逆噴射小説大賞2020:1次&2次選考突破作品

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なるべく生者が望ましい

「……俺はどうなるんですか」  藤野央助は、青ざめた顔をハッと前に向けた。自らの失言に気…

インバネス・レイヴンは剣を抜かない

 馬車道に蹄鉄の跡が刻まれ、点在する街灯の光は霧に隠れる。襤褸を纏った物乞いの老婆が空腹…

滞留海

 友達の引っ越しを見送ったのはもう十五回目になる。  先週、とうとうマリがいなくなった。…

奨励会を抜けてアヴァロンへ

「アヴァロンは三段階に分かれる。序盤は九掛ける九のボードでチェスに似たゲームが行われ、駒…

上陸する銀の鳥

 人間共が暮らす陸地から沖に出て、大きく離れたところ。潮騒や海鳥の鳴き声以外は何もないと…

あなたに捧げる物語

 チバが得体の知れない朗読の仕事を引き受けたのは、日当五万円だったからだ。仕事が来ない声…

亡骸を背負い重ねて積む稼業

 朝方の三時五十八分、雑居ビルを爆破した。今回の抗争はノームとドワーフのいざこざとして処…

ボーン・ザ・ゴーン

 光が射す場所はオタワだ。そこからシュロたちは逃げる。  光の所在は大気圏に設置された宇…

有罪探偵

 嘘など吐いていないのに、なぜこうも蔑ろにされなければならないのか。 「だから言ってるで…

フロム・バベル

《バベル》三層にようやくたどり着いた。探索に向かう傭兵が多くて、あたしは何回か誰何された…