第1回逆噴射小説大賞:二次選考通過作品まとめ

256
ニーナ・ザ・ミストガン #1

ニーナ・ザ・ミストガン #1

陽で背中が灼ける感覚と共に、ニーナの意識が戻ってくる。ザラつく砂を口から吐き出し、ふらつきながら立ち上がると、ボケた視界がようやく定まった。 見回し、荒野――。 ――わたしのホルト! 誰もいない――。 ――見開かれた完璧な造形の瞳。 殴られた頭が痛む――。 ――連れ去られ遠ざかる姿と暗転する視界。 混濁する意識をよそに、彼女は左眼をウインク! すぐさま拡張視界〈オーグ〉が起動して、各種情報を視界に描き出す。日付時刻と彼女の身体状況。そして、範囲外へ追いやられ、相対マップの

19
Six Action Army - Man 悪魔のガンマン

Six Action Army - Man 悪魔のガンマン

 タンブルウィードの転がる小さな宿場町を、危険なアウトローの集団が支配していた。彼らを率いるリーダーが、町の広場で絞首刑に処された保安官を、銃の的にして辱めている。サルーンからはアウトローどもが凌辱する町娘たちの悲鳴が漏れ出ていた。 「31、32……34人か。どうだ」 宿場町の見張り塔の上で、俺は右手でスマートグラスを外しながら左手の腕時計に話しかける。 「"再装填"後の戦闘力であれば成功率は87%、少し危険ですが、気にしないでしょう?」 「……五体満足での成功率は?

14
ライディング・ホッパー

ライディング・ホッパー

「おっさきー!」 「遅え!欠伸が出るぜ!」 アカネとトウヤの声を無視し、地盤沈下で荒れ果てた道路を疾走する。二人の飛行型、多脚型に比べると二脚型はこの道で不利だ。だが、想定内。 超高層建築が見えてくる。余りに高すぎるため壁沿いを迂回するか、内部を押し進むのが定番だ。構わず直進する。大丈夫だ、きっとやれる。自分に言い聞かせる。 壁まで100メートル。ホップ。 エアロと爪先のスプリングが展開する。 70メートル。ステップ。 大腿部が180°回転し逆関節に変形する。 着地

39
ラスティ・ドールズ

ラスティ・ドールズ

……がりがり、ざりざり。がりがり、ざりざり。 自動人形AM-967A”クロナ”は、砂と錆だらけの関節を軋ませ、瓦礫と砂塵の原野を歩んでいた。 「もっとキリキリ歩けや、阿婆擦れめ」 衛星通信を介して野卑た音声が届く。 「ったく、俺なら半日もかかんねえ距離だぞ。直接降りられりゃあな」 なら自分でやればいいだろう。 クロナは怒りを覚えたが、それを表現する罵倒の言語アセットは持ち合わせていない。 だから、黙って歩き続けることにした。 クロナは軌道移民の”漁り屋”にサルベージされて以

4