第1回逆噴射小説大賞:二次選考通過作品まとめ

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R.E.T.R.O.=/Q

《街》にダイヴするとき、決まって全身全霊を総毛立つような感覚が駆け抜ける。 自我を除く全情報が書き換えられ、私達は指定座標に出現する。 私は耐刃レザーのボディスーツ、パートナーのエドはへんな騎士鎧の姿だ。 「なあオリー、本当にこんな場所に適合者がいると思うか?」 エドの機嫌が悪い。…

データランナー

 伝説のデータランナー、山岸タドルの第一印象はインディアンの大男だった。俺は挨拶もそこそこに奴の車に乗った。伝説と言う割には乗っている車は軽だった。 「あんたと仕事が出来て光栄だぜ」と、俺は言った。 「『Z』を返り討ちにしたって噂はマジか?」  するとタドルは「行くぞ。もたもたし…

キュービィ・アンド・フーリィ -電脳変幻無双譚-

雲霞のごとき暴徒の群れが目標の集落を前に反転した。ここに向かっている?飛び起きた俺は映像を凝視する。カウンター洗脳か?クズ共にフェイク映像をばら撒いて1週間。熟成された憎悪が爆発する直前で! 副官を呼び戻す。モノアイヘッドが乳とキャタピラを震わせて駆け込んできた。こいつとファック…

レゾナンス・エンジン

モーツァルトが沈黙して250年、共鳴機関は後継を探し続けている。 大気を満たすエーテルを媒介に、人と人とを接続し生体CPUとして扱う技術。音楽により発生する人々の情動を原動力とする演算装置。会場に集う人々の興奮が一つになり夢見るディープラーニング。 多元宇宙の構造解明には天才一人の知性…

ウェルカム・ブラックゲート #1

ダイヴ、スタート。おれの視界を覆っていた緋色の砂嵐が明け、目の前にカウンターが見える。 「ウェルカム。冒険者<エクスプローラ>。本日はどちらへ?」 「火星マスドライバー第69層。ライディングドレイクをレンタル」 「了解しました。解析対象は指定しますか?」 「MWコインのマイニングを」 …

ワン・オブ・ザ・コープス

俺が誰かは俺が決める。他の誰にも決めさせるものか。 Budda Budda Budda! 機関銃がクローン兵たちの頭を薙ぎ払う。首なしの体が崩れ落ちる。弾切れの銃を捨て、死体の銃を一挺拾って、さらに前へ。 「最近のクローン兵は質が落ちたよなァー、ドクター。まるでゾンビだ」 『コピーすれば劣化するの…

こちら合成害獣救助隊

看板の群れを回避しながら路地裏の底めがけて降下する。ひときわ大きな看板を避けて目標が視認出来た。狼の体に鮪の尾。合成害獣、通称キメラだ。部長の強化外骨格が掴みかかって動きを止めてる。あたしの接近に気付いた部長が身を引く。よろけたキメラにあたしはブースト全開の蹴りを叩き込んだ。 …

絶罪殺機アンタゴニアス

 甲弐式機動牢獄は、囚人たちが特殊刑務作業に従事する際に搭乗する更生支援兵器であり、その外観は巨大な蜘蛛を思わせる。  胸部下面から伸びた機銃が十字型の火を噴き、命乞いをする貧民たちを容赦なく血煙に変えた。散発的に浴びせられてくる反撃の銃弾は、その装甲に傷一つつけることはない。  …

泥斬り稼業

 ドブ長屋のクズ共が死んだ理由は三つある。五日続いた豪雨と、役人が積み上げた鉄屑と、貧乏。要は三つ目だ。もっとマシな所に住んでいれば崩れたゴミ山に潰されて死ぬこともなかった。泥油と混じって蘇り、俺のようなガラクタ人形に斬られることもなかった。 「五つ」  無造作に蒸気刀を振る。何…

ソーシャルゲームパンク:リセマラ者を殺せ

「この俺が!最高レアリティの!SSRの俺が敗れるなんて!」 男は俺に倒され、強化素材になった。レアリティの高い人格(パーソナリティ)は、ドロップする素材もいい。これでしばらくは金に困らなそうだ。俺はドリンクを飲み、スタミナを回復する。 誤解するな、俺は無差別殺人者ではない。 俺が殺す…