を眺め