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「……俺はどうなるんですか」 藤野央助は、青ざめた顔をハッと前に向けた。自らの失言に気…
馬車道に蹄鉄の跡が刻まれ、点在する街灯の光は霧に隠れる。襤褸を纏った物乞いの老婆が空腹…
友達の引っ越しを見送ったのはもう十五回目になる。 先週、とうとうマリがいなくなった。…
「アヴァロンは三段階に分かれる。序盤は九掛ける九のボードでチェスに似たゲームが行われ、駒…
人間共が暮らす陸地から沖に出て、大きく離れたところ。潮騒や海鳥の鳴き声以外は何もないと…
チバが得体の知れない朗読の仕事を引き受けたのは、日当五万円だったからだ。仕事が来ない声…
朝方の三時五十八分、雑居ビルを爆破した。今回の抗争はノームとドワーフのいざこざとして処理させられるだろう。 「行け。俺も後で降りる」 近隣ビル屋上。組の若頭であるフマは無線で言う。横にいるのはエルフの長だ。名前はアシュ。 異世界からの門が太平洋沖に開いたのが二ヶ月前。アホみたいな外交典礼と議論が続く中、裏社会は早々に移住した。組はエルフの接触を受けた。目的は敵対ドワーフ族の殲滅だ。報酬は呪符と禁薬のノウハウ。組長は要請を飲んだ。 突入班はエルフのツテで入手した
光が射す場所はオタワだ。そこからシュロたちは逃げる。 光の所在は大気圏に設置された宇…
嘘など吐いていないのに、なぜこうも蔑ろにされなければならないのか。 「だから言ってるで…
《バベル》三層にようやくたどり着いた。探索に向かう傭兵が多くて、あたしは何回か誰何された…
お前だけは許すわけにはいかない。 御堂クオンはビルの階段を駆け上がった。暗がりの中、…
家で本を読んでいた美雪は、きな臭い匂いに気づいた。開いていた窓から身を乗り出して見ると裏…