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第1回逆噴射小説大賞:二次選考通過作品まとめ

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第1回逆噴射小説大賞 ( https://diehardtales.com/n/nfce422e0faef )の二次選考通過作品をまとめたマガジンです。応募総数は約1900作品で… もっと読む
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#人が死ぬ

アリシア・スノウが死ぬまでの48時間

「やっとわかった。わたしがあんたにできる、たったひとつの一撃。喰らいな、クソ野郎、そしてさよなら」 そしてアリシア・スノウは、自分のこめかみに向けて引き金を引いた。 48時間前。 アリシア・スノウはいつものように、アリシア・プライベート・セキュリティ(APS)事務所兼自宅の安ソファで目覚めた。いつものように荒れ果てた部屋、いつものように酷い二日酔い、いつものように最悪の目覚め。何かが違う。 彼女の日常はシンプルだ。APSの評判を聞きつけて街中から訪れた女の依頼を聞き、依頼

スターリンの柳生軍団

1953年 ソビエト連邦  ソ連国家保安委員会第三局 柳生新陰流ツングースカ道場に散乱していたのは、人の破片だった。 手足が、内蔵が、鎌とハンマーを組み合わせて作られた『共産刀』が、そして首が、四方八方に散っている。心ある者が数えたなら、首の数は五十にも上ろう。 これが、人民に戦慄と畏怖を以てその存在を囁かれた秘密機関、KGB柳生(YGU)の一拠点の有様であろうか。 命ある者は、もはや僅か二人。 血まみれで喘ぐ男は、柳生ルイセンコ忠景、この道場を預かる師範代。もう一人、

アポカリプス・インターネット2199

もし自分が天才で、大富豪で、最終核戦争を予期したなら、アンタならどうする?あの馬鹿が俺たちに残したものは、浄水器でも、抗生物質でも、種子でもなく、インターネットだった。 核が人類の95%と食い物の99%を吹き飛ばして丁度150年になるそうだ。俺たちにあるものはボロ布、洞穴、石斧、ボウガン、そして太陽光とナノマシンで永久に稼働し続けるインターネット端末。俺たちは識字率100%の原始人だ。 「ムワト!凄い!オーガローチの毒抜き方法がアポ-Chanに載ってたよ!」 ギラルが笑顔

トライアド・アサシン

「ヘルメス、聞こえるか」 「聞こえる。私はヘルメス」 「バイタル良好。お前の意識は分割されて三体のドローンに転移している。何が見える」 「空。海。ミサイル基地。人々。銃声」 「知能低下無し。さて、俺たちの任務はクソの後始末だ。特殊部隊は全滅し、四十名の人質は処刑の真っ最中。で、処刑後にテロリストはミサイルを発射する」 「猶予は」 「三十分、あるいはもっと早い。お前の任務は島のミサイル起動モジュールを破壊し、テロリストを全員殺せ。前大統領は五分前に全ての責を取って辞

ワン・オブ・ザ・コープス

俺が誰かは俺が決める。他の誰にも決めさせるものか。 Budda Budda Budda! 機関銃がクローン兵たちの頭を薙ぎ払う。首なしの体が崩れ落ちる。弾切れの銃を捨て、死体の銃を一挺拾って、さらに前へ。 「最近のクローン兵は質が落ちたよなァー、ドクター。まるでゾンビだ」 『コピーすれば劣化するのさ、何事も。オリジナルには及ばない』 次のウェーブは6秒後。欠伸が出るほど遅い。俺は壁へ、天井へ、靴底をつけて駆け上る。カメラを踏み壊し、タレットガンを潰す。電子トラップを三つ

死ぬなら走れ、最後まで。

チェーンソー・カルト男の隙を付き、首にナイフを刺す。+12時間。 崩れ落ちた相手からチェーンソーを奪い、もう一人の白頭巾カルトの腹に突き立てる。 「AARRGHH!!!!」はらわたと血が辺り一面に飛び散る。+12時間。 俺は息を整え、辺りを見渡す。ゴアカルトの死体が更に3つ。今日ぶっ殺したのはこれで5人。12時間×5=2日半は時間が稼げた。 死体は見る間に腐敗し、灰へと変わった。跡には魔法陣だけが残る。 これが俺のサインした契約だ。他人の命を、たった12時間の自分の寿命

ヘヴィメタル・チェーンガン!

BRAAAA!!!チェーンソーがサイバーゴブリンをズタズタのゴアミートに変える。GUGAAA!!振り抜いた勢いで後ろに振り向く。飛びかかってきたメガオークを、ソードオフ・ショットガンが粉砕する。 これでこの一帯は最後か。部屋を見渡す。NAPD社植民惑星汎用オフィスはまるでミートミキサーの中身だ。 惑星NA-14。 白衣を着た馬鹿が、惑星固有のバイオ生物達に、NAPD社特製の装甲、強化関節、おまけに体内インプラント重火器をたっぷりと埋め込んで、あとはお約束だ。サイバー怪物は

Manslaughter...

Prologue 橙色、緑色、茶色、赤色。ぼやけた光は段々と形を結び、アンティークの照明、革張りのソファ、椅子を引きずった跡の残る床に変わった。 「オッ、目覚めたかい。」 赤色のハットはメニュー表から顔を上げた。 「ここは…。」 椅子から立ち上がれない──俺は両手が縛られていることに気付いた。左を見ると眉間にステーキナイフが刺さった男が座っている。 ハットが嬉しそうに揺れる。右手には真新しいナイフが握られていた。 「やめてくれ…。」 「驚いた!お前からそんな言

朋友よ、冷たい朝に眠れ

「アルファさん、サーセン、遅くなりました!準備に手こずって!」 駅前。手を振りながら駆け寄ってくる、柄の悪い坊主頭は牧ちゃん。俺の友達だ。 ◆◆ 「つーか、アルファさん、ネットだとイキってた癖に、いざ会うとフツーに普通のオッサンっすね!」 牧ちゃんが豚足を頬張りながらゲラゲラと笑う。 「うるせえな!そっちこそガラ悪過ぎでしょ!」 俺も負けじと麻婆豆腐を流し込み、店員におかわりを頼む。 二人の間に積まれた青島ビールの空き瓶は、もはや山だ。 牧ちゃんと俺は友達だ。会ったのは

クロ -擬人化存在反逆譚-

戦車が前方に落下してくるのが見えた。落下しつつ不可思議な変形を行なったそれは、豊かな乳房と重厚な装甲を備えた10m近い巨人になり、私のバイクの進路を阻んだ。 魔神と闘えるのは擬人化された存在のみ。 戦い抜いた自分でもおかしな話だと思うが、実際そうだったのだ。とにかく私達は力を合わせて人の世を魔神から救った。そして脅威が去った世界は私達を恐れた。仲間達は皆元に戻されてしまった。自我のない戦闘人形。世界が欲しがるのはただの兵器だ。私のような自我を持つ擬人化存在は世界の敵なの

「ラブリーチューブ・オン・エアー!」 メンテナンスのお知らせ

 アプリ「ラブリーチューブ・オン・エアー!」は、美少女を稼げるアイドルチューバーに育て、再生数とチャンネル登録数を競う育成リズムゲームである。  トリックオアトリート! 現在ハロウィンイベント開さSPLAAAASH! 「キャアアーッ!」  飛沫く鮮血! 飛び交う悲鳴! 一体何が!? 「プリュリュ~」  惨劇の渦中にいるのは、血に塗れた丸く愛らしい生き物。それは別のゲーム「グランドブレイド・レジェンド」に登場するモンスター、プリュリュだ。先日までそのゲームで本作とのコ