『ミュージックが聞こえる街』
こんばんは、とイヌが吠えるので、私も思わずこんばんは、と返した。
満月の輝く夜。
二次会までと思っていたのに、ついつい誘われるがままに三次会に参加してしまった。久しぶりの生ビールが美味しかったのがいけない。
どうやら飲みすぎたようだ。
幻覚だと決めつけ、そのまま通りすぎようとして、足に違和感を覚えた。
ネコがしがみついている。
「助けてください」
いやいや、私は家に帰るのだから。
早く駅に行かないと、終電を逃してしまう。申し訳ないが、君たちにはつきあっていられない。