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逆噴射小説大賞2020:1次&2次選考突破作品

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#逆噴射小説大賞

鷹の眼は神を狙う

大統領殿へ 来月末までに10億ドル用意されたし さもなくば、全人類を殺す 準備出来次第、署…

ドント
4年前
65

御遺体回収し〼(報酬歩合、応相談)

「蘇生できない? 話が違うぞ」  俺は公共ダンジョンから先刻回収してきたばかりの死体を前…

棺桶六
4年前
30

『蘭之助、もう吠えないのか』

「おいは犬ではなか」 美貌の若侍はそう呟いたが、彼の魂を刈り取らんとする妖怪は彼とは別の…

白蔵主
4年前
90

『ローグ、ローグ、ローグ』

泥棒だけはやっちゃいけねえ、って、爺さんはことあるごとに俺に言い聞かせた。俺は尋ねた。置…

白蔵主
4年前
61

さよなら世界征服

「世界征服できなかったなぁ」 灯りが切れた病室でフユカは口癖を呟いた。フユカは小学生の頃…

Lhamph
4年前
43

『SKY RE-BIRTH』

    空を染める灰色は雲ではない。大量のドローンだ。     極小モスキート型、乗用型、貨…

奨励会を抜けてアヴァロンへ

「アヴァロンは三段階に分かれる。序盤は九掛ける九のボードでチェスに似たゲームが行われ、駒の半数が消滅すると中盤に入る。駒は生物であり負けたプレイヤーは食われる。中盤から戦場が五つへと増加する。ボードが中央だとすれば、上下左右に戦場が増える。ボードの面積も八十一掛ける八十一と広くなる。  平均して二十時間ほどゲームを進めると終盤に入る。終盤における戦場は十二面以上あり、駒の種類も倍増する。ここで発狂するプレイヤーも珍しくない。  ざっと駒を挙げよう。歩兵、馬兵、竜騎兵、砲兵

上羽田村離檀顛末記

天歩十一年十月。上羽田村の神主、束田中膳は檀那寺より齎された位牌を力任せに引き裂いた。記…

棺桶六
4年前
28

壁に咲く華

「これが、世界の果てだって?」 その壁は、黒い鉄と黄色い銅が互い違いに層をなし、美しい縞…

三宅つの
4年前
31

訃翅蝶

 初めはたしか、八つのとき。  庭の花壇に座って日向ぼっこをしていると、ニ匹の蝶が寄って…

機械不良市街大戦〈マシンヤンキーシティーウォー〉

「10年早ェんだよ!」とは言った。  だが10年後“から”、10年早く来るとは思わなかった。 …

ドント
4年前
56

あなたに捧げる物語

 チバが得体の知れない朗読の仕事を引き受けたのは、日当五万円だったからだ。仕事が来ない声…

復路鵜
4年前
37

鬼、ひと口

たそがれ時の一条通りを、痩せ犬がトボトボと歩く。犬の顔は、女の顔だ。黒髪を地にひきずり、…

三宅つの
4年前
36

真夜中の血の女王

 命乞いってのは似たり寄ったりだ。やめてくれ、俺が何をした、倍額出す。  だから女がこう言った時、俺は感心した。 「私は殺せないよ」 「ほう。どういう意味だ」 「文字通り」 「そうかい」  俺は女の心臓に弾をぶち込んだ。真っ赤な液体が壁に飛び、体が床にくずおれた。  なるほど勝ち気だ、と俺は思った。 「勝ち気で強くて、悪魔みたいな女さ。そこに惚れたんだが……色々あってな」   依頼人が昨日そう言ったのだ。  さっき覗きこんだ女の瞳を思い出す。青く美しいが、奥に邪悪な暗