第1回逆噴射小説大賞:二次選考通過作品まとめ

12
ノート

花の都とヴァン・ヴィノ

「何をしているのです」  男はそう訊いてくる。肚を括ってる、と答えたいができない――喉がロクに動かない、周りの景色や背と尻を預けた木と同じよう...

R.E.T.R.O.=/Q

《街》にダイヴするとき、決まって全身全霊を総毛立つような感覚が駆け抜ける。 自我を除く全情報が書き換えられ、私達は指定座標に出現する。 私は耐...

私をぎゅっと抱きしめて

ここは人間とぬいぐるみが共に生きる街、ドリーミング・シティ。  いつもは明るいこの街も、あいにくの大雨によっていつもとは違う、暗い雰囲気が覆っ...

テバスの掟

十六歳になったら、キメラと一緒にこの階段を登るのよ。 あなたたちは二日間だけスヌスで過ごすことになる。スヌスは、神への祈りが足りないところでし...

砂天の太陽

お前とは潜らない。俺ははっきりそう言った。 「これは天啓です」 だがシスターも譲らない。彼女は手を合わせて細い目を閉じる。 「大いなるスパニャの...

【石の街】攻防記

その日、大量の水が街を襲った。 呪術結界が施された強固な石の外壁が、轟音と共に押し寄せた水流によって破壊された。 外部からの攻撃だ。 やつら、...

不死の日のエドム

「日の神にかけて。今日は『誰も死なぬ日』でさ、ヨブの旦那」 薄汚い牧童は、そう言って男に微笑み、右手を挙げた。 「試してみる。首を出せ」 「いや...

ジプシー・ガールズ

私はジープの広い後部座席に寝そべり車内の天井を眺めていた。 固いサスペンションから伝わる振動が心地よく、胃のあたりが浮き上がるような高揚を感じ...

マリッジブルーと沼の城

生暖かい吐息が顔に吹きかかり目を覚ます。まず聞こえたのは天幕が引き破れ支柱が折れる音。続いて見えたのは産毛のはえた老木のような肌だった。  沼...

パラレル・レース・ロイヤル

メチルヒドラジンとエリクサーの配合物が点火し、噴射が始まる。レースが始まる。残りカウント五秒。本来は平行世界どもを集めてバトルロイヤルの予定だ...