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逆噴射小説大賞2021エントリー収集

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#逆噴射小説大賞2021  のエントリー作品を全て収集するマガジンです
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#ファンタジー

2021年10月に「第4回逆噴射小説大賞」を開催します

更新履歴:FAQにルビ機能の扱いが追記されました(10/1) “おれがこれから始めようとしてい…

アガットの鍵

「足痛くない?メローネ」 青年は少女に声をかけた。 黒い岩が転がる砂漠。 道無き道を進む…

屍人と長虫

 屍人と長虫。『救世主』の発明によってこの世から消えた2つのもの。死の克服と竜の征伐はヒ…

バッティ
3年前
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プロメテウスの蜘蛛の糸

 ゴブリンたちを長柄の斧でぶった斬る。斬るのはこいつの頸ぐらいが限界だ。それ以上は反対側…

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彼女と蝶々と世界崩壊

 学校の昼休み。  耳の奥でキーンと響く耳障りな音。僕はそれを我慢して、幼馴染みの咲に弁…

gm-rikusen
3年前
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あるいは、剣楽に痴れたる夜

 澄んだ火花とともに殷々と波打つような斬奏が、俺をうんざりとさせた。  伸びやかに残留す…

バール
3年前
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ユークローミアの堕天使

 帝都、夜。霧。  底冷えし、街娼や酔漢の姿すら疎らな中、灰色の外套を纏った一団が粛々と大路を行進する。  拝灰教団。帝国内部に巣食うもう一つの帝国と囁かれる大宗教。  野放図に広がった道路網を奥へ、奥へ。一団はやがて廃区画へと到達した。先帝時代、流行り病の折に放棄されて久しく、今は野良犬すら寄り付かない。  そこに、天使がいた。  先頭の男が、頭巾をずらして痛ましい物を見る顔をした。年端もいかぬ少女が接触・感染したのだろう。少女の見開かれ涙を零す眼は呪われし赫色を呈していた

伝説のサンダーライフル

 奇妙な依頼だった。良家のお嬢さんらしき少女が突然現れて、古代銀河魔法帝国が遺した宇宙ス…

銀星石
3年前
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陸自の魔女

 現代の魔女は箒を使わない。浮力を生むマントと魔力噴射式スラスターで空を飛ぶ。  陸上自…

銀星石
3年前
17

エルフォルビア

 ギルドカウンターに《エルフキラー》の手配書が張り出されたのは二週間前だ。エルフ族ばかり…

復路鵜
3年前
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月竜を喰む

 アポロ計画は地球に月の石を、月には竜を齎した。  かつては賑わった月面牧場も、宇宙開発…

居石信吾
3年前
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ゴミのような死を積み重ね、それでもお前に届かない

『えっと。君は誰なんだい?』 そうして俺は知ったんだ。 俺が追いかけていた幼馴染は、もう…

呪いの『縫針』

「縫針」  彼女はそう名乗った。 「どの辺が?」  反射的に僕は呻いた。  何せデカイ。胸…

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サイオン・オブ・ドラゴン─エドワーズ卿諜報録─

『連邦』の保安局員はわたしの体をまさぐり、いまいましさと困惑の入り交じった表情を浮かべる。『目当てのもの』を、わたしが持っていないことに混乱しているのだ。 「この件については『帝国』外務省より、貴国へ抗議させてもらう。外交官に無礼をはたらいたとな」 護衛のウォルターを手で制す。沈黙。ラウンジの視線が一斉にあつまる。飲みかけのウィスキー・グラスのなかで氷がカランと音を奏でた。 「──いささか気分を害した。部屋で呑み直したいのだが、構わないかね?」 わたしは杖の石突をわざ