第1回逆噴射小説大賞:二次選考通過作品まとめ

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ギロチナイゼーション 1582

ギロチナイゼーション 1582

 焼け落ちんとする本能寺は炎の中で光り輝いていた。畳の上に座す織田信長の胸のうちは穏やかだ。彼の前には一本の小刀が横たえられている。割腹の後は、燃え盛る火が介錯人のかわりとなろう。言うなれば彼は自らの野望に身を焼かれて死ぬのだ。それも悪くない。  ふと、目の前に人影が射した。さては敵の刺客か。業火の中をここまで――天にはどこまでも嫌われたものだ。「名を名乗れ」信長は顔を上げずに問うた。「私はギロチン」男は丈の長いコートに、下はキュロットを履いていた。頭には鉄仮面。「ハラキリ

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ザ・ホール

ザ・ホール

 あらましはこうだ。星新一が予言した穴は実在した。アリゾナ州にあるトーラス状垂直閉空間(TVC)がそうだ。そこでは空間が環を成しており、地表に忽然と空いた直径20mほどの穴の中と、近接する都市の上空とが繋がっていることがγ線を用いた実験により実証された。穴に向けて放射されたパルスが、数年の間を置いて空高くより降り注いだのだ。  この発見は驚愕を以て受止められた。特に科学界の反響は大きく、星新一はその年のノーベル物理学賞を受賞した(故人なのに!)。穴は人類の発展のために恒久的

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Underdog

Underdog

起きた。昼の三時。ボロ家の玄関から下品なノック音が聞こえてくる。 大家だろう。俺はそのうち大家に殺されるな。 俺は堕ちた。 勇者に雇われ、戦士として働いたが、俺には特技も魔術も無く、武器を振るうのみ。そんな奴が現代の飛んだり跳ねたり簡単に奇跡を起こす連中に必要とされるはずがなく、洒落た美青年剣士に前衛の役目を奪われ、捨てられた。一緒にいた魔術師のジジイも、花火みたいな髪と声の若い女に替えられた。そりゃそうだ。俺だってそうする。 そういえば下品なノック音に混じり聞こえて

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